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〜博士と中学生の麻衣さんの会話〜 |
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| 博士: |
「これまでの連載を読んでみてどうじゃ?」
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| 麻衣: |
「鹿児島にはいろいろな遺跡がたくさんあり,それぞれの時代の人々が想像していた以上にたくましく生きていたことが分かったわ。でも,ちょっと分からなかったのは,○○式土器って出てくるでしょう。なぜ今から何年前ということが分かるの?」
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| 博士: |
「うん。いい質問だ。ちょっと難しいかもしれないが,一緒にみていくことにしよう」 |
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| 博士: |
「土器は,作られた時代や場所の違いによって形や文様が異なっていて,同じような特徴をもつ土器にそれぞれ○○式土器と名前が付けられているんじゃよ。このことを土器型式と呼ぶんじゃ。」
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| 麻衣: |
「名前はどうやって付けられるの?」
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| 博士: |
「遺跡の名前は,そこの地名(字名)をとって付けられるのじゃ。それで初めて発見された土器の遺跡名が,土器の型式名になるんじゃ。その遺跡を標式遺跡と呼んでおる。」
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| 麻衣: |
「土器型式からどんなことが分かるの?」
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| 博士: |
「土器はやわらかいうちだったらどんな形にでも変えられるので,作る人の考えでいろいろな姿になるよな。」
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| 麻衣: |
「はい。文様も,いろいろな道具を使って,好みのデザインが出来ますしね。」
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| 博士: |
「しかし,縄文時代や弥生時代の人々が個々人で思い思いに違った形の土器を作ったかというと,そうではないのじゃ。同じ時代の人々あるいは同じ地域の人々が同じような形・文様の土器を作っているのじゃ。」 |
| 麻衣: |
「あたかも私たちが無意識のうちにしゃべっている方言みたいなものなのですね」 |
| 博士: |
「そのとおりじゃ。同じ時代(時間的空間)・同じ地域(地域的空間)でまとまりのあるのが土器型式なんじゃ。」 |
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| 博士: |
「土器は少しずつ変化していくんじゃ。その変化の仕方が急に違ってくるのではなく,前の土器の文様を引きずりながら次の世代へと受け継がれていくのじゃ。」 |
| 麻衣: |
「おばあちゃんから子や孫へ作り方がつたわるのかな。」
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| 博士: |
「その変化の方向性を見つけて時間の物差しとしたのが,土器編年というんじゃ。」
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| 麻衣: |
「方向性だけではどちらが古いのか分からないんじゃないの?」
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| 博士: |
「その通り。それで重要なのが地層の上下関係で検証する層位学的方法なんじゃ。」
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| 麻衣: |
「地層の下から出てくる方が古いということですね。」
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| 博士: |
「鹿児島には現在も活発な活動を繰り返している桜島をはじめ,霧島火山群・指宿火山群それにトカラ列島に続く多くの火山があるじゃろ。それぞれの時代に噴出した火山灰は地層として県内いたる場所でみることができ,土器編年の検証も容易なんじゃ。」
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| 麻衣: |
「火山灰などの地層がはっきりしないところはどうするの」
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| 博士: |
「住居跡等の遺構が出ていた場合,考古学を研究する人達が最も関心をもつ点が切り合い関係なんじゃ。新しい住居は古い住居を壊してつくられるので,最後につくられた住居跡が最も当時の形をとどめていることになるし,埋まった土にも新しい土が堆積しているはず。遺構の切り合い関係がはっきりしてくると,遺構の中に埋まっていた土器同士の時間的な前後関係を明らかにすることができるんじゃ。」 |
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| 博士: |
「縄文時代だけで日本全国に約400もの土器型式名があり,さらにそれぞれが細分されているんじゃ。その綿密さは世界一じゃぞ。」
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| 麻衣: |
「同じ住居跡から違う型式の土器が出てくると,どの地域から持ち込まれたかが分かるのね。」
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| 博士: |
「鹿児島の縄文時代の遺跡では,瀬戸内地方や北陸地方,さらに関東地方の土器が出土しているので,すでにその時代から交流があったことが分かっているんじゃ。もちろん南島の土器も北上しているんじゃよ。」
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| 麻衣: |
「鹿児島は三面を海に囲まれているし,日本と東南アジアを結ぶ中間地点にあるから,各時代にどの地域と交流があったのかを知るのに絶好のフィールドなんですね。」
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| 1 |
福田遺跡(岡山県倉敷市) |
| 2 |
船元貝塚(岡山県倉敷市) |
| 3 |
中津貝塚(岡山県倉敷市) |
| 4 |
里木貝塚(岡山県倉敷市) |
| 5 |
鐘崎貝塚(福岡県玄海町) |
| 6 |
三万田東原遺跡(熊本県泗水町) |
| 7 |
北久根山遺跡(熊本市) |
| 8 |
轟貝塚(熊本県宇土市) |
| 9 |
曽畑貝塚(熊本県宇土市) |
| 10 |
阿高貝塚(熊本県城南町) |
| 11 |
御領遺跡(熊本県城南町) |
| 12 |
西平貝塚(熊本県北町) |
| 13 |
南福寺貝塚(熊本県水俣市) |
| 14 |
出水貝塚(出水市) |
| 15 |
市来貝塚(市来町) |
| 16 |
黒川洞穴(吹上町) |
| 17 |
高橋貝塚(金峰町) |
| 18 |
松木薗遺跡(金峰町) |
| 19 |
上加世田遺跡(加世田市) |
| 20 |
深浦遺跡(枕崎市) |
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| 21 |
石坂上遺跡(知覧町) |
28 |
並木遺跡(大口市) |
35 |
岩崎遺跡(田代町) |
| 22 |
春日町遺跡(鹿児島市) |
29 |
塞ノ神遺跡(菱刈町) |
36 |
松山遺跡(上屋久町) |
| 23 |
前平遺跡(鹿児島市) |
30 |
平栫貝塚(霧島市) |
37 |
宇宿貝塚(笠利町) |
| 24 |
吉田大原遺跡(吉田町) |
31 |
丸尾遺跡(末吉町) |
38 |
嘉徳遺跡(瀬戸内町) |
| 25 |
成川遺跡(山川町) |
32 |
入左遺跡(末吉町) |
39 |
面縄貝塚(伊仙町) |
| 26 |
水迫遺跡(指宿市) |
33 |
大平遺跡(宮崎県串間市) |
40 |
喜念貝塚(伊仙町) |
| 27 |
橋牟礼遺跡(指宿市) |
34 |
山ノ口遺跡(大根占町) |
41 |
兼久貝塚(伊仙町) |
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| 麻衣: |
「じゃあ,なぜ文字もない時代のことなのに,何年前というのが分かったの?」
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| 博士: |
「これには放射性炭素14年代測定法という理化学的な方法を使うんじゃ。動物や植物などの生物は生きている間,からだの中に炭素14という元素を一定量もっているのだそうじゃ。生物が死んでしまうと炭素14を取り入れることなく,一定の割合で放出され次第に減少してゆくのだ。」 |
| 麻衣: |
「一定の割合って?」
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| 博士: |
「生きていた時の量のちょうど半分になるのが約5,600年で,半減期と呼ばれておる。したがって,出土した木炭や木の実に残った炭素14の量を調べることによって今から何年前のものかわかるのじゃ。アメリカのリビーという物理学者がこの方法を開発し,この功績によってノーベル賞を受賞をしたのじゃよ。」
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| 麻衣: |
「へー,すごい発見ね。いろいろな科学の成果が考古学の研究を支えているんですね。」
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| 博士: |
「どうじゃ,麻衣さんも将来考古学者を目指しては。」
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| 麻衣: |
「いろいろな分野から考古学にアプローチ出来ることが分かったから,何の仕事をやるか分からないけれど,遺跡には興味を持ち続けていきたいわ。」 |
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