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約700年前のトイレを南九州で初確認

公益財団法人鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センターが令和5年度に発掘調査を行った諏訪ノ前遺跡(阿久根市)で,約700年前のトイレの遺構を確認しました。

諏訪ノ前遺跡は,阿久根市の標高34mのシラス台地上に立地し,発掘調査では,14世紀~16世紀(鎌倉時代~安土桃山時代)の集落跡が確認されています。

発掘調査では,直径約1.6m,深さ1~1.3mの円形土坑(穴)が6基確認され,内部から植物の種が検出されました。4基について土壌の寄生虫卵分析等を行ったところ,2基の土坑で回虫卵・鞭虫卵のほか,アブラナ科,ソバ属の花粉,ヤマモモの種,貝の蓋などが確認されました。

回虫・鞭虫は,寄生虫の卵が付着した生野菜を食べることによって感染します。寄生虫卵や食用植物の花粉が高濃度で検出された土は,糞便の堆積層と考えられます。

諏訪ノ前遺跡の円形土坑6基は14世紀(鎌倉時代~室町時代)のトイレであったことが判明し,これは,南九州において科学分析によってトイレ遺構と認定できた初めての事例となりました。

また,土壌分析から,当時の人々は寄生虫卵が付着した野菜のほか,コメ,ソバ,ゴマなどを食していたことが判明しました。

今回確認されたトイレ遺構は,鎌倉時代から室町時代におけるトイレの様子や食生活,衛生環境を知る上で重要です。