上の写真は,南さつま市の上加世田遺跡から出土した岩偶ですが,対(ペア)の岩偶ではありません。一方が本物で,もう一方がその複製(レプリカ)です。さて,どちらがレプリカでしょうか?正解は,カーソルを写真の上に置いてみてください。
でも,そっくりでしょう?わたしたちセンターの職員でも,ちょっと見だけではどちらが本物か見分けることができません。両手で持ち比べて,「重い方がレプリカかな」と,やっとわかるぐらい,細かいところまで,精巧に複製しています。
岩偶は,元々の材料が軽石ですので,非常にもろく,時間とともに風化していきます。ちょっと当てただけでも欠けてしまいますので,展示のときは,取り扱いにとても神経を使います。
また,下の木簡は,薩摩川内市の京田遺跡から出土したものですが,これも保存処理をきちんとしていても,木の材質上,時間とともに,繊維がもろくなっていきます。また,木簡に書かれた文字(墨書)も,紫外線にさらされることで,だんだんと薄くなり,判別できなくなっていきます。
そこで,レプリカの登場となります。劣化を防ぐため,収蔵庫の中で厳重に保管され,日の目を見ることができなかった貴重な資料を,精巧に複製したレプリカという形で,みなさんにどんどんお見せしていきたいと考えています。
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