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公益財団法人 鹿児島県文化振興財団 埋蔵文化財調査センター

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令和2年度

 

公益財団法人鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センターが,平成25年度から29年度に発掘調査した小牧遺跡(鹿屋市串良町細山田)の縄文時代の土器について

【内容】

(1) 小牧遺跡の整理作業において,縄文土器底部の表面にゴキブリの卵鞘(らんしょう:卵を包むカプセル)の圧痕が検出された。
土器の年代から,縄文時代後期(約4300年前)と推定される。
(2) 同時代のゴキブリ卵鞘の圧痕は,国内2遺跡目(3例目)で,県内初である。また,種類は2遺跡ともクロゴキブリと推定される。
(3) 当時のゴキブリの存在を証明でき,さらに他の圧痕資料と共に当時の土器作りや生活の環境を検証できる,非常に重要な資料である。

【評価】
(1)クロゴキブリはかつて,近世(18世紀)以降に日本に渡来した中国原産の外来種と考えられていたが,圧痕の検出によって縄文時代から日本に存在していた可能性が高まった。
(2)縄文時代の集落遺跡において“害虫”の圧痕が見つかったことは,当時の小牧遺跡に長期的な集落を維持できるような食糧資源が存在したことを裏付けている。
(3)遺跡が埋没する過程で失われてしまう有機質の資料を,圧痕から復元することができ,より当時の生活を詳細に推定できる。

【小牧遺跡の概要】
(1)調査起因:東九州自動車道建設
(2)調査期間:平成25~29年度
(3)調査面積:約19,200㎡
(4)その他:発掘調査報告書作成のために整理作業中

【指 導 者】
熊本大学 小畑弘己教授