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平成28年度

【平成28年12月20日発表】

 牧山遺跡から約2,000年前(弥生時代中期)の県内初,国内3例目となる青銅製の鑿(のみ)の出土を確認

 公益財団法人鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センターが調査している,牧山遺跡(鹿屋市串良町細山田)において,約2,000年前の竪穴住居跡から県内初,国内でも3例目となる青銅製の鑿(のみ)が出土しました。

【発見された遺物】
 (1) 鋳造された青銅製の鑿1点
  ア 長さ4.4cm,幅0.8cm,最大厚0.7㎝,重さ10g
  イ 棒状で一方の端に刃部が作り出され,全体が研磨されている。
  ウ 側面に鋳型の合わせ目の痕跡がある。
 (2) 銅剣などほかの青銅器を再加工したものではなく,鑿を目的として製作されたものと判断される。
 (3) 弥生時代中期の竪穴住居跡から出土し,年代が特定できる。

【遺物の価値(指導所見から)】
 (1) 弥生時代の,鋳造された青銅製の鑿は,県内初,全国でも3例目である。
 (2) 弥生時代の銅鑿には,遼寧(りょうねい)式銅剣の茎(なかご)を再加工した例があるが,これらを含めても5例
  目である。(茎:剣身の柄に覆われる部分)
 (3) 県内における弥生時代の青銅器の例は,銅矛・(どう)()片のような武器形祭祀具や銅鏡などに限られていた
  が,初めて工具が確認された。
 (4) 弥生時代における青銅製の工具の国内流通を考える上で,貴重な事例である。

【指導所見補足】
 (1) 愛媛大学:吉田広准教授
  ア 目視の範囲だが,当資料は錫の含有率が高く,堅さを求めて製作されている。
  イ 側面にある凹みは,鋳型の合わせ目にあたる。
  ウ このことから本遺跡で出土した青銅製品は工具として国内で製造された非転用銅鑿である。
  エ 当資料は北部九州で鋳造された可能性が高いが,使用痕はあまりみられないため,持ち込まれた牧山遺跡で
   の利用目的は不明である。(このあと,金属顕微鏡で裏面の刃部周辺に擦痕を確認。)
 (2) 鹿児島国際大学:中園聡教授
  ア 竪穴住居跡はベッド状遺構を持つ弥生時代中期によくみられるプランである。
  イ 住居跡内及び周辺から出土している遺物は,弥生時代中期後葉の山ノ口Ⅱ式土器と高付式土器である。銅鑿
   は同時期のものと思われる。

【遺跡の概要】
 (1) 遺跡名      牧山遺跡
 (2) 所在地      鹿屋市串良町細山田        ※遺跡分布地図にジャンプします。
 (3) 起因事業     東九州自動車道建設
 (4) 調査対象面積  延べ80,598㎡
 (5) 調査期間    
平成25年度~平成29年度(予定)(本年度4年目)
 (6) これまでの主な調査成果
  ア 弥生時代中期(約2,000年前)の竪穴式住居跡3軒,掘立柱建物跡4棟検出。
  イ 在地産甕壺(かめつぼ)などの土器・磨製石鏃,砥石のほか,北部九州産と考えられる土器が出土。
  ウ 隣接する田原迫ノ上遺跡では,同時期の竪穴住居跡31軒,掘立柱建物跡41棟を含む集落を検出してお
   り,関係性を注目している。

【展示公開】
 (1) 期間:平成28年12月21日(水)~平成29年1月31日(火)
 (2) 場所:上野原縄文の森展示館(霧島市)
牧山遺跡出土の銅鑿(長さ4.4㎝)
銅鑿の出土状況(竪穴住居跡内で検出した土坑内から出土)



【平成28年12月2日発表】

  九州で初めて,縄文時代後期前半の特殊な配石遺構群を持つ集落遺跡がみつかりましたので現地公開します
 
 公益財団法人鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センターでは,鹿屋市串良町細山田に所在する小牧遺跡において,縄文時代後期前半の「焼けた石皿」を持ち寄った上で埋めるという儀礼・祭祀を行った集落が見つかったので情報提供します。

【内容】
 (1) 縄文時代後期前半の遺構群である。
 (2) 焼けた花崗岩製石皿を横位に折断したものが地面に立った状態の遺構が17基出土。花崗岩製石皿の折断片と
  数点の円礫で構成される「集石」が9基出土。
 (3) (2)の分布域(配石群)の外側に竪穴住居跡群や土坑群が分布する。
 (4) 出土遺物は指宿式土器を主体とし,その中には大珠を模倣したものや石剣の破片と思われる石製品がある。

【評価】
 (1) 遺跡は,中央部に配石遺構群が,その外側に竪穴住居跡群が存在し,これらが一体となった集落構造をなす。
 (2) 調査区内に焼土域が発見されていないことから,「焼いて割った石皿」もしくは「割って焼いた石皿」を遺
   跡内に持ち寄って「立てた状態で埋める」という行為を集団で行った儀礼・祭祀の場である。
 (3) 縄文時代中期から後期の配石遺構は全国に見られ,墓や祭祀に関連するものとされる。石皿を伴う配石遺構
   は九州でみられることから地域性の強い儀礼・祭祀遺構であり,(2)のような配石遺構群を持つ集落遺跡は全
   国に例がない。

【指導者】
 (1) 國學院大学名誉教授  小林達雄
 (2) 鹿児島県考古学会会長 本田道輝
 (3) 奈良大学教授 小林青樹

【現地説明会】 ※ 終了しました
 日時:平成28年12月10日(土)
    第1回説明会 午前10時~正午  
    第2回説明会 午後1時30分~午後3時30分

【場所】
  小牧遺跡 鹿屋市串良町細山田   ※遺跡分布地図にジャンプします。

        ※ 現地説明会の詳細につきましては,ここからご覧いただけます。



【平成28年9月9日発表】

     縄文時代や中世の集落跡が発見された,小牧遺跡の現地説明会を開催します
 
 公益財団法人鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センターでは,以下のとおり鹿屋市串良町小牧遺跡で現地説明会を開催します。

【現地説明会の内容】
 (1) 小牧遺跡の概要
 (2) 中世の掘立柱建物跡等の説明
 (3) 縄文時代の竪穴住居跡や集石,出土土器等の説明
 (4) 出土品の説明・展示

【遺跡の内容】
 (1) 縄文時代から中世の集落跡である遺構・遺物が出土する複合遺跡です。

 (2) 特に注目される成果は,中世の屋敷や倉庫である掘立柱建物跡を発見したことです。今年度の調査で約30棟
  検出されました。

 (3) そのほか,縄文時代早期では約8,000年前の竪穴住居跡や,縄文時代後期では約4,000年前の集石や遺物の
  出土状況など昨年度の成果を含め紹介をします。 

【日時】 ※ 終了しました
 平成28年9月17日(土)  小雨決行
  第1回説明会 午前10時~正午
  第2回説明会 午後1時30分~午後3時30分        
【場所】
  小牧遺跡 鹿屋市串良町細山田   ※遺跡分布地図にジャンプします。

        ※ 現地説明会の詳細につきましては,ここからご覧いただけます。
掘立柱建物跡検出状況(中世) 掘立柱内焼石検出状況(中世)
溝状遺構内集石検出状況(中世) ピット内遺物検出状況(中世)
溝状遺構検出状況(中世) 連穴土坑完掘状況(縄文時代)
 
縄文時代早期竪穴住居跡完掘状況 
 
 集石検出状況(縄文時代)  縄文時代後期土器出土状況