鹿児島県上野原縄文の森トップページ
  • 平成25年7月12日(金)
  • (いと)しの窯道具(かまどうぐ)たち 〜窯を(ささ)える(えん)の下の力持ち(その3)〜
  •   お煎餅(せんべい)のような形の「センベイ」のほかに,バームクーヘンのような「センベイ」や突起(とっき)のついた「センベイ」もあります。バームクーヘンのような形の「センベイ」は,(けい)の小さなセンベイでは(ささ)えきれないような大型(おおがた)の皿を焼くときに使います。中央(ちゅうおう)写真(しゃしん)のように,何枚かを,大皿の底の大きさに合うように開いて()くのです。そうすると,大皿(おおざら)を焼く場合でも,大皿用の「センベイ」をわざわざ用意(ようい)する必要(ひつよう)がなく,「センベイ」を作る粘土(ねんど)節約(せつやく)にもつながります。
     どうやったら焼き物に(きず)を付けずに,しかも効率的(こうりつてき)に焼けるかと,陶工(とうこう)たちが試行錯誤(しこうさくご)()り返す中で,写真のようないろいろな形の窯道具が生まれてきたのでしょうね。
     さて,3回に渡ってさまざまな窯道具を紹介してきました。これらの窯道具は,決して焼き物の世界の主役(しゅやく)ではありません。しかし,なくてはならない名脇役(めいわきやく),はたまた,窯を支える縁の下の力持ちといっても過言(かごん)ではありません。そして,これらの窯道具は,『窯がどんな形をしていたのか』『窯でどんな焼き物が作られていたのか』さらには『焼き物がどんな技術(ぎじゅつ)によって作られているのか』など,さまざまなことを私たちに(かた)りかけてくれます。本当に愛しい窯道具たちなのです。
         
     バームクーヘンみたいな「センベイ」 こんなふうに使われます。  いろいろな形の窯道具