お煎餅のような形の「センベイ」のほかに,バームクーヘンのような「センベイ」や突起のついた「センベイ」もあります。バームクーヘンのような形の「センベイ」は,径の小さなセンベイでは支えきれないような大型の皿を焼くときに使います。中央の写真のように,何枚かを,大皿の底の大きさに合うように開いて置くのです。そうすると,大皿を焼く場合でも,大皿用の「センベイ」をわざわざ用意する必要がなく,「センベイ」を作る粘土の節約にもつながります。
どうやったら焼き物に傷を付けずに,しかも効率的に焼けるかと,陶工たちが試行錯誤を繰り返す中で,写真のようないろいろな形の窯道具が生まれてきたのでしょうね。
さて,3回に渡ってさまざまな窯道具を紹介してきました。これらの窯道具は,決して焼き物の世界の主役ではありません。しかし,なくてはならない名脇役,はたまた,窯を支える縁の下の力持ちといっても過言ではありません。そして,これらの窯道具は,『窯がどんな形をしていたのか』『窯でどんな焼き物が作られていたのか』さらには『焼き物がどんな技術によって作られているのか』など,さまざまなことを私たちに語りかけてくれます。本当に愛しい窯道具たちなのです。 |