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  • 平成25年8月26日(月)
  • 小さな体に大きな使命(しめい)背負(せお)って… 〜薩摩を(すく)った茶入(ちゃいれ)たち(その1)〜
  •   竪野冷水窯からは,抹茶(まっちゃ)を入れる(うつわ)である「茶入」が大量(たいりょう)出土(しゅつど)しました。その数はざっと見積(みつも)もっても1万個は下らないでしょう。
     接合作業を進めていくうちに,これらの「茶入」にはいろいろな形のものがあることがわかってきました。「茶入」の胴部(どうぶ)肩口(かたぐち)からストンとまっすぐ落ちる筒形(つつがた)肩衝(かたつき)形,全体の形が「茄子(なす)」の形に似ている茄子形,「林檎(りんご)」の形に似ている文林(ぶんりん)形,「瓢箪(ひょうたん)」の形に似ている瓢箪形など,見ていても楽しいものがあります。なかでもとくに多いのが全体の約9割を占める肩衝形です。
     肩衝形の茶入は,さらに細かく2つの種類に分けられます。冷水窯の茶入は,肩衝形の茶入の中でも,ロクロで作る小ぶりな「Ⅱ類(にるい)茶入」になります。一方,粘土紐(ねんどひも)を積み上げてつくる大ぶりなものを「Ⅰ類(いちるい)茶入」といい,こちらのほうが「Ⅱ類茶入」よりも古い時代のものです。
     実は,この「Ⅰ類茶入」が作られた背景(はいけい)には,薩摩藩の運命(うんめい)左右(さゆう)するようなドラマがあって,その小さな体には大きな使命が()せられていたのです。
     さて,その大きな使命とはいったい…(次回に続く)。
     
    上の段全部「茶入」!  竪野冷水窯出土の「Ⅱ類茶入」 「Ⅰ類茶入」(御里窯跡出土品) ※
  •                  ※ 『加治木町埋蔵文化財発掘調査報告書4 御里窯跡 2003年3月 加治木町教育委員会』より