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  • 平成26年12月12日(金)
  • 圧倒的な存在感とともに ~展示中の薩摩焼と須恵器~

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     センターの玄関を入ってすぐのところに,2つの大きな薩摩焼を展示しています。上の写真の左側は「三島手(みしまで)」と呼ばれる薩摩焼の植木鉢です。右側は「白薩摩」の植木鉢です。どちらも,鹿児島(鶴丸)城跡の発掘調査の際に出土したもので,直径約80㎝,高さ60㎝のとても大きな近世の薩摩焼です。
     また,センターのエントランスには,この植木鉢のほかに,須恵器の大甕を2つ展示しています。こちらの甕も相当大きく,大きい方は高さ80㎝,胴部が最大部で210㎝,小さい方でも高さ70㎝,同じく胴部が最大部で180㎝もあります。この2つの大甕は,南さつま市の芝原遺跡から出土した,古代の須恵器の大甕です。
     これらの展示品は,大きさばかりに目がいきがちですが,近くで見ると実に細かな手作業が施されていることがわかります。「三島手(みしまで)」に施された細かい文様や須恵器の表面に規則正しく施されたタタキ目,そして「白薩摩」のきめ細かな胎土(たいど)。作られた時代は違っても,そこには当時の人々の確かな技を垣間見ることができます。繊細かつ存在感あふれる姿をぜひご覧ください。
       
     こちらが「三島手」の植木鉢(上の写真左側)  こちらが「白薩摩」の植木鉢(上の写真右側)
       
    深緑色の器面に白い文様が浮き出ています。   大小2つの須恵器もなかなかの存在感です。
     ※三島手… 
     朝鮮の高麗時代や李朝時代に見られる焼き物の文様を真似たもので,陶器の素地に細かい文様を型押しして,その部分に白土を入れて上から透明の釉薬をかけて焼いたものです。
     室町時代から江戸時代にかけて,伊豆の三島神社が発行した三島暦の仮名に文様が似ているため,この名称がついています。
    ※胎土…土器や陶磁器を製作する際にあたって原材料として使用された土のことです。