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  • 平成26年3月13日(木)
  • 明らかになってきた白薩摩の世界 〜その1〜
  •   薩摩焼といえば,これまで取り上げてきたような茶入(ちゃいれ)茶釜(ちゃがま)などの黒い焼き物(「黒薩摩」)のイメージが強いですが,竪野(たての)冷水(ひやみず))窯跡からは,写真のような,白い薩摩焼もたくさん出土しています。この白い薩摩焼のことを「白薩摩」といいます。「黒薩摩」が広く一般(いっぱん)庶民(しょみん)にまで使われていたのに対して,「白薩摩」は,藩主(はんしゅ)をはじめとした上級武士層(じょうきゅうぶしそう)が使用しました。そのため,藩御用達(はんごようたし)の竪野(冷水)窯跡からは,白薩摩の破片(はへん)がたくさん出土しています。
     さて,復元(ふくげん)した白薩摩を目の前にすると,まず純白(じゅんぱく)で細かい粒子(りゅうし)胎土(たいど)心奪(こころうば)われます。それはまるでつるんとした杏仁豆腐(あんにんどうふ)のようです。また,木の葉や花びらをかたどったものもあり,現代でも十分通用するような,とても洗練(せんれん)されたデザインです。さらには,細かいところまで唐草文(からくさもん)(ほどこ)されたり,()かし()りという技法(ぎほう)を用いてハートの形にくり抜いたりとその技の(たく)みさにも(おどろ)かされます。当時の上級武士たちの目利(めき)きの(たし)かさと,それに(こた)える職人の巧みな技にただただ驚嘆(きょうたん)するばかりです。
       
    デザインもとても洗練されています。
       
    細かいところまで,職人の技が施されています。  
     
    ※ 薩摩焼については,かごしま考古ガイダンス第29回で紹介しています。こちらも,併せてご覧ください。