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カテゴリー: (公財)埋蔵文化財調査センター

新城跡の報道発表について

新城跡において中世阿久根氏の防御施設が初確認され,報道発表が行われました。

発表事項:「中世阿久根氏の防御施設を初確認」

内容:

(1) 本遺跡は,標高36mのシラス台地上に立地している。発掘調査では,一辺12m,深さ3mの方形に掘られた大型土坑や通路跡と考えられる遺構が発見された。
(2) 通路跡は,シラスを2.5m程掘削して造られており,底は35㎝と狭い。多くの人数が往来できないように,緩やかに蛇行し,大型土坑の手前で直角に折れ曲がっている。
(3) 遺構の年代は,15世紀~16世紀頃(室町時代~安土桃山時代)である。周辺では同時代の掘立柱建物跡や炉跡が発見されている。

評価:

(1)発見された遺構は,山城の虎口(出入口)に類似しており,防御施設と考えられる。
(2)標高の低い台地上に大型土坑を掘削し防御施設とする事例は,九州において類例がなく,中世山城の構造を考える上で重要である。
(3)新城跡は阿久根を治めていた阿久根播磨守良正が16世紀に築城したといわれているが,具体的な位置は不明であった。今回の発見によって,新城跡の位置や築城方法の解明が期待できる。
 また,本遺跡の防御施設は隣接する北山遺跡の防衛を目的としている可能性がある。

遺跡の位置
防御施設
台地へと下る通路跡
参考:防御施設の3D画像

12月の発掘調査

北山遺跡(阿久根市)

落とし穴が見つかりました。

埋土からは遺物が出土していませんが,埋土や逆茂木痕の様子から鎌倉時代~近世の可能性が考えられます。

逆茂木を固定する石組がこれほどはっきりしているものは他になかなか見られません。

 

新城跡(阿久根市)

新城跡の最上段を10月から掘り下げていましたが,現在3mほど掘り下げられています。

そこから,土器,石器などの遺物が出土しています。中にはサンゴもあり,どうのような用途で使われたのか謎は深まります。

 

萩ヶ峰A遺跡ほか(鹿屋市)

竪穴建物跡3軒と大型土坑1基の遺構が検出されました。それらの遺構内から甕や壺などの遺物が出土しました。

 

現地説明会を開催しました!~北山遺跡(阿久根市)

 12月3日(土),北山遺跡(阿久根市)で発掘調査の現地説明会を開催しました。現地説明会は今年で3回目の開催となり,地域の住民をはじめ150人ほどの見学者がありました。

 

 見学者は,鎌倉時代から室町時代の集落跡や縄文時代以降の落とし穴,江戸時代の炉跡などの説明を聞いたり,出土品を見学したりしました。北山遺跡は,鎌倉時代に阿久根を治めていた有力者一族が居住していた可能性が考えられています。

 

 また,発掘調査を体験できるコーナーでは,子どもから大人まで多くの参加者でにぎわい,あちこちで遺物を見つけて歓声をあげる光景も見られました。

 

江戸時代の炉跡を説明しています。   (炉跡は炭窯の可能性があります。)

 

 

鎌倉時代の溝跡を説明しています。    (溝跡は堀の可能性があります。)

 

発掘体験の風景です。大人も子供も真剣です。

 

発掘体験コーナーで出土品の説明を行っています。

 

遺物展示コーナーです。北山遺跡で発見した縄文時代前期(約6,000年前),古墳時代(約1,700年前),平安時代(約1,200年前),鎌倉・室町時代(約600~800年前),江戸時代(約150~400年前)の出土品を展示しました。

10月の発掘調査

六反ケ丸遺跡(出水市)

貴重な木製品や弥生時代の土器が発見されました。

発見された木製品。弓の可能性が高いです。
発見された弥生土器

 

北山遺跡(阿久根市)

柱を固定させるために片側に石を詰めた柱穴跡(ちゅうけつあと)が発見されました。また,焼土(しょうど)や鉄滓(てっさい)が発見され,カマドに関係する炉の跡である可能性があります。

柱穴に詰められた石
赤い部分が焼土です
流動滓(高温で鉄を作るときに,炉から流れ出た状態で固まった残りです)

 

新城跡(阿久根市)

大型の窪地が発見されました。窪地は自然の作用でもできますが,今回発見された窪地は,人が何かの目的で作った遺構(いこう)に土が溜まったものです。当時の人が何のためにここを掘ったのかを知るために調査をしています。

発見された窪地
125cmほどの深さです(掘り下げ途中です)

 

萩ヶ峰A遺跡ほか(鹿屋市)

竪穴建物跡にじょうろで水をまいています。乾燥が進むと遺構が傷む場合があるからです。

水まきの様子1
水まきの様子2

 

9月の発掘調査

北山遺跡(阿久根市)

中世(約800年前)の建物の柱穴痕や土器などが発見されています。また,縄文時代のものと思われる石鏃(せきぞく【やじり】)も発見されています。

柱穴に大きな礫が入っていました。建物の屋根にのせる重石であった可能性があります。

石鏃(せきぞく 【やじり】)が発見されました

 

新城跡(阿久根市)

焼けた土の入った土坑(どこう)が発見されました。近くに炭化物が入っている土坑もあり,関連があるかを調べています。

焼土が入っていた土坑

 

六反ヶ丸遺跡(出水市)

昔の川跡から墨で文字が書かれた土器が発見されました。

「志」という字が書かれています
「宮人」という字が書かれています

 

萩ヶ峰A・白水A・山ノ上B遺跡

白水A遺跡で旧石器時代(約15,000年前)の調査をしています。

旧石器時代の調査のため通称「マンション掘り」「千鳥掘り」「市松掘り」などという掘り方で調査を進めています。

 

台風対策

① 発掘調査

埋蔵文化財調査センターでは,梅雨時期や台風が接近するときは,遺物(いぶつ)や遺構(いこう),建物や道具の破損を防ぐ保護を行います。遺跡にブルーシートをかぶせたり,プレハブやトイレを風から守る工夫をしています。

 

寒冷紗をまとめる六反ヶ丸遺跡
ブルーシートで覆われた六反ヶ丸遺跡
作業をする萩ヶ峰A遺跡
プレハブの対策をする萩ヶ峰A遺跡

 

②整理作業

発掘中の遺跡だけではなく,発掘した遺跡の成果をまとめる整理作業でも対策を行います。整理作業所では,遺物を守るのはもちろん,整理作業に必要な資料やパソコンなどの機材類,道具類も保護します。

養生された道具類
資料の養生作業
復元途中の土器の保護

令和4年9月18日に到来した台風14号は「スーパー台風」と呼ばれるなど大きな台風でしたが,幸い大きな被害はありませんでした。

財団体験フェア2022 

8/27(土)・28(日)の2日間,宝山ホールで「みて きて ♫ あそぼう!鹿児島県振興財団体験フェア2022」が開催されました。

27日は「まつやま先生のドキドキ縄文土器」という考古学講座が行われ,縄文時代の遺跡や遺物について説明しました。参加者の中には,小さなお子様もいらっしゃったので,縄文時代に親しみをもっていただくためにイメージキャラクターを作りました。異形石器(いけいせっき:目的・使用不明の石器)をモチーフにした髪飾りや上野原遺跡から出土した双子壺の文様をモチーフにした服を着用したイメージキャラクターです。他にも,クイズで縄文時代の生活を学んだり,縄文時代と同じ方法で文様を描くコースター作りをしました。1時間という短い時間ではありましたが,楽しんでいただけたのではないかと思います。

現代風にアレンジしたイメージキャラクター

 

講座の他にも土器ドキコースターや土器ドキアート,瓦文様スタンプの体験やクイズラリー,パネルの展示もありました。

 

パネル展示の様子

土器ドキコースターは,縄文時代の土器につけられていた文様を参考に,縄文人と同じようにキザミを入れた木の枝(押型文〈おしがたもん〉)を転がしたり,貝殻や縄ひも,竹などを使って文様をつけます。実際に体験してみると,思ってもいない文様が出てくることに驚いているようでした。体験後,「貴重な体験ができました。」という言葉をいただきました。お子様はもちろん,大人の方にも楽しんでいただけたようです。

 

 

 

素敵なコースターがたくさんできました。

 

貝殻や木(押型文)などを使って,魚をつくった方がいらっしゃいました。魚の文様がついた土器があったら楽しいですね。

土器ドキコースターは数量限定でなくなり次第終了の予定でした。準備した分は全てなくなり,体験できなかった方もいたようで,申し訳ありませんでした。また機会がありましたら,ぜひご参加ください。

 

土器ドキアートは,土器型のペーパークラフトです。色を塗ったら,オリジナルの紙の土器ができあがります。

瓦文様スタンプでしおりを作る体験もありました。

 

2日間を通して,100名を越える皆様に体験していただきました。毎年,財団体験フェアを行っておりますので,ぜひ来年もまたお越し下さい。お待ちしています。

8月の発掘調査

北山遺跡(阿久根市)

写真の溝状遺構(みぞじょういこう)は中世(鎌倉時代)のものではないかと考えています。1.5m近く掘り下げた溝の底から,大きな複数の石がまとまって置かれていることが分かりました。人が歩いた痕跡があり,道として使っていたようです。

溝状遺構

 

新城跡(阿久根市)

中世のものと考えられる土坑(どこう)や柱穴が見つかりました。これから掘り下げて詳しく調査していきます。

土坑や柱穴の跡を精査しています

 

六反ヶ丸遺跡(出水市)

地上から1.5m掘り下げたところで,約1,200年前の川跡が発見されました。川跡からは,その当時使われていた食器や壺なども一緒に発見されています。魚を捕るために使われていた土錘(どすい)も多く発見されています。

川跡
土錘

 

萩ヶ峰A・B,白水A,山ノ上B遺跡(鹿屋市)

旧石器時代の発掘調査の準備をしています。熱中症などの対策として,寒冷紗を屋根のように張って作業をしています。

手作業で掘り下げていきます(萩ヶ峰A遺跡)

 

イベント開催のお知らせ

8月27日(土)・28日(日) 宝山ホールで

「みてきてあそぼう!鹿児島県文化振興財団体験フェア2022」

というイベントを開催します。(入場料無料)

 

27日(土)は11:00~ 「まつやま先生のドキドキ縄文土器」という考古学講座を行います。

講座では,実際に粘土に貝殻などで文様をつけながら鹿児島の縄文時代について解説します。

定員60名です。(当日席もあります。)

 

また27日(土)12:00~       28日(日)10:45~

土器ドキコースター(数量限定:なくなり次第終了)・土器ドキアート(ペーパークラフト)・瓦文様スタンプ

でオリジナルのしおりなどを作ります。体験は無料でできます。ぜひ,お越しください。

土器ドキコースター

 

土器ドキアート(ペーパークラフト)

 

瓦文様スタンプ

詳しくは こちらをご覧下さい。

7c4cd2ebf28abc8220f9cf4525695ea0.pdf (houzanhall.com)

今後の感染状況によっては,内容を変更したり催しを中止することがあります。最新情報は宝山ホールホームページをご覧下さい。 宝山ホール(鹿児島県文化センター) | (houzanhall.com)