平成20年度に埋蔵文化財センターが国道270号(宮崎バイパス)改築工事に伴い発掘調査を実施した中津野遺跡で出土した木製品が,国内最古級となる弥生時代前期後半(約2,500年前)の準構造船の舷側板(げんそくばん)であることが判明しました。
準構造船:くり船に側板などの木材を組み合わせて,積載量が増えるようにした船
舷側板は,4月27日(火)から上野原縄文の森で展示しています。上野原縄文の森第60回企画展「どうして?!縄文体験~縄文時代の暮らしを学ぼう~」と併せてご覧ください。
舷側板の詳細
1 大きさ
幅約0.3m×長約2.73m×厚5cm
2 特徴
下部に径3㎝程度の規則的に並ぶ円形のほぞ穴がある(12か所)。
上部に6×3㎝程度の長方形のほぞ穴がある(5か所・一部破損)。
上端部に切り込みがある(6か所)。
3 舷側板と判断した理由
部材の加工の特徴や他の出土事例から判断
4 船の全長
約6m(推定)
5 年代
弥生時代前期後半(BC5世紀~BC4世紀)
6 評価
舷側板が出土した中津野遺跡は,東シナ海にそそぐ万之瀬川の支流の境川に面し,下流には弥生時代の貝の交易で有名な高橋貝塚が所在している。中津野遺跡の出土土器からも広域での交易がうかがわれ,当時,高度な造船技術を要する外洋航海が行われていたことを物語る重要な資料である。また,環東シナ海という視点での造船技術や交流を考える上でも貴重である。