鹿児島県上野原縄文の森 (公財) 鹿児島県文化振興財団上野原縄文の森 埋蔵文化財情報データベース 鹿児島県立埋蔵文化財センター (公財) 鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター
MENU

鹿児島県立埋蔵文化財センター

鹿児島県上野原縄文の森 HOME 公財 鹿児島県文化振興財団鹿児島県上野原縄文の森 埋蔵文化財情報データベース 鹿児島県立埋蔵文化財センター 公財 鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター

カテゴリー: 南の縄文調査室から

このページは、発掘調査・整理作業・報告書作成の様子や、埋蔵文化財センタ内ーのできごとを紹介します。

発掘調査報告書から「高橋貝塚2」(南さつま市金峰町)

高橋貝塚は,鹿児島県南さつま市金峰町高橋に所在し,万之瀬川の支流堀川右岸の河岸段丘上にある貝塚です。

南九州における弥生時代前期を代表する貝塚で,弥生前期の高橋式土器の標式遺跡でもあります。出土するゴホウラなどから南島と西北九州の弥生貝交易の中継地として注目されてきました。

本遺跡は1949(昭和24)年に発見されましたが,1961(昭和36)年に田布施小学校の辻正徳氏の情報から,1962(昭和37)年8月に金峰町教育委員会が調査委員会をつくり,河口貞徳氏らによって再度,発掘調査が行われました。

調査の結果,貝塚のほかにも,住居跡や土坑などが見つかりました。また,縄文時代晩期の夜臼式土器,弥生時代前期の高橋Ⅰ式・Ⅱ式土器,板付Ⅰ式・Ⅱ式土器や,石器,骨角器,貝製品などが出土しています。

また,文化庁主催の「発掘された日本列島2025展」(外部リンクリンク)で展示されます。

『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(229)「高橋貝塚2」(PDF)

弥生時代の出土遺物

ゴホウラ加工品と廃材

オオツタノハ貝輪

出土骨角器

 

 

発掘調査報告書から「立塚遺跡2(古墳時代以降編)」(鹿屋市吾平町)

立塚遺跡は,鹿屋市吾平町に所在する縄文時代早期から近世にかけての複合遺跡です。今回の報告書は,古墳時代から近世かけての調査成果をまとめています。

古墳時代の調査では,土器の底部が入ったピットが検出され,甕や高坏,鉢等の遺物が出土しました。

また,古代の調査では,古道や溝状遺構,掘立柱建物跡,畝間状遺構等の遺構が検出され,多量の土師器の坏や椀,甕や須恵器等が出土しました。

さらに,近世の調査では,薩摩焼や肥前系の陶磁器が出土しました。

『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(228)「立塚遺跡2(古墳時代以降編)」(PDF)

遺跡空撮

古代埋設土器

古墳時代の出土土器

古代の出土土器

発掘調査報告書から「柳迫遺跡」(曽於市末吉町)

柳迫遺跡は曽於市末吉町深川に所在する遺跡です。令和5年度に発掘調査を行い,縄文時代後期,古代の遺物と中世の遺構が発見されました。
なかでも,中世の溝状遺構が4条検出されたことは,当時の人々の生活や行動の実態を知る手がかりとなりました。
また,縄文時代後期の遺物として,丸尾式土器や中岳Ⅱ式土器が出土しました。中岳Ⅱ式土器は,曽於市末吉町南之郷にある中岳洞穴のものが標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す指標となった遺跡)ですが,今回の発見で大隅半島における,中岳Ⅱ式土器の広がりを新たに確認することができました。

『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(227)「柳迫遺跡」(PDF)

遺跡空撮

中世の溝状遺構

縄文時代後期の遺物

 

企画展内覧会

4月23日,上野原縄文の森第72回企画展の内覧会を行いました。

今回のテーマは,「古代人に学ぶMOTTAINAI」です。

「再利用」や「転用」など,古代人の「知恵」と「工夫」をご覧ください。

詳しくは下記のページをご覧ください。
第72回企画展「古代人に学ぶMOTTAINAI」 » 2025年4月26日

【展示期間】
令和7年4月26日(土)~令和7年7月6日(日)
【展示場所】
上野原縄文の森 企画展示室

埋蔵文化財技術講座

令和7年2月13・14日に,市町村の埋蔵文化財担当職員を対象とした「埋蔵文化財技術講座(調査研究法)」を開催しました。

今回は「近世・近現代の文化財保護」をテーマとして,文化庁の桑波田文化財調査官を講師に招き,講義を通して現状と課題について説明していただきました。併せて,県や市町村教育委員会の活動の報告も行われました。

これからも研修を重ね,必要な技術等の向上と共に,さらなる文化財保護・活用を進めてまいります。

【参加者の感想】

  • 具体的な事例や考え方を聞くことができた。報告,事例発表をされた方に感謝します。
  • 桑波田調査官のお話がとても分かりやすかった。近世・近代の取扱いについて,文化庁の新たな考え方を知ることができた。
  • 周知の方法や,保存修理など,市で挙がる問題に対して興味深い話を聞くことができた。

桑波田調査官の講義

市町村から多くの担当に参加いただきました

県教育庁文化財課の講座「近世・近現代の遺跡-建造物と埋蔵文化財の関係-」

県観光・文化スポーツ部文化振興課世界文化遺産室の発表「明治日本の産業遺産の保存・活用について」

志布志市教育委員会の発表「志布志麓の武家屋敷の復元・公開について」

垂水市教育委員会の発表「史跡垂水島津家墓所の災害復旧工事ついて」

意見交換の様子

赤外線カメラで遺物を調査

今年度,精密分析室の赤外線カメラを新しく入れ替えました。

赤外線カメラは,土器や木簡などの表面に書かれた,消えそうになっている墨文字などの判別を行うことができます。顔料や炭などの鉱物性物質が赤外線に吸収されて,センサーに黒く写るのです。

整理作業ではこのように科学の力で分析を行い,より詳しい調査を行っています。

赤外線カメラ装置

〇の部分に墨で文字が書かれています

赤外線カメラの映像

避難訓練

毎年1月26日は,「文化財防火デー」です。昭和24年1月26日に,現存する世界最古の木造建造物である法隆寺(奈良県斑鳩町)の金堂が炎上し,壁画が焼損したことに基づいて制定されました。

埋蔵文化財センターでも毎年この日にあわせて,避難訓練を実施しています。今年は,1月24日に実施しました。

センター内から火災が発生したと想定して,職員が安全に素早く避難場所に集合できるか訓練を行い,また,避難後に消火訓練も行いました。どの訓練も,素早く適切に行うことができました。

今後も防災意識を高め,文化財愛護意識の高揚や啓発に取り組んでまいります。

出火に対する初期消火

避難の様子

消火訓練の様子