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整理作業の方法

  • ■整理作業の流れ■
  • 1 搬入(はんにゅう)
  • 発掘調査が終わると,遺跡から出土した遺物が埋蔵文化財センターの搬入口に運び込まれます。
    運び込まれた遺物は,しばらくの間収蔵庫に収められ,整理作業の日を待ちます。
  • 2 水洗い(みずあらい)
  • 水洗い運び込まれた遺物には土が付いているので,水で洗い落とします。
    センターでは,エントランスホールのすぐ横に水洗・乾燥室があり,運び込まれた遺物を一斉に水洗いすることができます。

    また,洗った遺物はこの部屋で乾燥させます。
    このとき,遺物と遺物カードがばらばらにならないように気をつけます。
  • 3 注記(ちゅうき)
  • 注記乾いた遺物に,カードに書かれているデータを書き込む作業です。
    土器など割れて小さくなったものがほとんどなので,書き込む文字も小さく書く必要があり,とても気を使う作業です。

    土器などの裏の目立たない場所に,小さく,しかも,はっきりと書いていきます。
    中には,小さな石鏃(やじり)などのように,書いてはいけないものもあります。そのときは,小さな透明なケースなどに,カードと一緒に入れておきます。
  • 4 接合・復元(せつごう・ふくげん)
  • 接合・復元色や形,文様などをてがかりにして,つながる部分をさがしてくっつけていきます。この作業を接合作業といいます。

    また,足りない部分には石膏などを流し込んで元の形にしていきます。
    この作業は復元作業と呼ばれます。
    文様をつけたりした後,色を塗って仕上がりです。
  • 5 実測(じっそく)
  • 実測接合・復元した土器や石器などを,正確に計って記録していきます。
    これを実測作業といいます。報告書に載せるために,正確さが特に要求される作業です。

    土器などの形を写し取る「マコ」や,厚みを計る「キャリパー」,石器に垂直に立てて形を追いかける「L定規」などの小型の道具のほか,形や文様を鏡を通して実測する「ニシオグラフ」という大型の機械も使用されています。
  • 6 拓本(たくほん)
  • 拓本土器などについた特徴的な文様を浮き上がらせる作業です。
    石碑などで行われるもの(「乾拓」といいます)と違って,水で濡らして形を浮き立たせ,乾燥した後すぐに行うもので,「湿拓」といいます。

    実測では表現が難しい,文様の微妙なところが表現できるので,よく使われる方法です。
  • 7 トレース
  • トレース実測した図面を仕上げる作業です。
    トレーシングペーパーという専用の用紙を使って,間違えないように細心の注意をはらいながらきれいな図面に仕上げていきます。

    この図が報告書に載るため,非常に気を使って書いていきますが,かすれてしまったり,太くなってしまったりと,とにかく気の休まるときがありません。
  • 8 写真撮影(しゃしんさつえい)
  • 写真撮影遺物の写真を撮って,記録に載せます。 報告書にも選んで載せます。
    遺物の特徴がよくわかるように,機材の位置や照明などを工夫して撮影します。
  • 9 報告書刊行(ほうこくしょかんこう)
  • 報告書刊行調査についてのすべてのことがらを網羅して,それぞれの事柄について,必要かつ的確に記録して行き,それぞれの遺跡の「発掘調査報告書」として刊行します。

    発掘調査は,この報告書の刊行と,遺物の収蔵・公開によって終了するといえます。
    報告書は,大学などの研究機関,都道府県や市町村などの行政機関,国立国会図書館などの広報機関などに配布されます。 > 発掘調査報告書一覧
  • 10 収蔵・保管(しゅうぞう・ほかん)
  • 収蔵・保管発掘調査で出土した遺物は,センターの収蔵庫に収蔵されます。
    普及活動の一環として展示されたり,いろいろな施設,学校などに持ち込まれて「生きた教材」として活用されるなど,効率的な運用が心がけられます。

    いろいろな機関からの問い合わせに応じて,収蔵庫から検索されるため,いつでも取り出せるようにきちんと整理しておくことが必要です。
    また,将来は,本来あった市町村の大切な文化財として,返還される日も来るかもしれません。
  • ■整理作業室■
  • 1 位置
  • 入り口からエントランスホールに入ると,右側に整理作業が眺められる廊下が続いています。
    一番入り口に近い場所は,水洗・乾燥室で,整理作業はここから始まります。
    この部屋のとなりに,出土品整理作業室,ここでいう整理作業室があります。> 案内図はこちら
  • 2 作業内容
  • 作業内容ここでは,調査された遺跡から運び込まれた遺物を水洗した後の,写真撮影までのいろいろな作業が行われます。

    実測やトレースは,となりの実測製図室で行うようになってはいますが,整理・報告書作成作業の流れの関係から,この整理作業室で通して行うことが多いかもしれません。
  • 3 作業手順
  • 作業手順水洗された遺物は,丁寧な文字で注記され,接合・復元という過程を経て,実測が行われます。
    遺物によっては,文様などを正しく表現するために,拓本をとったりします。

    実測した図面をもとに,トレースを行ない,きれいな図に仕上げます。
    その図を組み合わせて1枚の図面に仕上げ(レイアウトといいます),引き続いてそれらの図についての文章を書いて報告書として仕上げます。
  • ■見学のポイント■
  • 廊下側から作業の様子を眺めることになりますので,細かい作業についてはご覧いただきにくいかと思います。お気軽に近くの職員までおたずねください。