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南の縄文調査室から平成25年3月

  • 平成25年3月6日(水)
  •   これで()されたら(いた)いかも…剥片尖頭器(はくへんせんとうき)ほか~ 
     レモン形土器にかわって,2階展示ケースに登場したのは,旧石器時代(およそ25,000年前)の剥片尖頭器(はくへんせんとうき)などの石器です。当時の人々はこれらの石器を(ぼう)の先につけて,オオツノジカなどの獲物(えもの)をしとめていたのではないかと考えられています。石器の刃はかなり(するど)くとがっていて,これで刺されたオオツノジカはさぞかし痛かったことでしょう。
     鋭く加工された刃先には,「オオツノジカよ,待ってろよ」という執念(しゅうねん)さえ感じられます。ぜひ,旧石器時代の人々の生きる(すべ)を感じていただきたいと思います。
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  • 平成25年3月8日(金)
  •  思わず食べてしまいそう ~明恵の接合日記~ 
  •  ずいぶん日にちがたってしまいましたが,みなさんあの茶釜のこと覚えていらっしゃいますか?あの茶釜,あのあとずいぶんと大きくなって,写真のように立派に成長しました。どうです,この丸い底!まるで「ベビーカステラ」のようです。思わずナデナデしてしまいました。
     ふたの部分もぴったりとくっつきます。内側もしっかり(ゆう)がかけてあって,丁寧(ていねい)に焼かれたことがわかります。さすが殿様御用達(ごようたし)の窯だけのことはあります。う~ん,実にいい仕事してます。
     さて,食べ物つながりでなんですが,冷水窯(ひやみずがま)の遺物の中から,月日貝(つきひがい)にそっくりな鉢の破片が見つかりました。つりの大好きな(オー)係長は,破片片手に「月日貝は,刺身(さしみ)でも,焼いて醤油(しょうゆ)をたらしてもおいしいんだ。ひもの部分からいいダシが出るんだよ。」と熱弁(ねつべん)をふるっていました。それくらい精巧(せいこう)に貝を()して作っています。
     さて,次はどんな食べ物,いや,どんな破片が見つかるのか,まだまだ私の接合日記は続きます。
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  • 平成25年3月18日(月)
  • 「あわび」か「とこぶし」か,それが問題だ!~明恵の接合日記~

  •  冷水窯の破片の中から,写真のような皿の破片を見つけました。「あわび」か「とこぶし」をモデルにしていると思うのですが,いったいどちらなのでしょう。
     ところで, 「カツオブシ」は「勝男武士(かつおぶし)」と漢字をあてて,戦国時代の武士の間で縁起物(えんぎもの)として重用(ちょうよう)されていました。調べてみると,「あわび」も,「のしあわび」を「打ちあわび(あわびの肉を打って薄くのばしたことから)」とよんで,お祝いに贈っていたそうです。
      「とこぶし」にも「武士」がつくからいいかな,でも「床武士(とこぶし)」って縁起悪いよね,なんて考えながら,破片を接合していくと,皿の表面に4つの突起(とっき)があることがわかりました。これで皿のモデルが「あわび」であることがはっきりしました。「あわび」の(から)の表面には4~5個の突起があるのです。
     この「あわび」の皿も,「カツオブシ」と同じように,武運長久(ぶうんちょうきゅう)の縁起物だったのかもしれませんね。
     さて,わたしの謎解きはまだまだ続きます。
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             皿の外側               皿の内側          突起が4つ(長いのは(きゃく)です)