令和4年6月24日(金)に照信院跡の発掘調査成果について,現地公開を行いました。
平日の午後の開催にも関わらず,自治会長さんをはじめ約20名の来跡がありました。
最初に,大崎町の史跡ガイドブック「おおさきの歴史を旅してみませんか」の執筆に協力している鳥越氏から,照信院跡の古代から明治における概説紹介が行われました。28か所の坊(僧の住居や宿舎)があり,県内最大規模の修験道の寺院があったことが説明されました。
発掘調査については,『三国名勝図会』の配置を参考に行い,東西に各1条の溝を発見し,この溝の内側(現熊野神社を中心)には,玉砂利状の小礫(3㎝大の石)が多く敷き詰められ,遺物(薩摩焼や土師器)が出土したこと,また,その溝を挟んだ内側は,聖域として区画された場所の可能性があり,『三国名勝図会』にある回廊付近にあたると考えられることなど,絵図と発掘調査の成果が一致したことなどを報告しました。
また,出土遺物についても,懸仏(かけほとけ:銅などの円板に仏像を鋳たものを付けたり浮き彫りにしたりしたもの。寺社の堂内に懸けて礼拝したもの)の一部と考えられる華甁(けびょう:仏前に花を供えるのに用いる壺)や,13世紀の青磁などを紹介し,参加者からはいろいろと質問がありました。
地元の方々からは,小さいときの現地の記憶や,祖父母や親から伝承された貴重な情報をいただきました。
15時頃からは,大崎コミュニティラジオに急遽出演し,照信院跡の調査成果をより多くの方に広報することができました。
今回の現地公開は,地元の方々の関心の高さをヒシヒシと感じるものとなりました。
※ 現地公開の当日資料はこちらからダウンロードできます(PDF)