令和5年1月18日(水)・19日(木)に,埋蔵文化財技術研修講座(調査研究法)を開催しました。この講座は,主に市町村の埋蔵文化財担当等職員を対象とし,最新の法令・制度について知識を深め,業務に関する技術を習得することを目的としています。
1日目は,「文化財保護行政の現状と課題」と題して,文化庁の近江俊秀主任文化財調査官に講義を行っていただきました。埋蔵文化財保護制度の成り立ち,高輪築堤の保存,今後の人材育成,文化庁の近年の取組,情報発信などについて,実例を交えながら説明していただきました。
2日目は,「文化財を災害から守る-現状と課題-」をテーマに,独立行政法人国立文化財機構文化財防災センターと共同開催しました。午前中は同センター長の高妻洋成氏に「文化財を災害から守る」と題して,文化財防災の歴史や災害対策基本法・防災基本計画などの講義を行っていただきました。
続いて,九州国立博物館副館長の小泉惠英氏に「平成28年熊本大地震における文化財レスキュー」と題して,地震後の初動から文化財レスキュー開始まで,実際のレスキューの対応・処置などを紹介していただきました。
午後からは,「水損紙資料のレスキューと応急処置」の実技を行いました。泥や水で汚れてしまった紙資料の処置に必要な機材や作業を進めるための注意点を聞き,洗浄・乾燥の実技を見た後,参加者ひとりひとりに,実際のレスキュー作業を経験してもらいました。参加した方々からは,「紙資料の保存方法が理解できた」,「思ったよりも簡単で,これならできそうだ」という感想がありました。
今回の研修講座を通して,最新の文化財保護行政の知識を得ることができ,また,多くの文化財を災害から守り残していくための技術を学ぶことができました。