発掘調査で見つかった土器は,ほとんどが破片でバラバラの状態で見つかります。使っていた土器が割れてしまったから捨てたり,地中に埋まっている間に土の重みで割れてしまったりするからです。
そんなバラバラの状態で見つかった土器の破片から,同じ個体の破片を探してくっつける作業を「接合」といいます。今回はその次の作業,「復元」について紹介します。「復元」は文字どおり割れた土器をもとの形に直す作業です。埋蔵文化財センターでは現在,2人の整理作業員さんがこの作業に当たっています。
土器の形を「復元」するために,破片の一つ一つをていねいに専用の接着剤で付けていきます。このとき,土器の底部または上部からつなげていきますが,隣り合う土器の面と面をしっかり合わせることが重要です。そうしないと,形に歪みが出て,最後でうまくつながらないことがあるからです。
土器は時代ごとに形や文様・飾りが異なります。また,ひとつひとつが昔の人の手作りであり,個体によって器形が微妙に違います。その細かな差を考慮して復元していきます。
土器片が見つからなかった部分は石こうなどで埋めます。このときも,もともとの土器の厚さや傾きに合わせて埋めていきます。継ぎ足したり削ったり,細かな調整を繰り返していきます。また,写真撮影にあわせて,色合いを整えるため石こう部分に色を塗ることもあります。
このように,復元作業は様々な配慮が必要になりますが,熟練の作業員さんの手によって,その姿が現代によみがえるのです。