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滝ノ上火薬製造所跡発掘調査経過

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    【滝ノ上火薬製造所跡の発掘調査について】
     
     平成30年12月26日(水)まで滝之神浄水場排水処理場近くの滝ノ上火薬製造所跡の発掘調査を行いました。
     

     
     安政5年(1858年)に鍋島藩士が薩摩藩に視察に来た際に描かれた絵図が現代に残されています。
     この絵図は,「薩州見取絵図」といわれ,薩摩藩第28代藩主島津斉彬が推進した集成館事業の中核である工場群「集成館」をはじめ,当時の鹿児島の様子を知ることができる,大変貴重な資料です。
     絵図の中には,「銃薬方」として,滝ノ上火薬製造所も描かれています。絵図から,稲荷川の上流には7基の水車と稲荷川から水を引いている水路があったこと,また,下流には事務方の事務所や調合所・保管庫などがあったことが分かります。
     滝ノ上火薬製造所跡の発掘調査では,調査する場所を決めるとき,このような絵図も参考にしています。
     
     


  • 上流付近の導水路跡


    水路の石垣


    水路の底の敷石


    水車または水量調整のための水路
       
     滝之神浄水場排水処理場の上流付近には,当時の導水路が残っていました。これらは,稲荷川の水を引き込んで,下流の施設へ水を送る導水路の一部と考えています。
     導水路は,約50万年前の姶良カルデラの噴火や火砕流で形成された吉野火砕流堆積物(溶結凝灰岩の岩盤)を加工して作られています。また,水車に引き込んだと思われる,水路または水量調整のための水路も発見されており,薩州見取絵図のとおり火薬製造所に水車があったことが裏付けられました。
     今回の調査で,当時の石垣の残存範囲と導水路の残存が確認できたことが大きな成果です。
     今後は,埋め戻しを行い,遺跡の保存を図ります。そして,さらなる調査・研究・活用に備えたいと考えています。
     
  • 調査の様子 
     
    「薩州見取絵図」の「滝ノ上火薬製造所」は,武雄市歴史資料館のページにあります。
    https://www.city.takeo.lg.jp/rekisi/kikaku/2008/sassyuu/sassyuu.html(外部サイトに移動します)
     

     県立埋蔵文化財センターでは,西南戦争関連遺跡の中から,「滝ノ上火薬製造所跡(鹿児島市)」(現在調査中),「高熊山激戦地跡(伊佐市)」,「笠取戦跡(霧島市)」,「岩川官軍墓地跡(曽於市)」を,順次,発掘調査する予定です。
     そして,遺跡近隣の小中学校,高等学校に埋文職員が出向いて,これらの発掘調査の成果をもとに,出土品を活用した授業支援を実施する予定です。
     また,実施した授業内容等をまとめた資料集(学習指導案を含む)も刊行する予定です。