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角筒土器ほか

  • 上野原遺跡発掘30周年
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     円筒形と角筒形,そしてレモン形土器の発見!
     上野原遺跡の集落跡から出土した縄文土器の文様は縄目ではなく,主に,「ハイガイ」や「サルボウ」といった海に生息する貝で文様が施されています。形は,上から見た形が○の円筒形と□の角筒形があり,胴部は筒状,底部は平らになっています。
     角筒形は全国でもほとんど例のない特殊な形の土器です。南九州で独自に発生したと考えられ,上野原遺跡で用いられていた頃が文様・形状ともに最も美しいと言われています。また,土器の厚さは薄く仕上げられており,当時の土器製作技術の高さが窺えます。この土器は,広く南九州一帯に分布しており,平底の特徴など南九州の独自性が濃くなっています。
     用途としては,煮炊きやドングリなどのあく抜きに使われたと考えられています。
     また,この時期の土器として円筒形・角筒形の土器の他に,上から見た形がレモン形をした土器があることがわかってきました。「レモン形」と呼ばれるこの土器は,口縁部の突起が角筒形は4か所であるのに対し2か所で,突起のない部分は丸くなっています。底部の平底と文様の形態は,円筒形・角筒形と同じです。
     
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     前原遺跡出土のレモン形土器  建山遺跡出土のレモン形土器
       
  •  表2 レモン形土器が見つかっている遺跡
     上野原遺跡出土の土器
    (円筒形,角筒形,レモン形)
     【参考・引用文献 】黒川忠広2003「南九州貝殻文系統土器の組合せに関する覚え書き」『年報・紀要 縄文の森から』創刊号鹿児島県立埋蔵文化財センター
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     形の整った石皿
     上野原遺跡からは,木の実を磨りつぶす道具として石皿が数多く出土しています。その一部は,わざわざ手間をかけて形を整えたもので,加栗山遺跡から出土した石皿と形が似ています。上野原遺跡のこの石皿は,完全な形のものはなく,割れた一部分が出土しています。
     その後発掘調査された永迫平遺跡や定塚遺跡からも,使い込まれた完全な形の石皿が見つかり,縄文時代早期前葉(約9.500年前)期に見られる石皿の一つの形であることが再確認されました。
     この時期の大規模な集落跡からこのような石皿が見つかることは,定住が始まって,当時の人々の生活に余裕ができたからかも知れません。
    形の整えられた石皿と磨石(左:定塚遺跡,中央:永迫平遺跡,右:加栗山遺跡)
  • 1 レモン形土器が出土している遺跡の位置図(PDF)
    2 レモン形土器が出土している遺跡一覧表(PDF)