埋文センターの撮影スタジオ~「写場」
遺跡の発掘調査で発見された遺構や遺物は,整理作業を経て,発掘調査報告書で紹介されます。
掲載方法は,遺物や遺構を説明する文章や特徴を表した図面,そして,質感や形状,色を正確に伝える写真です。
埋蔵文化財センターには,「写場(しゃじょう)」という写真撮影専用のスタジオがあります。この写場は,撮影スタジオとしては,九州内でも有数の施設です。
通称「シノゴ」と呼ばれる大判フィルムカメラやデジタル一眼レフカメラ,専用の撮影台,複数の大型ストロボ。これらの機材を駆使して,職員が撮影しています。また,撮影した白黒フィルムは,写場内で現像もできます。
こうして撮影された写真は,報告書や展示図録等に使われるだけではなく,写真そのものが歴史資料としての「文化財」としての価値があります。そのため,写真撮影をする職員は,「文化財」の素晴らしさや魅力が伝わるように撮影技術を磨いています。
発掘調査報告書は,PDFをホームページで公開しています。その中の写真もぜひ,ご覧ください。

発掘調査に科学の力
遺跡の発掘調査は,掘ったらそれで終わりではありません。発掘後の整理作業で,どんな遺跡でどんな遺構や遺物がみつかったかを,様々な方法,ものの見方をとおして報告書にまとめます。
これら整理作業の中でも,最新の科学技術を活用して調査にあたる部署が埋蔵文化財センター内にあります。今回は,その部署について紹介します。
「精密分析室」
ここでは,理化学的な機器を使って出土した遺物などを様々な方法で分析しています。分析機器類には,遺物を拡大して観察できる顕微鏡や,成分を調べる蛍光X線分析装置などがあります。遺物がどのような方法で製作されたか,どんな素材でできているかが分かります。

「鉄器処理室」
遺跡の調査をしていると,鉄や銅でできた遺物や昔のお金が出土することがあります。鉄器処理室ではこれらに含まれる塩分や水分を除去して保存する作業を行っています。こうすることで,さびや風化から金属製品を守ることができます。

「木器処理室」
鹿児島県でも農具(のうぐ)や木簡(もっかん)などの木製品が出土しています。木器処理室ではこれらの木製品が乾燥したり変形したりして壊れてしまうのを防ぐために,薬品を使って処理しています。木製品に薬品をしみこませる作業は数か月から1年もの時間がかかります。

歴史だけでなく,科学に関心のある方も,埋蔵文化財センターを見学してみませんか。
第55回上野原縄文の森企画展講演会
9月28日,現在開催中の第55回上野原縄文の森企画展「新発見! かごしまの遺跡」の講演会がありました。
今回は,企画展開催地の上野原縄文の森から国分公民館に出張して実施しました。
講演会で紹介した遺跡は,「本御内遺跡(霧島市)」「六反ヶ丸遺跡(出水市)」です。
発掘調査を担当した県立埋蔵文化財センターと(公財)県文化振興財団埋蔵文化財調査センターの職員が,発掘時の様子や調査成果を報告しました。
また,会場には,それぞれの遺跡の出土遺物を間近で見ていただく展示コーナーも設け,好評でした。
参加者のみなさんは,両遺跡の報告を聞き,その発見に心を動かされた様子でした。
企画展は,上野原縄文の森で11月10日まで開催しています。今回紹介した遺跡以外にも,県内遺跡の最新の調査成果を展示しています。
ぜひ,上野原縄文の森までお越しください。
熊本地震の復興支援へ職員派遣
現在,埋蔵文化財センターでは,平成28年4月に起きた熊本地震の復興支援のため,職員1名を益城町に派遣しています。
そしてこのたび,さらに1名を熊本県へ派遣することとなり,その出発式が行われました。
派遣の任期は,10月からの半年間になります。熊本県内で,全国から派遣されている職員とともに,発掘調査を行います。
慣れない土地で業務を行うことは難しい面もありますが,各職員の知識や経験を活かし,お互いの意見を交わしながらの調査が,被災地域の速やかな復旧・復興につながることを願っています。
半年後,その成果報告を楽しみにしています。
安全パトロールの実施(久保田牧遺跡・廣牧遺跡)
6月20日,鹿屋市吾平町にある久保田牧遺跡と廣牧遺跡の安全パトロールを行いました。両遺跡とも,6月から発掘調査が始まった遺跡です。
安全パトロールは,発掘調査が安全・安心な環境のもとで実施できるよう,センター職員が直接現場の見回り・点検を行う活動です。
今回安全パトロールを行った両遺跡とも,道具の整理整頓,通路の整備や安全柵の設置など,作業環境は適切に管理されていました。現場内は重機やベルトコンベヤーが動いていますが,これらに対しても注意喚起が行われていました。
今後も安全に気を付けて,またこれからの時期は熱中症や台風・大雨対策も行いながら,発掘作業を続けていくことを担当者と確認しました。
センターでは,遺跡ごとに定期的な安全パトロールを実施しています。
発掘調査が始まりました~牧B遺跡(曽於市末吉町)
牧B遺跡は,曽於市末吉町檍にある遺跡です。飯野松山都城線(末吉道路)整備に伴う工事のために,6月から発掘調査を開始しました。
平成28年度に行った確認調査では,縄文時代の土器が見つかっています。今回の調査でも,縄文時代の人々の生活の跡が見つかるのではないかと思われます。今後の成果にご期待ください。
発掘調査の様子は,見学できます(ただし,土日祝・月末を除く)。見学を希望される団体や個人の方は,事前に埋蔵文化財センターまでお問い合わせください。
企画展講演会がありました~南種子町立茎南小学校・大久保浩二校長先生
6月1日,上野原縄文の森で開催中の第54回企画展「バックナンバー 古の美術品Ⅱ~新聞でみた考古資料~」の講演会がありました。
講師は,埋蔵文化財センターの前次長で,現在は南種子町立茎南小学校の大久保浩二校長先生でした。
講演では,現在の勤務校の紹介に始まり,企画展で展示されている遺物の紹介,ご自身が関わった遺跡の発掘調査当時のエピソードを,ユーモアを交えながら語っていただきました。
会場の皆さんも,話に聞き入ったり声を上げて笑ったりと,和やかな雰囲気でした。
今回の講演で,多くの方々に県内の遺跡・遺物のすばらしさを理解していただけたと思います。
大久保校長先生,ありがとうございました。
関連ページ 第54回企画展「バックナンバー 古の美術品Ⅱ~新聞でみた考古資料~」
遠足見学(鹿屋市立田崎小学校)
5月24日,田崎小学校の6年生と引率の先生方あわせて101名が,遠足で埋蔵文化財センターの見学に訪れました。
子どもたちは,目の前に並んだ本物の土器や石器に目を輝かせていました。
また,仕事の様子をメモしたり,疑問に思ったことは進んで質問したりするなど,学習に対しても意欲的でした。
埋蔵文化財センターでは,遠足等の見学を受け付けています。
上野原縄文の森(展示館)が受付の窓口となっておりますので,見学を希望される学校・団体等は,上野原縄文の森(展示館・0995-48-5811)までお問い合せください。
職場体験学習(霧島市立舞鶴中学校)
5月22日から24日まで,霧島市立舞鶴中学校の生徒3年生5名が,埋蔵文化財センターで職場体験学習に参加しました。
整理作業の土器洗い・注記・接合,科学分析やデジタル処理等を体験しました。
いずれの作業も,職員や作業員さんの指示や話をよく聞き,真剣に取り組んでいました。
生徒たちは3日間の職場体験を通して,働くことの大切さや楽しさを味わうことができたようです。
埋蔵文化財センターでは,中学生・高校生の職場体験学習,大学生のインターンシップ等を受け入れています。
詳しくは,埋蔵文化財センターまでお問い合わせください。
避難訓練を実施しました
上野原縄文の森では,年に2回,地震や火災に備えて,初期消火・通報及び避難誘導等の消防訓練を実施しています。
5月21日,今回は地震が起きたと想定し,来所者や職員の安全を確保するとともに,その後に起きた火災から安全に避難する訓練を行いました。
地震が起きたことを館内放送で知らせると,作業員さんたちは,さっと机の下にかくれて身体を守ることができました。また,その後の火事に対しても,決められたルートを通って避難場所へ集合することができました。
最後には,職員による放水訓練も行いました。
災害はいつ起こるかわかりませんが,万が一の際は,今回の訓練の成果を活かしていきたいと考えています。