埋文だより第81号
かごしま遺跡フォーラム中止のお知らせ
3月7日(土)に開催を予定しておりました「かごしま遺跡フォーラム」は,新型コロナウイルスの国内での感染拡大に伴い,安全の確保のため中止することを決定しましたのでお知らせします。
参加を予定されていた方々には,ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんが,何卒ご理解いただければと存じます。
初雪
令和2年2月17日,上野原縄文の森に初雪が降りました。
夜のうちに降った雪が18日の朝うっすら積もっていました。
遺跡の確認調査
前回,遺跡を見つけるには分布調査を実施することを紹介しました。遺跡を見つけたその後は,実際の有無を確認する「試掘調査」,遺跡の時代や範囲を調べる「確認調査」を行います。
その確認調査を,令和2年2月に鹿屋市吾平町で実施しました。トレンチ(確認用の穴)を数か所掘り,遺構や遺物の検出を行いました。トレンチからは,土器などの遺物がみつかり,遺跡の時代を決める手がかりとなりました。また,掘ったトレンチの壁面からは,どのような地層が積み重なっているかが確認できました。
このように,確認調査によって遺跡の概要が分かります。



遺跡の分布調査
鹿児島県内には,8000を超える遺跡があります。こんなにたくさんの遺跡があるなんて驚きますね。
でもどうやって,遺跡を見つけるのでしょうか。今回は,そんな遺跡を見つける方法の一つ,「分布調査」を紹介します。
土器や石器などの遺物は普段,地面の下に埋まっていますが,耕作や天地返しなどによって地上に出てくることがあります。「分布調査」とは,現地を実際に歩いて地上に出てきた遺物の表面採集を行ない,遺跡の有無を調べることをいいます。分布調査を行って,これら地上に出てきた遺物が見つかったということは,そこが遺跡の可能性があるということです。その後,実際にトレンチ(試し掘りの穴)を掘って遺跡の有無を調べる「試掘調査」,より多くのトレンチを掘って遺跡の時代や範囲を調べる「確認調査」を行って,遺跡の存在を明らかにしていきます。
埋蔵文化財センターでは,2月上旬,田んぼの耕地区画整備に伴って分布調査を実施しました。市町村の埋蔵文化財担当職員と埋蔵文化財センターの職員が田んぼを歩き,遺物が落ちていないか確認しました。このような調査によって,新しい遺跡が見つかったり,遺跡の範囲が広がったりします。



霧島市立国分小学校での出前授業
令和2年1月29日(水)に,霧島市立国分小学校で,6年生4クラスを対象に出前授業を実施しました。
国分小学校の敷地は,本御内(もとおさと)遺跡(舞鶴城跡含む)内にあります。今回は,隣接する国分高校の校舎改築事業に伴い実施された,同遺跡の発掘調査成果の紹介を中心に行いました。
授業では,「国分小学校のむかしを知ろう」という<めあて>を立て,見つかった遺物や遺構をもとに,弥生時代・奈良時代・室町時代・江戸時代・近代の様子に関するクイズを出題しました。
児童たちは,「そんな昔から人々が生活していたんだ」,「教科書に載っている武家屋敷の図と同じように,周りに溝が見つかっているんだ」などと,これまでの授業と関連付けながら学ぶことができました。
また,実際に出土した遺物を手に取って,「こんなにたくさん見つかったんだね」,「どのような使い方をしていたのかな」,「見た目よりも重いな」,「こんな手触りなんだ」,と感想を述べていました。
授業を通して,自分たちが通う国分小学校が遺跡の上に建っていることを知り,その遺構や遺物を見たり触ったりして実感することで,より地域の歴史に関心を持つことができたようです。
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かごしま遺跡フォーラムを開催します
「発掘調査が解き明かす鹿児島城と西南戦争の物語」と題して,以下の日時・内容でフォーラムを開催します。
事前申し込み・参加費は不要で,どなたでも参加できます。
日時 令和2年3月7日(土) 午後1時~午後4時20分
会場 鹿児島県歴史資料センター黎明館
講演「鹿児島城跡の保存と活用」(仮) 文化庁主任文化財調査官 山下信一郎氏
発表
① 鹿児島(鶴丸)城跡の発掘調査中間報告
② 滝ノ上火薬製造所跡の発掘調査成果
③ 高熊山激戦地跡・笠取戦跡の発掘調査速報
④ 「西南戦争を掘り,学ぶ事業」授業支援の実践例
参加費 無料
申込 不要
文化財防火デー(避難訓練)
毎年1月26日は,文化財防火デーです。昭和24年1月26日に法隆寺の金堂が炎上し,壁画が焼損したことから,この日が制定されました。国民の文化財愛護に関する意識の高揚を図るため,日本各地で文化財防火運動を展開しています。今年はこの日に近い1月24日(金)に,埋蔵文化財センター・(公財)埋蔵文化財調査センター・上野原縄文の森との合同で,火災による避難訓練を行いました。
今回は,上野原縄文の森展示館から火災が発生したと想定し,消防署への連絡,来客者や職員の避難誘導,初期消火活動などの訓練を行いました。どの訓練も,素早く適切に行うことができました。また,消防署の方から火災時に注意してほしいことの説明も受けました。
今後も防災意識を高めるとともに,文化財愛護意識の高揚や啓発に取り組んでまいります。
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埋蔵文化財専門職員養成講座(上級講座)を開催しました
1月16日(木)と17日(金)に,埋蔵文化財専門職員養成講座(上級講座)を開催しました。
この講座は,主に市町村の埋蔵文化財担当等職員を対象とし,最新の法令・制度について研修を深めたり,業務に関する情報交換を行ったりしています。
今回は,「埋蔵文化財の保護と活用」というテーマで開催し,市町村から約30名の参加者がありました。
1日目は,文化庁文化財第二課埋蔵文化財部門の近江俊秀主任文化財調査官を講師として迎え,「埋蔵文化財保護行政の制度と運用」,「埋蔵文化財発掘調査等に係る補助制度」,「埋蔵文化財保護行政の現状と課題」と題した講義を行っていただきました。
2日日は,埋蔵文化財の活用事例として,県文化財課から「島津家墓所」,東串良町から「唐仁古墳群」,埋蔵文化財センターから「災害復興支援」,鹿児島市地域プロデューサーから「日本遺産認定と今後の活用」の報告がありました。
報告後の質疑応答は,参加者からたくさんの質問や感想,各市町村の取り組み等が出され,活発な議論が交わされました。
今回の研修が,参加者のみなさんにとって,大変有意義で今後の業務に役立つものになったと思います。来年度も参加をお待ちしています。
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鹿屋市立吾平小学校の遺跡見学
12月14日(土)に,吾平小学校の6年生50名が,久保田牧遺跡の見学に訪れました。
児童たちは,発掘調査の担当者から遺跡の説明を聞いたあと,まず,地層の見学を行いました。久保田牧遺跡では,鬼界カルデラ(約7,300年前)や池田カルデラ(約6,400年前)の火山灰層が見つかっています。理科の勉強で学んだ地層の積み重なりを,実際に目にすることができました。
次に,遺構の見学を行いました。古墳時代(約1,500年前)の竪穴住居跡では,その大きさに驚き,担当者の話から当時の人々の生活を思い浮かべることができたようです。
最後に,出土した遺物を間近で見たり,火山灰を顕微鏡で観察したりしました。
児童たちは,自分たちの学校の近くに遺跡があることを知り,地域の歴史により一層興味を持った様子でした。
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