1月15日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。
今回は,「標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)」をテーマに,河口氏が発掘調査を行った「岩崎遺跡(錦江町田代麓)」,「春日町遺跡(鹿児島市春日町)」の2遺跡を紹介しています。
岩崎遺跡の発掘調査は,昭和25(1950)年12月5日~9日に行われました。調査の結果,比較的浅い上部から出土する土器と,下部の深いところから出土する土器があり,それぞれ形状が異なることから,岩崎上層式土器,岩崎式土器と呼んで報告しています。また,岩崎式土器を縄文時代中期後半に位置づけ,岩崎上層式土器は指宿式土器に類似することから,縄文時代後期前半に位置づけました。
春日町遺跡は,昭和27(1952)年に発見され,翌年まで3次にわたって発掘調査が行われました。発掘調査には,河口氏が教鞭(きょうべん)をとっていた鹿児島市立玉龍高等学校の生徒たちが多く参加しました。この遺跡で見つかった春日式土器は,瀬戸内地方の船元Ⅲ・Ⅳ式土器や里木Ⅱ式土器の影響を受けてつくられたことが分かってきました。また,春日式土器は形や文様の変遷から,大きく3つの時期に細分されており,その年代も縄文時代中期中頃から後半に該当する約4,800~4,600年前と考えられています。
上野原縄文の森にて,ご覧ください。
展示期間
令和3年1月16日(土)~令和3年5月14日(金)