「上加世田遺跡里帰り展」講演会
現在「上加世田遺跡里帰り展」を行っている南さつま市の「歴史交流館金峰」で,令和5年2月17日(土)に,講演会「上加世田遺跡は語る」を行いました。
地元の方々を中心に約50人の参加があり,講演では,当センターの前迫文化財主事が,「上加世田遺跡」の発掘調査の様子や見つかった遺構や遺物の話をし,館内の展示遺物を説明するギャラリートークも実施しました。
またその後,南九州縄文研究会主催の座談会「上加世田遺跡を語ろう」が実施され,こちらも約20人の参加者がありました。遺跡や遺物について,様々な話が交わされて,充実した会となりました。
「上加世田遺跡里帰り展」は,「歴史交流館金峰」で3月19日(日)まで実施しています。
この機会に会場に訪れて,貴重な資料の数々をご覧ください。
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講演会の様子 |
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里帰り展示の様子 |
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座談会の様子 |
上加世田遺跡 里帰り展
2月6日(月),南さつま市と共同開催する「上加世田遺跡(南さつま市)里帰り展」の展示の準備作業を行いました。
この展示は,故河口貞徳氏が発掘調査した「上加世田遺跡」の歴史的意義や価値について,出土品などを遺跡の地元で展示して紹介することを目的としています。
上加世田遺跡は,縄文時代後期の建物跡や大量の土器や石器,岩偶などが見つかった南九州を代表する遺跡で,「上加世田式土器」の標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)にもなっています。
ぜひ,お越しいただき,縄文時代の南さつま市を感じてください。
期間:令和5年2月7日(火)~3月19日(日)
入場料:無料
発掘調査の成果については,以下のリンクから報告書をダウンロード(PDF)することができます。
『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(209)「上加世田遺跡1(1~3次調査)」
『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(216)「上加世田遺跡2」
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令和4年度河口コレクション展示~標式遺跡シリーズⅥ~
令和5年1月20日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。
今回は,「標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)」をテーマに,河口氏が発掘調査を行った「前平遺跡(鹿児島市)」,「南洲神社遺跡(同市)」の2遺跡を紹介しています。
前平遺跡は,鹿児島市街地の吉野台地の前縁部,標高143mの独立丘陵上にあります。
昭和27(1952)年3月,河口氏は当時勤務していた玉龍高校の生徒の保護者が所有する畑が遺跡であることを聞き,生徒と共に現地の調査を行いました。アカホヤ火山灰下部の包含層から,縄文時代早期の土器を発見し,新発見の型式であったため「前平式土器」と名付けられました。
南洲神社遺跡は,前平遺跡の南南西約1km,標高50mの同じ丘陵上の縁辺部にあります。
昭和31(1956)年11月,河口氏は南洲神社墓地の西縁に残存する堤防上の包含層を発掘調査し,縄文時代早期の前平式土器や石鏃・石匙などを発見されました。
この遺跡から出土した前平式土器は,文様などの違いで分類ができる土器が含まれており,その後の土器型式の細分に影響を与えました。
その貴重な調査成果を,上野原縄文の森にてご覧ください。
展示期間
令和5年1月21日(土)~令和5年5月12日(金)
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令和4年度河口コレクション展示~成川遺跡(指宿市)~
8月27日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。
今回は,「成川遺跡(指宿市)」を紹介します。
成川遺跡は指宿市山川町で発見された遺跡です。標高38~73mの丘陵(きゅうりょう)が東へ張り出した尾根の先端部分の南斜面に立地しています。また,南九州の古墳時代の土器様式である「成川式土器」の標識遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)ともなっています。
発掘調査の結果,成川遺跡は弥生時代中頃の祭祀を行った場所であることや,弥生時代後期から古墳時代にかけての巨大な墓地であることがわかりました。
河口氏は,遺跡が発見された1957(昭和32)年と翌1958(昭和33)年の文化財保護委員会(現文化庁)による発掘調査に参加されていました。
その貴重な調査成果を,上野原縄文の森にてご覧ください。
展示期間
令和4年8月27日(土)~令和5年1月13日(金)
令和4年度 「河口コレクション」展示~上加世田遺跡(南さつま市)~
5月13日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。
今回は,「上加世田遺跡(南さつま市)」を紹介します。
上加世田遺跡は,縄文時代後期後葉から晩期前半期の南九州を代表する遺跡で,「上加世田式土器」の標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)にもなっています。
過去12回にわたって発掘調査が実施されており,故河口貞徳氏は,1次から6次までの発掘調査に調査統括として参加され,その後も調査指導者として関わってこられました。遺跡では,縄文時代後期の建物跡や大量の土器や石器,岩偶などが見つかっています。
その貴重な調査成果を,上野原縄文の森にてご覧ください。
展示期間
令和4年5月14日(土)~令和4年8月26日(金)
また,埋蔵文化財センターのエントランスでは,同じ「河口コレクション」の標式遺跡である「高橋貝塚(南さつま市)」・「入来遺跡(日置市)」・「山ノ口遺跡(錦江町)」の展示を行っています。こちらもぜひ,ご覧ください。
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~奄美大島・徳之島の調査~ 令和3年度第2回河口コレクション
今回の展示では,奄美大島と徳之島の遺跡について紹介します。
奄美諸島における河口氏の遺跡調査は,1954(昭和29)年の奄美大島学術調査団として行った奄美市宇宿貝塚の発掘調査から始まり,1984(昭和59)年の沖永良部島に所在する中甫洞穴の発掘調査まで続けられました。その間,奄美諸島の土器編年を中心に研究を進め,多くの論文を発表しています。
これらの調査により,鹿児島県本土から約400㎞離れた奄美大島や徳之島の先史文化が明らかになりました。また,さらに約200㎞先に位置する沖縄における遺跡の解明にも大きく寄与しました。
その調査成果と出土品を,上野原縄文の森でご覧ください。
【展示期間】
令和3年9月18日(土)~令和4年1月14日(金)
【今回紹介する遺跡】
宇宿貝塚(奄美市笠利町宇宿)
朝仁貝塚(奄美市名瀬大字朝仁)
嘉徳遺跡(瀬戸内町嘉徳)
喜念貝塚(伊仙町面縄)
面縄貝塚(伊仙町面縄)
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~弥生時代の祭祀遺跡「山ノ口遺跡」~令和3年度第1回河口コレクション
上野原縄文の森で現在,河口コレクションの山ノ口遺跡(錦江町)を展示しています。
山ノ口遺跡は,南九州の弥生時代を代表する遺跡です。昭和33(1958)年から昭和36(1961)年にかけて,河口貞徳氏を中心に3回の発掘調査が行われました。
発掘調査の結果,地表から1mほど掘り下げた砂地の上に,軽石を円形に並べた配石遺構(はいせきいこう)が9基検出されました。直径が3mのものや立石(りっせき)を伴うものもありました。配石遺構の周りには,ほぼ完全な形の土器や軽石製品が並べられていました。
土器は,赤く塗られた北部九州から持ち込まれた甕形土器やジョッキ形の土器,それに頸(くび)の長い壺や台付の鉢形土器など,一般的な集落遺跡では出土しない形のものでした。また,土器には故意に孔があけられていました。
さらに,軽石製品は男女を象った岩偶(がんぐう),男女の生殖器を象ったもの,勾玉(まがたま)などがありました。
これらのことから,山ノ口遺跡は祭祀(さいし)のための特別な場所だったと考えられます。県内外でもこの様な遺跡は他になく,大変重要な遺跡であることから,遺跡は町指定史跡となり,出土品は県指定有形文化財になっています。
その貴重な出土品を,上野原縄文の森でご覧ください。
展示期間
令和3年5月15日(土)~9月17日(金)
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令和2年度 第3回「河口コレクション」展示 ~標式遺跡~
1月15日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。
今回は,「標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)」をテーマに,河口氏が発掘調査を行った「岩崎遺跡(錦江町田代麓)」,「春日町遺跡(鹿児島市春日町)」の2遺跡を紹介しています。
岩崎遺跡の発掘調査は,昭和25(1950)年12月5日~9日に行われました。調査の結果,比較的浅い上部から出土する土器と,下部の深いところから出土する土器があり,それぞれ形状が異なることから,岩崎上層式土器,岩崎式土器と呼んで報告しています。また,岩崎式土器を縄文時代中期後半に位置づけ,岩崎上層式土器は指宿式土器に類似することから,縄文時代後期前半に位置づけました。
春日町遺跡は,昭和27(1952)年に発見され,翌年まで3次にわたって発掘調査が行われました。発掘調査には,河口氏が教鞭(きょうべん)をとっていた鹿児島市立玉龍高等学校の生徒たちが多く参加しました。この遺跡で見つかった春日式土器は,瀬戸内地方の船元Ⅲ・Ⅳ式土器や里木Ⅱ式土器の影響を受けてつくられたことが分かってきました。また,春日式土器は形や文様の変遷から,大きく3つの時期に細分されており,その年代も縄文時代中期中頃から後半に該当する約4,800~4,600年前と考えられています。
上野原縄文の森にて,ご覧ください。
展示期間
令和3年1月16日(土)~令和3年5月14日(金)
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山ノ口遺跡の里帰り展示(河口コレクション)の中止について
山ノ口遺跡出土品の里帰り展示
山ノ口遺跡(肝属郡錦江町)は,昭和33年~36年に故河口貞徳氏が主体となって,発掘調査を実施した遺跡です。
南九州の弥生時代中期を代表する標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)であるとともに,環状の配石遺構の周囲に岩偶などの軽石製品や孔が開けられた多数の土器などが出土した祭祀遺跡として学史的にも著名です。
県内外でもこのような遺跡は他になく,大変重要な遺跡であることから,遺跡は町指定史跡となっています。また,出土品は県指定有形文化財になっており,県立埋蔵文化財センター,錦江町,県歴史・美術センター黎明館で保管されています。
今回,その山ノ口遺跡出土品の里帰り展示を,錦江町で実施することとなりました。実に,60年ぶりの里帰りとなります。
貴重な出土品の実物展示,発掘調査時の写真展示などを行っていますので,ぜひ,会場にお越しください。
展示会場:錦江町文化センター1階 (肝属郡錦江町城元910番地)
展示期間:令和2年12月19日(土)~令和3年1月11日(月)
12月21日,12月28日~1月4日,1月12日は休館
展示解説:県立埋蔵文化財センター職員による解説
第1回 12月26日(土) 10:00~14:00
第2回 1月6日(水) 10:00~14:00(中止)
主催:県立埋蔵文化財センター
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