よみがえる「河口コレクション」の世界「黒川洞穴里帰り展」
黒川洞穴は,鹿児島県日置市吹上町にある洞穴遺跡です。1952年に河口貞徳氏らが調査を行いました。
出土品は,鹿児島県立埋蔵文化財センターに保管しています。
今回,日置市教育委員会と共催で,里帰り展を開催することとなりました。
貴重な遺物や発掘調査の様子を展示紹介し,講演会も行います。
ぜひ,日置市吹上歴史民俗資料館でご覧ください。
開催期間:令和6年7月8日(月)~9月12日(木)
休館日 土・日・祝日
(7月14日・28日,8月11日・25日,9月8日は開館)
展示会場:日置市吹上歴史民俗資料館
入場料 :開催期間中は無料
講演会 :令和6年8月25日(日) 受付 13:00 終了 15:40
講演会会場:吹上中央公民館
講演内容:「黒川洞穴の整理作業でわかったこと」 鹿児島県立埋蔵文化財センター 堂込秀人
「黒川洞穴の発掘調査と吹上の縄文時代」 元鹿児島県立埋蔵文化財センター次長 池畑耕一 氏
「河口コレクション」とは
河口コレクションとは,長年,鹿児島県の考古学界をリードしてきた考古学者,河口貞徳氏(1909~2010)が調査した遺跡の記録や,土器や石器などの考古資料のことです。
河口氏は昭和20年代から約60年間にわたり,多くの遺跡を発掘し,遺物の時期や生活内容の解明を進めてきました。その資料は鹿児島県の歴史や文化を知る上で大変貴重なものとなりました。
出水貝塚里帰り展講演会
11月18日(土),出水市立出水小学校体育館で,『よみがえる河口コレクションの世界「出水貝塚里帰り展講演会」』を実施しました。
まず初めに,当センター所長があいさつを行い,河口貞徳氏の功績と河口コレクションの概要について説明しました。続いて,出水市商工観光部文化スポーツ課の駒寿ひとみ課長に,出水貝塚について紹介していただきました。
講演では,「出水貝塚の発掘調査の成果と課題-平成の調査を中心として―」と題して,岩崎新輔さん(出水市商工観光部文化スポーツ課)に,出水市教育委員会が平成8~10年に行った調査の成果を報告していただきました。
次に,「河口コレクションの整理・報告書刊行にあたって」と題して,鹿児島県立埋蔵文化財センターが刊行した発掘調査報告書「出水貝塚」の担当者であった松山初音さん((公財)鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター文化財専門員に,内容紹介と,そこで明らかになった遺跡の重要性を報告していただきました。
講演会終了後は,隣接する出水麓歴史館に移動して,ミュージアムトークを行いました。参加された方々は,実際の遺物を見られて,質問を交えながらその素晴らしさに感動されていました。
「出水貝塚里帰り展」は,出水麓歴史館で1月16日(火)まで開催しています。ぜひお越しください。
今回の資料(PDF)は,下記のリンクからダウンロードできます。
また,発掘調査報告書(PDF),出水貝塚の3DやARもご覧ください。
鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書「出水貝塚」(PDF)
よみがえる「河口コレクション」の世界 里帰り展「出水貝塚」
長年,鹿児島県の考古学をリードしてきた河口貞徳氏が調査した出水貝塚の遺物を地元出水市で展示します。
また,講演会も実施します。
展示期日 11月16日(木)~1月16日(火) (水曜は休館)
展示場所 出水麓歴史館
講演会日時 11月18日(土) 午後1時~午後3時50分
講演会内容 出水貝塚の発掘調査の成果と課題
講演会会場 出水市立出水小学校体育館
参加費 無料
申し込み 不要
令和5年度河口コレクション展示~奄美諸島の遺跡から~
令和5年9月9日から,上野原縄文の森展示館の「河口コレクション」コーナーを「奄美諸島の遺跡」に入れ替え,展示しています。
奄美諸島における河口貞徳氏の遺跡調査は,1954(昭和29)年の「宇宿(うしゅく)貝塚(奄美市)」に始まり,1984(昭和59)年の「中甫(なかふ)洞穴」まで続きました。
今回紹介するのは,それらの遺跡から「中甫(なかふ)洞穴(知名町)」,「住吉(すみよし)貝塚(知名町)」,「喜念(きねん)貝塚(伊仙町)」,「面縄(おもなわ)貝塚(伊仙町)」,「嘉徳(かとく)遺跡(瀬戸内町)」です。それぞれの遺跡の特徴や代表的な遺物を展示,紹介しています。
これらの貴重な成果を,上野原縄文の森展示館にてご覧ください。
展示期間 令和5年9月9日(土)~令和6年1月8日(金)
河口コレクションについてはこちらもご覧ください。
河口コレクション – 鹿児島県立埋蔵文化財センター (jomon-no-mori.jp)
今回紹介した遺跡は,以下の報告書に掲載されています。
『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(200)「吐噶喇・奄美の遺跡」(PDF)
令和4年度刊行報告書から「市来(川上)貝塚」(いちき串木野市)
市来貝塚は,縄文時代後期の南九州を代表する遺跡で,平成6(1994)年3月16日付で鹿児島県の史跡に指定されました。また,「市来式土器」の標式遺跡にもなっています。
過去7回にわたって実施された発掘調査のうち,昭和36(1961)年3月に実施された資料が『河口コレクション』に収められており,令和4年度に発掘調査の記録を刊行しました。
2つのトレンチからは,大量の貝類と共に縄文土器・土製品や石器・石製品,貝製品や骨角製品が数多く出土しました。また,埋葬遺構が見つかっており,検出された3体の人骨は,調査から60 年以上経過した今日においても,類例が少ない縄文人骨の検出例として極めて貴重な資料となっています。
令和5年7月22日(土)から,上野原縄文の森第67回企画展「新発見!かごしまの遺跡2023~発掘調査速報展~」において,その調査成果を展示・報告します。ぜひ,上野原縄文の森に来園されて,ご覧ください。
今回紹介した「市来(川上)貝塚」の発掘調査報告書は,以下のリンクからPDFデータでダウンロード・閲覧できます。
「上加世田遺跡里帰り展」講演会
現在「上加世田遺跡里帰り展」を行っている南さつま市の「歴史交流館金峰」で,令和5年2月17日(土)に,講演会「上加世田遺跡は語る」を行いました。
地元の方々を中心に約50人の参加があり,講演では,当センターの前迫文化財主事が,「上加世田遺跡」の発掘調査の様子や見つかった遺構や遺物の話をし,館内の展示遺物を説明するギャラリートークも実施しました。
またその後,南九州縄文研究会主催の座談会「上加世田遺跡を語ろう」が実施され,こちらも約20人の参加者がありました。遺跡や遺物について,様々な話が交わされて,充実した会となりました。
「上加世田遺跡里帰り展」は,「歴史交流館金峰」で3月19日(日)まで実施しています。
この機会に会場に訪れて,貴重な資料の数々をご覧ください。
講演会の様子 |
里帰り展示の様子 |
座談会の様子 |
上加世田遺跡 里帰り展
2月6日(月),南さつま市と共同開催する「上加世田遺跡(南さつま市)里帰り展」の展示の準備作業を行いました。
この展示は,故河口貞徳氏が発掘調査した「上加世田遺跡」の歴史的意義や価値について,出土品などを遺跡の地元で展示して紹介することを目的としています。
上加世田遺跡は,縄文時代後期の建物跡や大量の土器や石器,岩偶などが見つかった南九州を代表する遺跡で,「上加世田式土器」の標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)にもなっています。
ぜひ,お越しいただき,縄文時代の南さつま市を感じてください。
期間:令和5年2月7日(火)~3月19日(日)
入場料:無料
発掘調査の成果については,以下のリンクから報告書をダウンロード(PDF)することができます。
『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(209)「上加世田遺跡1(1~3次調査)」
『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(216)「上加世田遺跡2」
令和4年度河口コレクション展示~標式遺跡シリーズⅥ~
令和5年1月20日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。
今回は,「標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)」をテーマに,河口氏が発掘調査を行った「前平遺跡(鹿児島市)」,「南洲神社遺跡(同市)」の2遺跡を紹介しています。
前平遺跡は,鹿児島市街地の吉野台地の前縁部,標高143mの独立丘陵上にあります。
昭和27(1952)年3月,河口氏は当時勤務していた玉龍高校の生徒の保護者が所有する畑が遺跡であることを聞き,生徒と共に現地の調査を行いました。アカホヤ火山灰下部の包含層から,縄文時代早期の土器を発見し,新発見の型式であったため「前平式土器」と名付けられました。
南洲神社遺跡は,前平遺跡の南南西約1km,標高50mの同じ丘陵上の縁辺部にあります。
昭和31(1956)年11月,河口氏は南洲神社墓地の西縁に残存する堤防上の包含層を発掘調査し,縄文時代早期の前平式土器や石鏃・石匙などを発見されました。
この遺跡から出土した前平式土器は,文様などの違いで分類ができる土器が含まれており,その後の土器型式の細分に影響を与えました。
その貴重な調査成果を,上野原縄文の森にてご覧ください。
展示期間
令和5年1月21日(土)~令和5年5月12日(金)
令和4年度河口コレクション展示~成川遺跡(指宿市)~
8月27日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。
今回は,「成川遺跡(指宿市)」を紹介します。
成川遺跡は指宿市山川町で発見された遺跡です。標高38~73mの丘陵(きゅうりょう)が東へ張り出した尾根の先端部分の南斜面に立地しています。また,南九州の古墳時代の土器様式である「成川式土器」の標識遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)ともなっています。
発掘調査の結果,成川遺跡は弥生時代中頃の祭祀を行った場所であることや,弥生時代後期から古墳時代にかけての巨大な墓地であることがわかりました。
河口氏は,遺跡が発見された1957(昭和32)年と翌1958(昭和33)年の文化財保護委員会(現文化庁)による発掘調査に参加されていました。
その貴重な調査成果を,上野原縄文の森にてご覧ください。
展示期間
令和4年8月27日(土)~令和5年1月13日(金)
令和4年度 「河口コレクション」展示~上加世田遺跡(南さつま市)~
5月13日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。
今回は,「上加世田遺跡(南さつま市)」を紹介します。
上加世田遺跡は,縄文時代後期後葉から晩期前半期の南九州を代表する遺跡で,「上加世田式土器」の標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)にもなっています。
過去12回にわたって発掘調査が実施されており,故河口貞徳氏は,1次から6次までの発掘調査に調査統括として参加され,その後も調査指導者として関わってこられました。遺跡では,縄文時代後期の建物跡や大量の土器や石器,岩偶などが見つかっています。
その貴重な調査成果を,上野原縄文の森にてご覧ください。
展示期間
令和4年5月14日(土)~令和4年8月26日(金)
また,埋蔵文化財センターのエントランスでは,同じ「河口コレクション」の標式遺跡である「高橋貝塚(南さつま市)」・「入来遺跡(日置市)」・「山ノ口遺跡(錦江町)」の展示を行っています。こちらもぜひ,ご覧ください。