文化財防火デー
ワクワク考古楽出前授業(霧島市立国分小学校)
1月24日,霧島市立国分小学校の6年生(4クラス138人)で,ワクワク考古楽出前授業を実施しました。
国分小学校の建っている場所は,島津義弘が築いた舞鶴城跡であると共に,本御内(もとおさと)遺跡という,縄文時代から近代までの複合遺跡です。
今回の出前授業では,平成29年度に行った発掘調査の成果を紹介しながら,どのような遺構や遺物が見つかったのか紹介しました。
子どもたちは,発掘調査の写真を見ながら,遺跡についての理解を深めることができました。
授業の後半では,実際に本御内遺跡から出土した土器や石器,古代の瓦,陶磁器類を展示し,手に取って重さや感触を確かめていました。また,タブレットを使って遺構や遺物の3D体験を楽しみました。
子どもたちの感想
- 何千年も前の遺跡や土器・石器などが,霧島市にたくさんあることが分かりました。
- 実際に出てきた土器などをさわりました。普段はめったにさわれないものなので,貴重な体験でした。
- 国分小学校の周辺の歴史を知ることができた1時間でした。また,ほかの機会があれば,自分でも調べてみたいなと思いました。
本御内遺跡報告書(PDF)
『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(199)「本御内遺跡」
曽畑式土器(黒川洞穴:日置市吹上町)
官軍兵士眠る(岩川官軍墓地:曽於市)
弥生時代の鉄鏃 (大崎町:永吉天神段遺跡)
弥生時代中期(約2,300年前)のお墓の中から出土しました。県内でも一番古い時期の鉄製品になります。
戦いで鉄鏃が刺さって亡くなった人を埋葬したものなのか,副葬品なのか,はっきりと分かっていません。
報告書
『公益財団法人鹿児島県文化振興財団 埋蔵文化財調査センター発掘調査報告書』(27)「永吉天神段遺跡5 第2地点-3」(第1分冊)
『公益財団法人鹿児島県文化振興財団 埋蔵文化財調査センター発掘調査報告書』(27)「永吉天神段遺跡5 第2地点-3」(第2分冊)
『公益財団法人鹿児島県文化振興財団 埋蔵文化財調査センター発掘調査報告書』(27)「永吉天神段遺跡5 第2地点-3」(第3分冊)
西南戦争の銃弾(伊佐市:高熊山激戦地跡)
明治10(1877)年,西南戦争の大口攻防では、西郷軍の辺見十郎太(へんみじゅうろうた)が指揮する雷撃隊(らいげきたい)が伊佐市坊主石山(ぼうずいしやま)に,池辺吉十郎(いけべきつじゅうろう)指揮する熊本隊が高熊山に陣を構え,堡塁(ほうるい)(塹壕)を築いていました。6月13日から20日まで,髙熊山や坊主石山で政府軍と激しい戦闘が行われました。
高熊山の発掘調査では,9基の堡塁跡と銃弾や薬莢,砲弾の可能性のある鉄製品などが出土しました。
報告書
『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(210)「滝ノ上火薬製造所跡・高熊山激戦地跡・チシャケ迫堡塁跡群・岩川官軍墓地」
埋蔵文化財技術研修講座
埋蔵文化財センターでは,市町村の担当職員向けに,発掘調査の技術向上・支援・情報交換のために研修講座を実施しています。今回は,「近世・近代遺跡の取り扱い」をテーマとして,1月18日・19日に開催しました。
18日は,「埋蔵文化財保護行政の現状と課題」について,文化庁の桑波田武志調査官に講演していただきました。昨今の文化財保護をめぐる社会動向をはじめ,近世・近代遺跡の特性や,今後取り組むべき事項などについて,説明していただきました。
19日は,講座および事例発表を実施しました。講座は,「石造物の取り扱いについて」と題して黎明館の西野元勝さんと,「戦跡の公開と活用について」と題して知覧特攻平和会館の八巻聡さんに,説明・紹介していただきました。
事例発表では,鹿屋市・瀬戸内町の担当職員,及び(公財)鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター職員に,近世や近代遺跡をどのように調査し,また,その成果を報告していただきました。
最後に,全体で質疑応答・意見交換を行い,研修の内容を深めることができました。
2日間の研修で得られた内容を,今後の調査で活かしていただけることを期待しています。
参加者の感想から
・ 近世・近代の文化財について考えるきっかけとなりました。
・ 3DCGデータなど,新しい技術の紹介がありよかったです。
・ 各市町村の取り組みを知るよい機会になりました。