- 第7回企画展 新発見! 2004 速報展
-鹿児島県立埋蔵文化財センター- - 開催期間:平成16年2月21日(土)~平成16年4月18日(日)
- 鹿児島県立埋蔵文化財センターでは,東九州自動車道の建設,九州新幹線鹿児島ルートの建設,農業開発総合センター等に伴う発掘調査を実施しています。
今回の特別展では,平成15年度の発掘調査報告をいち早くご紹介します。
また,前回の企画展でご好評いただいた,「”火山”と共に生きた人々~火の国鹿児島~」 の一部コーナーも引き続きご覧いただけます。
- ■展示室案内図■
- ■展示されている遺跡■
- (1)鹿児島臨空団地遺跡群【東免遺跡・曲迫遺跡・山神遺跡】(霧島市隼人町,霧島市溝辺町)
- 鹿児島空港に隣接した工業団地,「鹿児島臨空団地」の建設に伴って,3つの遺跡が発掘調査されました。
東免遺跡や曲迫遺跡の谷頭を中心に,25基(1基は縄文時代早期,24基は縄文時代前期)の「おとし穴」と考えられる土坑が発見されました。周辺からは,石鏃も多量に出土していることから,一帯が狩猟の場であったことがわかりました。
東免遺跡からは,平安時代の掘立柱建物跡3棟や土坑に埋められた弥生時代の鏡などが出土し,注目されました。 - (2)三角山遺跡(熊毛郡中種子町)
- 三角山遺跡は,新種子島空港の建設に伴って発掘調査された遺跡です。縄文時代草創期の竪穴住居跡が発見され,草創期から前期にかけての遺物が多量に出土しました。
現在,報告書作成のための整理作業を進めていますが,これまでに多くの土器が完形品として復元されました。特に草創期の復元資料は,完形品15個体を数え,草創期土器の研究に欠かせない基礎資料となりました。
早期の土器も後半期を中心に多くの完形品が資料化されました。種子島の縄文文化を考える上で貴重な資料となりました。 - (3)芝原遺跡・渡畑遺跡(南さつま市金峰町)
- 芝原遺跡・渡畑遺跡は,万之瀬川の河川改修に伴って発掘調査された遺跡です。現在の万之瀬川に隣接した遺跡からは,これまで縄文時代前期や後期の遺物から古代・中近世に至る,大量の遺物が出土しています。
本年度は,弥生時代の鏡が3面も出土しました。約2千年前,この地一帯が南九州で重要な地域であったことを語ってくれる貴重な資料です。
また,製鉄に関する遺構や遺物も多く,これまで竈(かまど)跡や鉄滓・ふいごの羽口などが多く発見されています。 - (4)九養岡遺跡,踊場遺跡,高篠遺跡(曽於市財部町)
- 平成14(2002)年に開通した,東九州自動車道(末吉財部IC~国分IC)の建設にあたっては,12の遺跡が発見・調査され,現在,その調査報告書の作成作業が進められています。
今年度は,旧石器時代の石器製作技術を今に語ってくれる九養岡遺跡,平安時代の祭祀遺構や畠跡などが発見された踊場遺跡,同じく平安時代の建物跡が検出され,公的な施設の存在を示す遺物が多量に出土した高篠遺跡の3遺跡の報告書作成作業が行われました。 - (5)栫(かこい)城跡(いちき串木野市上名) ※「かこい」は木に存
- 栫城跡は南九州西回り自動車道の串木野インターチェンジ建設に伴って発掘調査された遺跡です。約5万㎡にわたる調査範囲の中から,旧石器時代から江戸時代まで,数多くの資料が発見されました。
今回は,調査成果の中でも特に注目される「石切場」の様子を中心に紹介します。
「石切場」跡は台地斜面の凝灰岩層から発見されました。今から500年ほど前,おもに墓石や供養塔に利用するための石を切り取った作業場と考えられ,その周辺からは石塔類やクサビ等が出土しました。鹿児島県では珍しい生産遺跡の発見であり,貴重な資料となっています。
※右写真:栫城跡の遺跡公開にて -
今までに開催した特別企画展情報はこちらから
> 上野原縄文の森企画展のご案内