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カテゴリー: 南の縄文調査室から

このページは、発掘調査・整理作業・報告書作成の様子や、埋蔵文化財センタ内ーのできごとを紹介します。

土器をよみがえらせる「復元」~整理作業から~

発掘調査で見つかった土器は,ほとんどが破片でバラバラの状態で見つかります。使っていた土器が割れてしまったから捨てたり,地中に埋まっている間に土の重みで割れてしまったりするからです。

そんなバラバラの状態で見つかった土器の破片から,同じ個体の破片を探してくっつける作業を「接合」といいます。今回はその次の作業,「復元」について紹介します。「復元」は文字どおり割れた土器をもとの形に直す作業です。埋蔵文化財センターでは現在,2人の整理作業員さんがこの作業に当たっています。

土器の形を「復元」するために,破片の一つ一つをていねいに専用の接着剤で付けていきます。このとき,土器の底部または上部からつなげていきますが,隣り合う土器の面と面をしっかり合わせることが重要です。そうしないと,形に歪みが出て,最後でうまくつながらないことがあるからです。

土器は時代ごとに形や文様・飾りが異なります。また,ひとつひとつが昔の人の手作りであり,個体によって器形が微妙に違います。その細かな差を考慮して復元していきます。

土器片が見つからなかった部分は石こうなどで埋めます。このときも,もともとの土器の厚さや傾きに合わせて埋めていきます。継ぎ足したり削ったり,細かな調整を繰り返していきます。また,写真撮影にあわせて,色合いを整えるため石こう部分に色を塗ることもあります。

このように,復元作業は様々な配慮が必要になりますが,熟練の作業員さんの手によって,その姿が現代によみがえるのです。

復元に使う道具① ヘラやアートナイフ,接着剤

復元に使う道具② 石こう

復元に使う道具③ ドライヤーは色塗り時に使います

土器を底部から復元しています

型紙をあてて,形を確認します

接着剤が乾くまで,洗濯バサミで固定します

土器の上部までつながりました

口縁部(一番上の部分)の歪みも再現します

実測(土器の大きさや厚さを調べて図化する)のために,あえて途中までしか復元しないこともあります

鹿児島県内に遺跡はいくつ? どこにあるの? ~遺跡GIS~

みなさんは,鹿児島県内にいくつ遺跡があるかご存知でしょうか。
100? 200? 1000?

実は,鹿児島県内には,およそ8600か所の遺跡があります。もちろん,その全てを発掘調査しているわけではなく,土器などの表面採取(地中の埋蔵文化財が耕作などで地上に現れ,見つかること。)や,試掘調査(限られた範囲を掘って遺跡の有無を確かめる。)などによって,遺跡と認定されているものもあります。規模や範囲,時代も様々ですが,どれも昔の人々の生活を知るために貴重なものです。

では,実際,どこに遺跡があるのか。それを調べるのが「遺跡GIS」です。「GIS」とは,「Geographic Information System」の略で,日本語では「地理情報システム」と訳されます。地球上に存在する建物や事象の位置情報を,コンピュータの地図上に可視化・表現します。

鹿児島県立埋蔵文化財センターでは,県内の遺跡に関する情報を,「埋蔵文化財情報データベース」としてインターネット上で公開しています。その中に「遺跡分布地図検索」(GIS)があります。

「埋蔵文化財情報データベース」
https://www2.jomon-no-mori.jp/kmai_public/index.html

上記の画面で「遺跡分布地図検索〔簡易版〕」をクリックします。

その後,画面が切り替わります。画面上部のタブで「地図で検索」を選びます。 この画面が表示されたら,調べたい市町村をクリックします。例として,ここでは「鹿児島市」をクリックします。

すると,「鹿児島地区」が表示されるので,「鹿児島市」をもう一度クリックします。

鹿児島市全体の地図と,遺跡位置図が表示されます。

地図をスクロールしたり,拡大したりして,遺跡の範囲をより詳しく確認できます。
画面右側の「表示地図内の遺跡を一覧で見る」をクリックすると,遺跡の詳細を見ることができます。

このように,「遺跡GIS」を利用することで,遺跡の位置や詳細を調べることができます。みなさんの住まれている地域にも,たくさんの遺跡があるかもしれませんよ。地域の歴史を知りたくなったら,「遺跡GIS」を,ご活用ください。

また,今回紹介した「埋蔵文化財情報データベース」では,時代やより詳しい遺跡の情報,発掘調査によって見つかった遺構や遺物の写真・図面も検索できます。こちらの活用方法についても,近日中に改めてご紹介いたします。

 

井手原遺跡(さつま町)~令和4年度刊行報告書から~

井手原遺跡(さつま町久富木)は,埋蔵文化財センターが,一般県道原口薩摩山崎停車場線整備改築事業に伴って令和3年度に調査した遺跡です。

調査では,旧石器時代や縄文時代草創期,縄文時代早期,縄文時代前期,縄文時代晩期,古代の遺構・遺物が発見されました。なかでも,旧石器時代の石器製作所跡の発見は,当時の人々の生活や行動を知るための手掛かりとなりました。また,縄文時代前期では,県内でも出土例が少ない西唐津式土器が見つかり,他の地域との交流の可能性をうかがわせる発見となりました。

以下のページから発掘調査報告書「井手原遺跡」(PDF)をダウンロードできます。詳しくは,そちらをご覧ください。

「発掘調査報告書一覧」

https://www.jomon-no-mori.jp/bunkazai-center/list

井手原遺跡空撮

縄文時代の集石

出土した旧石器時代の遺物

出土した縄文時代の土器

久保田牧遺跡(鹿屋市)~令和4年度刊行報告書から~

久保田牧(くぼたまき)遺跡(鹿屋市吾平(あいら)町)は,縄文時代早期から中世にかけての複合遺跡です。主要地方道鹿屋吾平佐多線(吾平道路)改築事業に伴って,令和元年6月から令和4年1月まで発掘調査を実施しました。令和4年度に刊行した報告書『久保田牧遺跡1 古代以降編』では,古代・中世・近世の調査成果を紹介しています。

古代では,掘立柱建物跡・土坑・畝間状遺構・柱穴跡などの遺構が検出されました。遺物は,土師器・黒色土器・須恵器・刻書土器・墨書土器・土錘・石製品などが出土しました。中でも,多くの墨書土器が出土したことが特徴的です。

中世では,掘立柱建物跡・土坑・溝状遺構・古道などの遺構が検出されました。遺物は,土師器・須恵器・瓦質土器・青磁・白磁・染付・陶器・滑石製石鍋・古銭・鉄製品などが出土しました。

これらの遺構・遺物は,当時の大隅半島の様子を知る上で貴重な資料です。
以下のページから発掘調査報告書『久保田牧遺跡1 古代以降編』(PDF)をダウンロードできます。詳しくは,そちらをご覧ください。

「発掘調査報告書一覧」
https://www.jomon-no-mori.jp/bunkazai-center/list

また,主要地方道鹿屋吾平佐多線(吾平道路)改築事業に伴って,周辺の「立塚(たちづか)遺跡」・「名主原(みょうずばる)遺跡」の発掘調査も実施しております。その調査成果は改めてご紹介します。

久保田牧遺跡空撮

中世の掘立柱建物跡の柱穴跡

中世の溝跡

文字が書かれた墨書土器

墨書土器は他にも多数見つかっています

出土した土錘(漁で使う網に付ける重り)

令和4年度刊行報告書から~「鹿児島城跡(犬追物馬場・火除地)」(鹿児島市山下町)

鹿児島城跡(犬追物馬場(いぬおうものばば)・火除地(ひよけち))は,鹿児島城御楼門(ごろうもん)正面に位置する,中世から近代にかけての複合遺跡です。国の鹿児島第3合同庁舎整備事業に伴って発掘調査を行いました。

遺跡からは,近世の瓦類,中国産陶磁器,国産の肥前系陶磁器や薩摩焼,木製品(杭・下駄類)などが見つかっています。さらに,名前のとおり,犬追物馬場の柵として使われていたと思われる木製の杭が見つかっています。

また,近世の造成層が確認され,これより下層には,元禄の大火の処理層や鹿児島城築城以前の中世層などが良好な状態で残存していることが明らかになりました。

今回の調査により,鹿児島城内の変遷や土地利用等を考える上で重要な成果を得ることができました。

詳しくは,下記ページより「鹿児島城跡(犬追物馬場・火除地)2」の報告書(PDF)をごダウンロードしてご覧ください。

発掘調査報告書一覧

今回の発掘調査で見つかった遺物等は,『上野原縄文の森 第67回企画展「新発見!かごしまの遺跡2023 ~発掘調査速報展~」』(2023年10月1日まで)にて,展示しておりますので,上野原縄文の森へお越しください。

企画展 開幕です!  第67回企画展

遺跡の位置(赤丸部分)。向かい側に御楼門があります。

出土した瓦類(瓦当部分)

出土した陶器(薩摩焼)

杭出土の様子

出土した木製の杭

 

 

大学生インターンシップ

埋蔵文化財センターでは,小・中学生 ・高校生の職場体験学習のほか 大学生のインターンシップや博物館実習等を受け入れています。

今回,大学生のインターンシップの申し込みがあり,9月4日から8日までの5日間,当センターの業務を体験してもらいました。整理作業の土器の接合や注記なども体験してもらいました。

「接合は大変でした。こうした地道な作業によって報告書ができていることがわかりました」(本人の感想より)

このインターンシップ体験が今後の進路選択に役立つことを期待しています。

注記作業を体験

土器の接合に挑戦

埋蔵文化財専門職員養成講座(基礎講座・技術研修講座)

【埋蔵文化財専門職員養成講座(基礎講座・技術研修講座)】

当埋蔵文化財センターでは,県内市町村の埋蔵文化財担当者向けに,発掘調査・整理作業に必要な知識習得や技術の向上を目的とした,専門職員養成講座を開催しています。今回は7月20日と21日の二日間にわたり基礎講座と技術研修(調査技術)講座を実施しました。

基礎講座は,7月20日に鹿屋市名主原(みょうずばる)遺跡と東串良町郷土研修館で行いました。午前中は名主原遺跡発掘調査の現場を見学するとともに,発掘調査に至るまでの経緯や調査に必要な物品などついて研修を行いました。午後からは会場を移して,東串良町の取組について説明を聞き,文化財行政の実態を学ぶことができました。

発掘現場の見学
東串良町の文化財についての紹介
文化財行政について意見交換

7月21日は,名主原遺跡で遺跡の地層(土層)についての技術研修を行いました。
発掘調査では,遺跡がいつの時期にどんな人々がどんな生活をしていたかを調査しますが,その「いつの時期に」を知る手掛かりが土層です。
火山の多い鹿児島県では,火山噴火によって降り積もった噴出物の年代が分かっています。その火山灰層を鍵層として,時代を特定します。まず初めに,代表的な火山灰層の年代や特徴を紹介しました。
次に,発掘現場の実際の土層を見ながら,分層・作図に取り掛かりました。
土層は堆積した年代によって,含まれる物質(火山灰や土,砂,石など)が異なっていて,色や硬さなどの違いが生じます。それらをよく観察し,土層の境目に線を引きます。この作業を「分層」といいます。その後,分層した土層を用紙に作図していきました。

土の色や硬さ,含まれるものをよく観察します
遺構内の堆積にも気をつけながら分層していきます
同じ高さ-水平に水糸を張り,巻き尺やコンベックスを使って測っていきます
分層した土層を用紙に描き写します

夏の現場の暑さや,途中降り出した雨にも負けず,参加されたみなさんは最後まで取り組むことができました。

今回の研修で学んだことを基に,各市町村でも発掘調査や整理作業が順調に進められることを期待しています。

「ようじょう」は「洋上」ではなく・・・

遺跡の発掘調査で「ようじょう」という単語を耳にすることがあります。
漢字では「洋上」ではなく,「養生」と書きます。

遺跡の発掘調査は,ほとんどが長期に渡ります。調査期間中にみつかった遺構や遺物の乾燥を防いだり,降雨で流されないようにするためにブルーシートやコンパネを使って覆い,保護したりします。それを「養生」といいます。

特に夏の時期は,暑さによる地面の乾燥やひび割れ,台風等の大雨による水害が多くなります。このためほぼ毎日,1日の作業の終わりには「養生」をして終了します。

発掘作業には,このような細かな対策も必要です。見つかった遺構や遺物を大切に守っているのです。

海に見えますが,ブルーシートです

水をまいて,乾燥を防ぎます

溝や遺物を保護するためコンパネでフタをします

最後にブルーシートを被せていきます

 

上野原縄文の森入園者250万人突破記念

2023年7月7日,上野原縄文の森が開園してからの来園者が250万人を突破しました。その幸運な来園者となったのは,さつま町立柏原小学校の児童たちでした。

同校の児童は,先月,校区内の大願寺跡で発掘体験をしたばかり。なんとも素晴らしい偶然です。

250万人目とその前後の児童には,記念品として上野原遺跡で出土した土器のレプリカが贈られました。また,ほかの児童たちにも記念品がプレゼントされました。きっといい思い出になったことでしょう。

これからも300万人,400万人と続くことを期待しています。

250万人突破記念の瞬間

くす玉を割ってお祝い

園長から250万人目の記念証が贈られました

前後の子どもにも土器のレプリカが贈られました

 

大願寺跡現地説明会

6月24日,大願寺跡(さつま町柏原)の現地説明会を行いました。

大願寺は1361年に創建されたと考えられている寺院で,この一帯を治めていた祁答院(けどういん)氏の菩提寺(ぼだいじ)です。

今回の調査は,「廃寺は語る」よみがえる鹿児島の仏教文化事業の一環として実施しました。トレンチ(遺跡の時代や遺構の分布などを確認するために,範囲を限定して掘り下げる溝)を4か所設定しました。その結果,土坑や溝跡,中世・近世のピット(柱穴)などの遺構,陶器などの遺物,縄文時代早期の土器を確認しました。

現地説明会ではこれらの成果を説明するとともに,大願寺の薬師堂跡や開山堂跡へ歩いてまわり,県指定文化財の石塔群についても紹介しました。

今回の説明会に40人の参加をいただきました。近隣の方々が多く,担当者の説明を聞きながら地域の歴史を再確認されていました。また,参加者から「近くにこんな場所もありますよ」など,新しい情報を教えていただきました。今後の調査や整理作業の参考にしたいと思います。

所長あいさつ

トレンチごとに調査成果を説明

礎石が残る鐘つき堂跡

石塔が立ち並ぶ薬師堂跡

大願寺の住職の墓塔が建つ開山堂跡