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カテゴリー: 鹿児島県立埋蔵文化財センター

発掘調査が始まりました

5月から,「名主原遺跡(鹿屋市吾平町)」と「二子塚B遺跡(大崎町)」の発掘調査が始まりました。

どちらの遺跡も昨年度の調査で,貴重な遺構・遺物が見つかっており,今後の調査報告が期待されています。

名主原遺跡発掘調査の様子
名主原遺跡発掘調査の様子
二子塚B遺跡発掘調査の様子

二子塚B遺跡発掘調査の様子

推しの逸品「これは何形土器?」(諏訪牟田遺跡:南さつま市)

縄文時代の土器はいろいろな形をしていますが,中でも筒形をしたものは,真上から見た口の形で「円筒形土器」と「角筒形土器」に分類することができます。

しかし,それ以外の形の土器も見つかります。この縄文時代早期の土器の口,みなさんは何の形に見えますか。ちなみに,埋蔵文化財センターでは「レモン形」と呼ばれています。

またこの土器は,「補修孔」と呼ばれる2個で一対の穴が胴部にあけられています。これは,土器に入ったヒビが大きくならないように,穴を二つあけて紐のようなもので結んだ跡だと思われます。縄文時代の人々も,土器を修理しながら大切に使っていたのですね。

『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(112) 「諏訪牟田遺跡・諏訪前遺跡・南原内堀遺跡・加治屋堀遺跡」 

口は何形に見えますか?

実測図

円筒形や角筒形の土器

7,300年前の液状化現象(大崎町・永吉天神段遺跡)

約7,300年前に鬼界カルデラが大爆発し,発生した地震による液状化現象の跡(噴砂跡)です。

白い筋は,約3万年前の姶良カルデラの噴出物(シラス)が,当時の地表面まで液状化で吹きあがってきて広がり,堆積して白い地層になったものです。

大隅半島各地の遺跡からこのような液状化現象の跡が発見されています。

『公益財団法人鹿児島県文化振興財団 埋蔵文化財調査センター発掘調査報告書』(8) 「永吉天神段遺跡 第1地点」  

ワクワク考古楽出前授業in国分南小学校

令和6年4月19日(金),霧島市立国分南小学校の6年生88人に,「ワクワク考古楽」出前授業を実施しました。

今回は,総合的な学習の時間で,縄文時代について紹介しました。国分南小にとても近い遺跡である上野原遺跡では,多くの竪穴建物跡などの遺構が発見され縄文時代のムラの跡であることから,国の史跡になっていること,土器や石器など767点の遺物が重要文化財になっていることなどを説明しました。

子どもたちは,全国的に注目された遺跡が身近にあることにびっくりしていました。また,火山に囲まれた生活や,南公園近くで貝塚が見つかっていることから,海岸線が現在と異なる位置にあったことにも驚いていました。

特に縄文時代の衣食住について,発掘調査から分かったことを紹介すると,集中してメモしながら聞いていました。

次に,実際に出土した土器や石器に触れる時間では,興味津々に説明を聞き,石器の使い方について考えることができました。また,石器を触れる際,両手で大事そうに扱う様子が印象的でした。

今後は,上野原縄文の森に見学へ行き,調べ学習を進めていくそうです。今回の授業を通して,縄文時代や当時の人々の生活についてさらに「知りたい」という意欲をもち,学習を深めるきっかけになればと思います。

南の縄文文化発信事業(ワクワク考古楽)学習指導案(PDF)

授業の様子

実際の土器や石器を紹介

 

 

何の動物? 動物型土製垂飾品(鹿屋市・川久保遺跡)

縄文時代晩期の,5㎝程度の大きさの土製品です。

線を引いたり穴を開けたりした部分と下面に赤色顔料が残っています。全面に赤色顔料が塗布されていた可能性もあります。

また,その形状から動物などをモチーフとしている可能性が考えられます。イノシシ? シカ? もしかして架空の動物ドラゴンでしょうか?

『公益財団法人鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター発掘調査報告書』(52)「小牧遺跡4(縄文時代前期~弥生時代初頭編)」第1分冊第2分冊第3分冊

火山灰層に挟まれた地層から出土した土器(鹿屋市・猫塚遺跡)

アカホヤ火山灰(約7,300年前)と池田降下軽石(約6,400年前)の火山灰層に挟まれた地層から土器(轟式土器)が出土しました。

この2つの火山灰層に挟まれた状況で出土した例は,鹿児島県では2例目です。

土器の年代や形の変化を研究する上では,とても重要な発見です。

『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(213)「川上遺跡・鶯原遺跡・猫塚遺跡」

 

色とりどりの装飾品(鹿屋市・川久保遺跡)

川久保遺跡からは,古墳時代の竪穴建物跡が56基発見されています。

その一部からは勾玉(まがたま)や蛇紋岩製大珠(じゃもんがんせい・たいしゅ),碧玉製管玉(へきぎょくせい・くだたま)などの装飾品が出土しています。

特に赤メノウ製の勾玉はなかなか出土しない逸品です。これらの装飾品が出土した建物には,どんな人物が住んでいたのか気になります。

 

 

大型の石包丁で何を刈った? (大崎町・永吉天神段遺跡)

弥生時代中期の竪穴建物跡26号から石包丁の破片が出土しています。破片ですが,長さ9.5㎝,幅9.7㎝,厚さ0.8㎝,重さ89.9gあります。

元々の大きさは20㎝以上あったと考えられます。通常,石包丁は10㎝程度のものが多いことから,永吉天神段遺跡の石包丁はかなり大型です。

石包丁は稲穂を刈り取る道具とされますが,科学分析の結果,ススキなどを刈った可能性があることが判明しています。草刈りに使用したのでしょうか?

『公益財団法人鹿児島県文化振興財団 埋蔵文化財調査センター発掘調査報告書』(27)「永吉天神段遺跡5 第2地点-3」(第1分冊)

「かごしま産業遺産の道」ガイドブック

「かごしま産業遺産の道」ガイドブックは,鹿児島県が作成した「明治日本の産業革命遺産」の県内構成資産や関連産業遺産を紹介するガイドブックです。

当センターが発掘調査を行った,「鹿児島紡績所跡」,「祇園之洲台場跡」,「天保山砲台跡」,「根占原台場跡」,「敷根火薬製造所跡」,「久慈白糖工場跡」,「滝ノ上火薬製造所跡」が紹介されています。

詳しくは下記リンクをご覧ください。