牧園小学校での出前授業
10月23日(金)に,霧島市立牧園小の6年生に,3時間目と4時間目を利用して出前授業を行いました。
3時間目は,埋蔵文化財センターが行っている発掘調査に関する説明を行いました。
鹿児島県内の遺跡の調査では,火山灰層が重要であることを,理科の学習と関連付けながら紹介しました。
次に,社会科の歴史でも学習する西南戦争の概略を説明し,校区内に当時の遺跡が多く残っており,その一つを発掘調査することを紹介しました。子どもたちは,自分たちの住んでいる地域で大規模な戦闘が行われたことに驚いていました。
4時間目は,縄文時代の本物の土器や石器に触れたり,火おこしを体験したりする活動を行いました。土器や石器を間近で観察し,そのつくりの細かさに感心していました。また,火おこし体験では,友達と競争したり協力したりしながら活動を楽しんでいました。
6年生の子どもたちにとって,地域の歴史を身近に感じるよい機会となった様子でした。


埋文センターの撮影スタジオ~「写場」
遺跡の発掘調査で発見された遺構や遺物は,整理作業を経て,発掘調査報告書で紹介されます。
掲載方法は,遺物や遺構を説明する文章や特徴を表した図面,そして,質感や形状,色を正確に伝える写真です。
埋蔵文化財センターには,「写場(しゃじょう)」という写真撮影専用のスタジオがあります。この写場は,撮影スタジオとしては,九州内でも有数の施設です。
通称「シノゴ」と呼ばれる大判フィルムカメラやデジタル一眼レフカメラ,専用の撮影台,複数の大型ストロボ。これらの機材を駆使して,職員が撮影しています。また,撮影した白黒フィルムは,写場内で現像もできます。
こうして撮影された写真は,報告書や展示図録等に使われるだけではなく,写真そのものが歴史資料としての「文化財」としての価値があります。そのため,写真撮影をする職員は,「文化財」の素晴らしさや魅力が伝わるように撮影技術を磨いています。
発掘調査報告書は,PDFをホームページで公開しています。その中の写真もぜひ,ご覧ください。

ただいま出張中! 貸出中の遺物
「ただいま出張中! 貸出中の遺物」のページを追加しました。
埋蔵文化財センターでは遺物や遺物の写真などの貸出を行っています。 貸出した資料の中には,県外の博物館や埋蔵文化財関係機関などで展示されている遺物もあります。
久保田牧遺跡(鹿屋市吾平町)現地説明会 令和元年11月9日(土)
【終了しました】
久保田牧遺跡は,古墳時代(約1,500年前)の大型竪穴住居跡や,中世の掘立柱建物跡などの遺構・遺物が発見されており,大隅半島南部における先史・古代の人々の生活がうかがえる貴重な遺跡です。
今回の現地説明会では,発掘調査の様子や鬼界カルデラ(約7,300年前)・池田カルデラ(約6,400年前)の噴火活動の痕跡を紹介します。また,主な出土遺物の展示も行います。
ぜひ,現地説明会にお越しください。
日時:令和元年11月9日(土) 午後1時30分~午後3時 (受付:午後1時~)
内容:遺跡の概要説明,遺構・遺物の見学
場所:久保田牧遺跡(鹿屋市吾平町麓)



発掘調査に科学の力
遺跡の発掘調査は,掘ったらそれで終わりではありません。発掘後の整理作業で,どんな遺跡でどんな遺構や遺物がみつかったかを,様々な方法,ものの見方をとおして報告書にまとめます。
これら整理作業の中でも,最新の科学技術を活用して調査にあたる部署が埋蔵文化財センター内にあります。今回は,その部署について紹介します。
「精密分析室」
ここでは,理化学的な機器を使って出土した遺物などを様々な方法で分析しています。分析機器類には,遺物を拡大して観察できる顕微鏡や,成分を調べる蛍光X線分析装置などがあります。遺物がどのような方法で製作されたか,どんな素材でできているかが分かります。

「鉄器処理室」
遺跡の調査をしていると,鉄や銅でできた遺物や昔のお金が出土することがあります。鉄器処理室ではこれらに含まれる塩分や水分を除去して保存する作業を行っています。こうすることで,さびや風化から金属製品を守ることができます。

「木器処理室」
鹿児島県でも農具(のうぐ)や木簡(もっかん)などの木製品が出土しています。木器処理室ではこれらの木製品が乾燥したり変形したりして壊れてしまうのを防ぐために,薬品を使って処理しています。木製品に薬品をしみこませる作業は数か月から1年もの時間がかかります。

歴史だけでなく,科学に関心のある方も,埋蔵文化財センターを見学してみませんか。
令和元年度 第2回「河口コレクション」展示
9月21日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。
今回は,「河口貞徳氏の軌跡2~昭和30年代の発掘調査~」と題して,「和田前遺跡(南九州市知覧町)」,「鍋谷洞窟(姶良市平松)」,「片野洞穴(志布志市志布志町)」の3遺跡を紹介しています。
「和田前遺跡」と「鍋谷洞窟」では,塞ノ神(せのかん)式土器という縄文時代早期の土器が出土しています。河口貞徳氏によって完全な形に復元された土器は,当時出版された書籍などで広く紹介されました。その土器を,今回展示しています。他にも,発掘調査当時の写真や図面の原図等も見ることができます。
ぜひ,上野原縄文の森までお越しください。
展示期間
令和元年9月21日(土)~令和2年1月18日(金)
第55回上野原縄文の森企画展講演会
9月28日,現在開催中の第55回上野原縄文の森企画展「新発見! かごしまの遺跡」の講演会がありました。
今回は,企画展開催地の上野原縄文の森から国分公民館に出張して実施しました。
講演会で紹介した遺跡は,「本御内遺跡(霧島市)」「六反ヶ丸遺跡(出水市)」です。
発掘調査を担当した県立埋蔵文化財センターと(公財)県文化振興財団埋蔵文化財調査センターの職員が,発掘時の様子や調査成果を報告しました。
また,会場には,それぞれの遺跡の出土遺物を間近で見ていただく展示コーナーも設け,好評でした。
参加者のみなさんは,両遺跡の報告を聞き,その発見に心を動かされた様子でした。
企画展は,上野原縄文の森で11月10日まで開催しています。今回紹介した遺跡以外にも,県内遺跡の最新の調査成果を展示しています。
ぜひ,上野原縄文の森までお越しください。
熊本地震の復興支援へ職員派遣
現在,埋蔵文化財センターでは,平成28年4月に起きた熊本地震の復興支援のため,職員1名を益城町に派遣しています。
そしてこのたび,さらに1名を熊本県へ派遣することとなり,その出発式が行われました。
派遣の任期は,10月からの半年間になります。熊本県内で,全国から派遣されている職員とともに,発掘調査を行います。
慣れない土地で業務を行うことは難しい面もありますが,各職員の知識や経験を活かし,お互いの意見を交わしながらの調査が,被災地域の速やかな復旧・復興につながることを願っています。
半年後,その成果報告を楽しみにしています。
里小・中学校での出前授業
9月2日(月)・3日(火)に、薩摩川内市立里中学校と里小学校で,「わくわく考古楽」の出前授業を行いました。
2日は里中学校で授業を行いました。
まず,自分たちの住んでいる甑島ではどのような遺跡が発掘されているのかについて説明をしました。
中でも,校区内にある「中町馬場遺跡」では,鹿児島県ではめずしく,弥生・古墳時代の人骨が発見されていることを紹介しました。
さらに,遺跡から見つかったイノシシ・シカ・クジラの骨や貝殻から,当時の人々がどんなものを食べていたかについて皆で考える時間をつくり,過去の世界に思いを巡らす機会となりました。
3日は里小学校で同様の授業を行った後,火起こし体験も行いました。児童たちは,いつもスイッチひとつで着く火が,多くの時間をかけて生まれるその瞬間を楽しみながら火起こしに取り組んでいました。
今回の「考古学」を活用した授業をふまえ,児童・生徒たちは郷土に対する思いをいっそう強くした様子でした。
(児童・生徒たちの感想)
・ 甑島の昔のことについての授業,楽しかったです。なぜなら,縄文から弥生時代の「おの」や「くわ」など,発掘された物に触れられたからです。
・ 昔の人が里の地形を理由として,村西にたくさん住んでいたのを知っておどろきました。
・ 火起こし体験をして,昔の人の大変さがわかりました。
先生のための考古学講座・埋蔵文化財専門職員養成講座(初級)
8月8日(木)・9日(金)に,上野原縄文の森と共催で,「先生のための考古学講座・埋蔵文化財専門職員養成講座(初級)」を実施しました。
この講座は,学校の先生や市町村の文化財担当者に,埋文センターの業務を体験してもらったり,上野原縄文の森を見学してもらったりする活動を通して,考古学や埋蔵文化財に対する理解を深めることを目的としています。今年度も,多くの先生・市町村職員に参加していただきました。
埋蔵文化財センターでは,拓本や接合などの整理作業を体験していただきました。実際の土器に触れることで,歴史を感じていただけたようです。
また,上野原縄文の森のフィールドワークでは,上野原遺跡の遺構や遺物の出土跡を紹介しました。担当者の話を聞きながら,上野原遺跡の素晴らしさに感動していました。
興味のある先生方や市町村職員の方々は,ぜひ来年度ご参加ください。