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投稿者: 管理人

1月26日は文化財防火デー!

毎年1月26日は文化財防火デーだよ。
昭和24年1月26日に,法隆寺の金堂が炎上して,壁画が焼損したことから,文化財防災推進のため定められたんだ。
縄文の森では25日に避難訓練を行ったよ。
人や文化財を守るために、どんな行動を取ったら良いかみんなで考えながら訓練したんだ。
文化庁のホームページでは詳しい由来や全国各地で行われた特徴的な防火訓練が紹介されているよ。
良かったら見てみてね。

第62回企画展講演会のご案内  *中止となりました。

*2/5(土)の講演会は,コロナウィルス感染拡大の影響により中止となりました。

今回の企画展講演会は,コロナウィルス感染拡大の影響により中止となりましたのでお知らせいたします。
なお,講演会講師の池田教授が國學院大学で開催されていますオンライン講座で,今回の講演内容に近い講座を開催されていますので,下記によりご紹介いたします。

令和3年度 國學院大學研究開発推進機構主催オンライン公開講座「蒙古襲来の実態とその影響」 – 國學院大學 (kokugakuin.ac.jp)

 

第62回企画展講演会を開催いたします。

詳細は,下記のチラシをご覧下さい。

上場小学校(出水市)での出前授業

令和3年11月25日(木),出水市立上場小学校でワクワク考古楽を実施しました。

3校時は,5・6年生に地域の歴史や史跡について学習を行いました。初めに,これまでの発掘調査の結果から,鹿児島の代表的な縄文時代の遺跡として上野原遺跡について紹介しました。
その後,旧石器時代の環境や生活の説明と共に,「上場遺跡(出水市)」の調査成果を紹介しました。子どもたちは「上場遺跡」について知っていましたが,小学校全体が遺跡の中に位置していることが分かると,とても驚いていました。
次に,縄文時代や弥生時代の土器や石器に実際に触れる活動を行いました。2つの時代の土器や石器を比較し,道具の移り変わりによって,人々の生活の変化にも気づくことが出来ました。

4校時は,全校生徒で火起こし体験を行いました。1~4年生は,先生方と一緒に活動しました。煙が出始めると,みんな「あともう少しだ」とより力が入り,一生懸命火起こしに取り組んでいました。

学校内に黒曜石の原石や土器,上場遺跡発掘の石碑もあり,歴史を身近に感じることのできる環境にある上場小学校でした。

発掘調査について説明

本物の石器を手に取って観察

みんなで火起こしに挑戦

上場遺跡発掘の石碑

当日の指導案は,こちらからダウンロードできます。

停電に伴うホームページ閲覧停止のお知らせ

電気工事による停電に伴い、以下の期間はホームページの閲覧ができなくなります

ので予めご了承ください。

 

令和4年1月21日(金) 午後5時から

令和4年1月22日(土) 午前10時まで

(時間は前後する場合がございます。)

 

 

かごしま遺跡フォーラム延期のお知らせ

令和4年1月29日(土)に開催を予定していた「かごしま遺跡フォーラム」は,新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を鑑み,延期することといたしました。

延期後の日程につきましては,当ホームページやFacebookで改めてご案内させていただきますので,ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

第13回「遺跡出土の獣骨から見えてくるヒトと動物とのかかわり」

Ⅰ 遺跡から出てくる動物のホネ

 縄文時代の遺跡を発掘すると,矢の先端につける石鏃という狩猟具が大量に出てくることがあります。むかしの人々が動物を弓矢で狩って生活していたことが分かります。では,どのような動物を狩っていたのでしょうか。それを解明してくれるのが遺跡から出てくる動物のホネ(獣骨)たちです。

写真1 遺跡から出土した獣骨

Ⅱ ホネが残る条件

 遺跡から出てくるホネは完全な状態で出てくることは,ほとんどありません。日本は火山大国であり,ほとんどの地域が酸性土壌です。ホネの主成分であるリン酸カルシウムは,アルカリ性であるため,酸性土壌に埋まるとすぐに溶けてしまいます。そのため,遺跡からホネが出てくるのは,

貝塚・・・貝殻が酸性土壌を中和する
南西諸島の遺跡・・・珊瑚礁が基盤となるアルカリ性の土壌
洞窟遺跡・低湿地遺跡・古墳・・・ホネが空気に触れずにパックされている

などの特殊な条件の遺跡に限られてきます。

写真2 市来貝塚の獣骨出土状況(大量の貝殻とともにイノシシの下顎骨が出土している)

Ⅲ ホネを見分ける

 遺跡から出てきたホネが何の動物のホネかを特定する作業を「同定作業」といいます。その際に参考にするのが原生の動物のホネ(原生標本)です。動物の骨格は数千年の年月ではほとんど変化せず,動物の種類ごとにホネの形が違うため,原生の動物のホネと見比べることで,どの動物のホネかを特定することができます。

写真3 橋牟礼川遺跡出土のウシの下顎骨

写真4 現代のウシの下顎骨(黒毛和牛)

Ⅳ ホネから分かる人々の生活

 遺跡から出てきた動物のホネの種類,量が分かることによって,当時の人々の食生活や遺跡の周辺環境を推測することができます。これから紹介するのがその一部です。

1 狩りの対象はこの動物
 遺跡からは多くの種類の動物のホネが出てきます。しかしながらその量の比には偏りがあります。縄文時代の出土獣骨の約8割を占めるのがシカ(4割)とイノシシ(4割)です。この2種類の動物は中型動物であり,多数生息していて当時の人々にとって狩りやすい動物であったことが分かります。

写真5 市来貝塚出土のシカの骨

写真6 市来貝塚出土のイノシシの骨

2 あの動物もかつては鹿児島にいた
 遺跡から出てくる動物の中には,現在の鹿児島では野生種としてはお目にかかれない動物もいます。縄文時代の麦之浦貝塚(薩摩川内市)や柊原貝塚(垂水市)などの遺跡からは,日本では野生種がすでに絶滅したとされているオオカミや九州では現在生息していないツキノワグマのホネが見つかっています。当時の鹿児島にはこのような猛獣たちも人間の近くで生活していたことが分かります。

写真7 柊原貝塚出土のオオカミのホネ

図1 オオカミ出土遺跡分布図

写真8 柊原貝塚出土のツキノワグマのホネ

図2 ツキノワグマ出土遺跡分布図

Ⅴ ホネを道具へ

 むかしの人々は,狩った動物を食べて残ったホネをただ捨てるだけではなく,加工して道具にもしていました。それを「骨角製品(骨角器)」といいます。骨角製品は,釣り針や銛(もり)などの漁労具のほかに,首飾りなどの垂飾品が多くあります。鉄製品が普及した後の時代にも素材にあえて骨を使用する道具もあり,当時の人々が動物に対して特別な思いをもっていたことがうかがえます。

写真9 草野貝塚出土骨角製品

写真10 下山田Ⅱ遺跡出土骨角製品

Ⅵ おわりに

 現在の私たちはペットや家畜,野生動物など多くの動物たちと関わりを持ちながら生活をしています。それは大昔の人々も同じでした。今回紹介したように,遺跡の発掘調査から出てくるホネをよく調べることで,当時のヒトと動物との生活の一端を垣間見ることが出来ます。皆さんもぜひ,動物とふれあう中で昔の人々の生活に思いを馳せてみてください。

文責 宮﨑大和

【引用・参考文献】
 西中川駿・松元光春・河口貞徳1991「市来貝塚出土の動物遺体」『鹿児島考古』25鹿児島県考古学会
 西中川駿・宮﨑大和・松元光春2021「鹿児島の遺跡出土の動物遺体」『鹿児島考古』50鹿児島県考古学会
 垂水市教育委員会2005『柊原貝塚』垂水市埋蔵文化財発掘調査報告書8
 鹿児島県教育委員会1988『下山田Ⅱ遺跡 和野トフル墓』鹿児島県埋蔵文化財発掘調査報告書45

ワクワク考古楽in種子島

令和3年11月16日から19日にかけて,種子島の小中学校5校(星原小学校・納官小学校・岩岡小学校・南界小学校・中種子中学校)で,出前授業を実施しました。

各学校,「地域の歴史や遺跡,文化財について知ろう」というめあてを立てて授業を行いました。
まず,埋蔵文化財センターが行っている発掘調査の方法や,上野原遺跡の紹介をしました。
次に,日本最古級と考えられる旧跡時代の落とし穴が見つかった立切遺跡(中種子町)や,縄文時代の出土遺物が重要文化財に指定された三角山遺跡(中種子町)など,種子島の代表的な遺跡を紹介しました。
他にも,センターから持参した本物の土器や石器などの遺物を手に取って観察したり,土器の文様の付け方を調べたりしました。

どの学校でも子どもたちは,興味を持って授業を受けていました。自分たちの住んでいる種子島に,旧石器時代から人々が生活していたことに驚いていました。また,縄文時代の貴重な遺跡があることにも感心していました。

子どもたちが今回の授業を通じて,地域の歴史や文化財に対しこれまで以上に興味や関心を持ってくれると期待しています。

星原小学校の授業の様子1

星原小学校の授業の様子2

納官小学校の授業の様子1

納官小学校の授業の様子2

岩岡小学校の授業の様子1

岩岡小学校の授業の様子2

南界小学校の授業の様子1

南界小学校の授業の様子2

中種子中学校の授業の様子1

中種子中学校の授業の様子2

 

授業の指導案はこちらからダウンロードできます(PDF)