上場小学校(出水市)での出前授業
令和3年11月25日(木),出水市立上場小学校でワクワク考古楽を実施しました。
3校時は,5・6年生に地域の歴史や史跡について学習を行いました。初めに,これまでの発掘調査の結果から,鹿児島の代表的な縄文時代の遺跡として上野原遺跡について紹介しました。
その後,旧石器時代の環境や生活の説明と共に,「上場遺跡(出水市)」の調査成果を紹介しました。子どもたちは「上場遺跡」について知っていましたが,小学校全体が遺跡の中に位置していることが分かると,とても驚いていました。
次に,縄文時代や弥生時代の土器や石器に実際に触れる活動を行いました。2つの時代の土器や石器を比較し,道具の移り変わりによって,人々の生活の変化にも気づくことが出来ました。
4校時は,全校生徒で火起こし体験を行いました。1~4年生は,先生方と一緒に活動しました。煙が出始めると,みんな「あともう少しだ」とより力が入り,一生懸命火起こしに取り組んでいました。
学校内に黒曜石の原石や土器,上場遺跡発掘の石碑もあり,歴史を身近に感じることのできる環境にある上場小学校でした。
停電に伴うホームページ閲覧停止のお知らせ
電気工事による停電に伴い、以下の期間はホームページの閲覧ができなくなります
ので予めご了承ください。
令和4年1月21日(金) 午後5時から
令和4年1月22日(土) 午前10時まで
(時間は前後する場合がございます。)
かごしま遺跡フォーラム延期のお知らせ
令和4年1月29日(土)に開催を予定していた「かごしま遺跡フォーラム」は,新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を鑑み,延期することといたしました。
延期後の日程につきましては,当ホームページやFacebookで改めてご案内させていただきますので,ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
第13回「遺跡出土の獣骨から見えてくるヒトと動物とのかかわり」
Ⅰ 遺跡から出てくる動物のホネ
縄文時代の遺跡を発掘すると,矢の先端につける石鏃という狩猟具が大量に出てくることがあります。むかしの人々が動物を弓矢で狩って生活していたことが分かります。では,どのような動物を狩っていたのでしょうか。それを解明してくれるのが遺跡から出てくる動物のホネ(獣骨)たちです。
Ⅱ ホネが残る条件
遺跡から出てくるホネは完全な状態で出てくることは,ほとんどありません。日本は火山大国であり,ほとんどの地域が酸性土壌です。ホネの主成分であるリン酸カルシウムは,アルカリ性であるため,酸性土壌に埋まるとすぐに溶けてしまいます。そのため,遺跡からホネが出てくるのは,
貝塚・・・貝殻が酸性土壌を中和する 南西諸島の遺跡・・・珊瑚礁が基盤となるアルカリ性の土壌 洞窟遺跡・低湿地遺跡・古墳・・・ホネが空気に触れずにパックされている |
などの特殊な条件の遺跡に限られてきます。

Ⅲ ホネを見分ける
遺跡から出てきたホネが何の動物のホネかを特定する作業を「同定作業」といいます。その際に参考にするのが原生の動物のホネ(原生標本)です。動物の骨格は数千年の年月ではほとんど変化せず,動物の種類ごとにホネの形が違うため,原生の動物のホネと見比べることで,どの動物のホネかを特定することができます。
Ⅳ ホネから分かる人々の生活
遺跡から出てきた動物のホネの種類,量が分かることによって,当時の人々の食生活や遺跡の周辺環境を推測することができます。これから紹介するのがその一部です。
1 狩りの対象はこの動物
遺跡からは多くの種類の動物のホネが出てきます。しかしながらその量の比には偏りがあります。縄文時代の出土獣骨の約8割を占めるのがシカ(4割)とイノシシ(4割)です。この2種類の動物は中型動物であり,多数生息していて当時の人々にとって狩りやすい動物であったことが分かります。
2 あの動物もかつては鹿児島にいた
遺跡から出てくる動物の中には,現在の鹿児島では野生種としてはお目にかかれない動物もいます。縄文時代の麦之浦貝塚(薩摩川内市)や柊原貝塚(垂水市)などの遺跡からは,日本では野生種がすでに絶滅したとされているオオカミや九州では現在生息していないツキノワグマのホネが見つかっています。当時の鹿児島にはこのような猛獣たちも人間の近くで生活していたことが分かります。
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Ⅴ ホネを道具へ
むかしの人々は,狩った動物を食べて残ったホネをただ捨てるだけではなく,加工して道具にもしていました。それを「骨角製品(骨角器)」といいます。骨角製品は,釣り針や銛(もり)などの漁労具のほかに,首飾りなどの垂飾品が多くあります。鉄製品が普及した後の時代にも素材にあえて骨を使用する道具もあり,当時の人々が動物に対して特別な思いをもっていたことがうかがえます。
Ⅵ おわりに
現在の私たちはペットや家畜,野生動物など多くの動物たちと関わりを持ちながら生活をしています。それは大昔の人々も同じでした。今回紹介したように,遺跡の発掘調査から出てくるホネをよく調べることで,当時のヒトと動物との生活の一端を垣間見ることが出来ます。皆さんもぜひ,動物とふれあう中で昔の人々の生活に思いを馳せてみてください。
文責 宮﨑大和
【引用・参考文献】
西中川駿・松元光春・河口貞徳1991「市来貝塚出土の動物遺体」『鹿児島考古』25鹿児島県考古学会
西中川駿・宮﨑大和・松元光春2021「鹿児島の遺跡出土の動物遺体」『鹿児島考古』50鹿児島県考古学会
垂水市教育委員会2005『柊原貝塚』垂水市埋蔵文化財発掘調査報告書8
鹿児島県教育委員会1988『下山田Ⅱ遺跡 和野トフル墓』鹿児島県埋蔵文化財発掘調査報告書45
教育情報かごしまに掲載
「教育情報かごしま」Vol.65(2022年1月号)に,「『廃寺は語る!』よみがえる鹿児島の仏教文化事業~光台寺跡発掘調査・ワクワク考古楽授業支援~」を掲載しました。
下記リンクからご覧ください。
ワクワク考古楽in種子島
令和3年11月16日から19日にかけて,種子島の小中学校5校(星原小学校・納官小学校・岩岡小学校・南界小学校・中種子中学校)で,出前授業を実施しました。
各学校,「地域の歴史や遺跡,文化財について知ろう」というめあてを立てて授業を行いました。
まず,埋蔵文化財センターが行っている発掘調査の方法や,上野原遺跡の紹介をしました。
次に,日本最古級と考えられる旧跡時代の落とし穴が見つかった立切遺跡(中種子町)や,縄文時代の出土遺物が重要文化財に指定された三角山遺跡(中種子町)など,種子島の代表的な遺跡を紹介しました。
他にも,センターから持参した本物の土器や石器などの遺物を手に取って観察したり,土器の文様の付け方を調べたりしました。
どの学校でも子どもたちは,興味を持って授業を受けていました。自分たちの住んでいる種子島に,旧石器時代から人々が生活していたことに驚いていました。また,縄文時代の貴重な遺跡があることにも感心していました。
子どもたちが今回の授業を通じて,地域の歴史や文化財に対しこれまで以上に興味や関心を持ってくれると期待しています。
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令和4年度文化財調査員(非常勤職員)募集要項
(公財)鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センターでは,令和4年度文化財調査員(非常勤職員)を募集します。
詳しくは,下記の募集要項(PDF)をご覧ください。
鏡もち!のような石皿
年の瀬を迎え,正月飾りが店頭に並ぶこの頃,遺跡にもめでたい発見がありました。
鹿屋市石鉢谷B遺跡では,直径40㎝ばかりある巨大な石皿が見つかりました。きれいな花崗岩で,表面がつるつるとしています。
現在,縄文時代晩期(約2,500年前)の包含層を調査中です。調査はいよいよ大詰めを迎えます。
開園・休園日のご案内(年末年始)
年末年始の開園・休園についてご案内いたします。
12月29日(水)開園日
12月30日(木)~令和4年1月1日(土)休園日
1月2日(日)~1月6日(木)開園日
1月7日(金)休園日
1月8日(土)より通常どおり※の日程で営業いたします。
※月曜休館(※月曜日が祝休日の場合は翌日休館)
休=休園日 営=営業日
現地説明会を開催しました!~北山遺跡(阿久根市)
12月4日(土),北山遺跡(阿久根市)で発掘調査の現地説明会を開催しました。当日は晴天にも恵まれ,地域の住民をはじめ100人ほどの見学者がありました。
見学者は掘立柱建物跡などの本物の遺構を前に説明を聞いたり,これまでに出土した遺物を見学したりしました。
また,発掘調査を体験できるコーナーでは,子どもから大人まで多くの参加者で賑わい,あちこちで遺物を見つけて歓声をあげる光景も見られました。
当日の資料は,こちらのページからダウンロードできます。