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埋蔵文化財技術講座(調査研究)

令和8年2月5日(木)・6日(金)に,市町村の埋蔵文化財担当職員を対象とした技術講座を開催しました。今回は,文化財調査のための三次元計測の基礎知識や三次元モデルの作成方法,データ活用の技術習得を目的として,独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所の山口欧志氏・坂本匠氏を講師に招き,講義と実習を実施しました。

まず初めに,文化財の三次元計測概説について講義していただきました。なぜ三次元計測を行うのか,何ができるのか,またデータの扱い方や活用方法について詳しく説明していただきました。

次に,「RealityScan」を利用した遺構の三次元モデル構築の実技研修を行いました。参加者は説明を聞きながら,サンプルデータから遺構の三次元モデル作成について学ぶことができました。

二日目は,三次元計測用の遺構写真の撮影方法を学び,それをもとに三次元モデル構築の実践を行いました。

今回参加した各市町村の担当者は,今回の講座を通して三次元計測の基礎や活用について理解を深めることができたようです。今後の発掘調査や整理作業で活用されることを期待しています。

【参加者の感想】

  • 興味のあるテーマで大変勉強になった。
  • ソフトの操作は難しかったが,配布資料と見比べて慣れることができた。
  • 基礎知識不足で難しかったが,丁寧な説明のおかげでよくわかった。
  • パソコンやカメラなどの機材準備からソフトの仕様など,超えるべきハードルが多いと感じた。

山口氏による講義の様子

「RealityScan」を利用した三次元モデル構築

遺構写真の撮影方法

 

「薩摩国府跡(薩摩川内市)出土の墨書戯画土器」(古代)

薩摩国府跡で出土した墨書戯画土器は,瓦が集積された中から出土したもので,土師器の底部の内外面に墨書きで絵や文字が描かれていました。

内面には,左側には笑顔で胸部を露出して戯れ舞っているとみられる人と,右側にはそれを眺める女性が描かれ,左側には「はか」とみられる仮名文字を見ることができます。

外面には,右側には扇子をもって中腰で烏帽子をかぶる人と,左側には「みずら」という髪型の人が描かれています。この当時,「みずら」は高貴な未成人男性の髪型であるため,それを見たことのある人物が描いたものと考えられます。

これらは,一筆でさりげなく描かれており,絵巻物に見られるような特徴があることから,絵師が描いたものの可能性が考えられます。また,仮名文字も書かれていることから,少なくとも10世紀以降(~11世紀中頃か)のものと考えられます。

当時の服装・髪型などについて,このような描写がなされている墨書土器は全国的にも希少であり,重要なものといえるでしょう。

なお,外面の戯画は,これまで白拍子の様子を描いたものとされてきていましたが,白拍子は12世紀以降のものとされているため,その可能性は高くないと思われます。

 

 

ワクワク考古楽出前授業IN薩摩川内市立高来小学校

令和8年2月14日(土),薩摩川内市立高来小学校の家庭教育学級において,保護者の方々を対象とした出前授業を「子育てに生かせる縄文時代の知恵」をテーマに,行いました。

まず前半に,フィールドワークを行いました。高城郷の麓集落や地頭仮屋跡,妹背城跡など学校から程近いところにある史跡を,職員の説明を交えて実際に歩きました。特に妹背城址の見学では,何度か直角に折れる変化に富んだ道を歩き,歩きづらさを実感することで「これは攻めづらい…」とこの地に山城を築いた意図を体感していただきました。。参加した保護者の方からも「こんなところがあるなんて知らなかった。」,「より地域への理解が深まった。」などの声が聞かれました。

後半は,テーマ「子育てに生かせる縄文時代の知恵」についての説明を行いました。生活環境が加速度的に変化し,より便利になっている一方で,「人間関係の希薄化」や「地域社会やコミュニティー意識の衰退」等の問題がある現代人の生活と,狩猟や採集,住居づくり等を人々が協力して行い,約1万3000年という長きにわたって平和な時代を築き上げていた縄文人たちの生活とを比較し,「現代社会に生かせるものはないか?」ということを一緒に考えました。

その中で,「便利さはないかもしれないが,人々が自然と協力し合えることがよい。」,「人と直接関わる機会を増やすことが,お互いの理解につながるのではないか。」という考えを見いだすことができました。

また,縄文人たちがものを大切に扱っていた「もったいない。」の精神についてもふれ,SDGsという言葉がなかった時代に,すでにその意識をもっていた縄文人たちのすごさについても理解を深めることができました。

授業の後には,「縄文時代の生活について興味が出てきた。」「もっと多くの保護者の方々にも知ってもらいたい。」などの感想が寄せられました。

今回は,保護者の方に向けた出前授業でしたが,大変興味を持って聞いて,終始楽しい雰囲気の中で授業を行うことができました。

この学びをきっかけに,保護者と子どもたちが一緒になって地域の歴史や文化に目を向け,郷土への愛情をより一層深めていくことを願っています。

フィールドワークの様子

縄文時代の暮らしについて説明

 

「小型丸底壺」(立小野堀遺跡)

古墳時代の南九州では,地下に横穴を掘って遺体を置く空間(玄室と言う)を作り,塞いでお墓とした「地下式横穴墓(ちかしきよこあなぼ)」という墓制があります。そのお墓が県内最多となる200基近く見つかったのが,鹿屋市串良町細山田(現在の細山田インター近く)に所在する立小野堀遺跡です。

墓の中の遺体を置く空間(玄室と言う)の多くは,何も入っていないか,剣などの鉄器が入っているかのどちらかなのですが,31号墓の1基のみ,この土器が頭蓋骨の近くに置かれていました。

小型丸底壺というコップの役割をする器種ですが,その中でも高さ約5㎝ととても小さく,飲料を飲むのにあまり適していません。現在でもお墓に水やお酒などの飲み物をお供えしますが,このお墓でも,遺体とお別れする際に飲み物をお供えしたのかもしれません。

 

 

 

 

【イベント情報「下原洞穴遺跡シンポジウム」(天城町)」】

「下原洞穴遺跡シンポジウム」

日時:2026年3月1日(日) 14:00~16:50
場所:天城町防災センター ホール
主催:天城町・天城町教育委員会
入場:無料

詳細は以下のチラシ(PDF)をご覧ください。

下原洞穴遺跡シンポジウムチラシ(PDF)

 

 

「土馬」(どば)小瀬戸遺跡(姶良市)

土馬とは,馬の形をした土製品です。ピット(小さい穴状の遺構)の中から出土しました。色が黒く,頭部や尾部(びぶ)は欠けていて,頭部が大きく,四肢が短いです。また,足や背中に穴があけられており,焼成用の空気抜きの可能性があります。

鹿児島では,このような土製品が古代官道(かんどう)周辺で出土する例が多く,外来の災厄(さいやく)を防ぎ,村内の疫病を追い出し,土地神を和(なご)めるための祭祀(さいし)に用いられたのではないかと考えられています。

「沖永良部島古墓群シンポジウム」

「沖永良部島古墓群(おきのえらぶじまこぼぐん)」は,2025年12月19日に国指定史跡に答申されました。

このことを記念し,島に残る古墓群の価値をあらためて知り,今後の保存・活用について地域のみなさんと一緒に考えるシンポジウムが開催されます。

日時:2026年2月11日(水・祝)建国記念日
時間:16:00~18:30(開場 15:30)
参加費:入場料無料(事前申込み不要)
会場:おきえらぶ文化ホール あしびの郷・ちな
主催:知名町教育委員会・和泊町教育委員会
後援:奄美考古学会・奄美群島文化財保護対策連絡協議会・一般社団法人おきのえらぶ島観光協会
〔文化庁〕令和7年度地域の特色ある埋蔵文化財活用事業

【お問合せ先】
おきえらぶ文化ホールあしびの郷・ちな 0997-81-5151
和泊町歴史民俗資料館内 文化財作業室 0997-92-0911

詳しくは,下記のサイトをご覧ください。
「おきのえらぶ島の旅」沖永良部島観光サイト

「馬の鞦(しりがい)」大坪遺跡(出水市)・新城跡(阿久根市)

近世の磁器製品である「鞦(しりがい)」は,馬具の一種で,馬の尾の下を通して鞍(くら)や車の轅(ながえ)を固定するための帯(緒)のことです。坂道を下るときなどに鞍が前へ滑るのを防いだり,馬車を引く際に,馬の体と轅を安定させたりします。

透明釉が内側のみにかかり,外側にはかかっていません。綱の滑りをよくするため,内側のみに釉薬がかけられたと思われます。

 

ワクワク考古楽出前授業IN沖永良部

令和7年11月27・28日の2日間,沖永良部の小中4校(和泊小,知名中,大城小,国頭小)で出前授業「ワクワク考古楽」を行いました。子どもたちは普段,考古学に触れる機会が少ないとのことだったため,授業の序盤でなぜ遺跡を発掘するのか,発掘するとどのようなものが見つかるのかを説明しました。その後,沖永良部島内の遺跡について,時代や出土遺物などを紹介しました。

子どもたちは,全国や県内に予想以上に多くの遺跡があることに驚いた様子でした。島内には141か所の遺跡が点在しており,今回はその中から住吉貝塚と友留遺跡の遺物(土器,石器,貝類,動物骨)を学校へ持参しました。子どもたちは,実際に遺物を手に取り,土器の表面の模様を観察したり,触れたりして,石器の用途の違いによる形や表面の違いを感じ取っていました。また,貝塚にはイノシシやネズミのような陸上動物の骨だけではなく,ウミガメ,イルカ,クジラなど周辺の海の動物の骨も含まれており,それらを興味深く比較していました。

授業後には,「予想以上に島内に遺跡があって驚いた」「もっと沖永良部の遺跡について調べてみようと思った」などの感想が寄せられました。さらに休み時間には,授業を受けていない学年の子どもたちも遺物の周りに集まり,「これは何?」と質問してくれたり,授業を受けた子どもたちが他の学年へ「これは矢じりで黒曜石からできているよ」と教え合ったりする姿も見られました。

子どもたちだけでなく,先生方も大変興味を持って聞いてくださり,終始楽しい雰囲気の中で授業を行うことができました。これを機に,子どもたちがより自分たちの地域の歴史や文化に興味を持ち,文化財に対する知識を高めてもらえればと思います。

和泊小の授業の様子

知名中の授業の様子

大城小の授業の様子

国上小の授業の様子