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カテゴリー: 鹿児島県立埋蔵文化財センター

姶良市立山田小学校での出前授業

令和4年6月3日,姶良市立山田小学校で6年生にワクワク考古楽授業支援(出前授業)を実施しました。

まず始めに,埋蔵文化財センターの仕事をビデオで紹介しました。

次に,上野原遺跡の紹介と共に,鹿児島県内の火山について説明しました。鹿児島県は火山が多く,その火山のはたらきでできた地層が多いことも説明しました。山田小学校の近くにも,米丸マール(火口跡)・住吉池マール(火口跡)があり,子どもたちもよく知っていました。

それから,学校の近くにある木佐木原遺跡について,出土した遺物を中心に紹介しました。子どもたちは,自分たちの住んでいる地域に,約5千年前の縄文時代の人たちが住んでいたことに驚いていました。

また,これまでの発掘調査で見つかった,縄文時代から弥生時代の土器や石器の実物を紹介しました。子どもたちは,教科書で見た縄文土器との違いや,時代ごとに異なる土器の文様を観察したり,石器の使い道を考えたりしました。

授業の最後には,埋蔵文化財センターの元職員である校長先生自らまとめの話をされました。

子どもたちは,今回の授業を楽しみにしていたようで,説明をよく聞き,意見や感想をたくさん発表してくれました。この学習を機会として,地域の歴史や文化財により関心を持ってくれることを期待しています。

学校近くの遺跡について紹介

土器や石器の本物を間近で観察

校長先生自ら説明

立塚遺跡の発掘調査

立塚遺跡(鹿屋市吾平町)は令和2年度から調査を開始し,今年度で3年目の最終年度となります。

過去2年間の調査成果から,縄文時代晩期から弥生時代前期,古代の複合遺跡であることがわかりました。これまでの調査で,古代の畝間(うねま)状遺構を多数検出しています。畝間とは,字のごとく畑の畝と畝の間ことで,畑作を行っていたことが分かる遺構です。他にも,貞観16(874)年に噴火した,開聞岳由来の火山灰「紫コラ」が堆積しているピット(穴)も多数検出しています。

また,9世紀後半のものではないかと思われる土師甕(はじがめ)も完形に近い状態で見つかりました。底は,削平の影響で損失しています。

現在,調査が始まったばかりなので,撹乱(イモ穴)の除去などを作業員さんたちに頑張ってもらっています。

また,昨年度6層上面(池田軽石層上面)で検出した弥生時代初頭のものと思われる土坑(やや大きめの穴)の調査を再開しました。土坑は列状の配置で切り合いをもって検出され,土坑内からは,土器片や打製石斧の欠損品などが出土しています。県内には類例がなく,現在,調査中です。近々大学などの先生方にも指導を仰ぐ予定です。

今後の調査成果をご期待ください。

立塚遺跡の発掘風景

完形に近い形で見つかった土師甕

遺構をていねいに掘り下げていきます

 

 

 

照信院跡(曽於郡大崎町神領)の発掘調査

当センターでは,「廃寺は語る!よみがえる鹿児島の仏教文化」事業を実施しています。本事業では,廃仏毀釈で失われた寺院の発掘調査を実施することで寺院の状況を解明し,歴史的価値をよみがえらせ,調査成果を報告書にまとめる計画です。また,調査成果は学校での出前授業で活用して,児童生徒の郷土を誇り愛する心の醸成などに役立てることを目的としています。

本年度は,曽於郡大崎町に所在する「照信院(しょうしんいん)跡」 の発掘調査を行っています(調査期間:令和4年6月1日~28日)。 照信院は,和銅元(708 )年に修験道開祖役小角(えんのおづの)の弟子である義覚(ぎかく)がこの地にやってきて,飯隈山(いいくまやま)を開山し,新熊野三社権現を勧請し,本地阿弥・薬師・観音の三尊を安置したことが由来とされています。また,天平15 (743)年に聖武天皇の勅願所(ちょくがんじょ)の宣旨を受けたとも伝えられています。中世以降も京都天台宗聖護院(しょうごいん)や近衛家などの中央勢力や,島津各代の藩主と深く関わり南九州最大の修験道場として君臨したとされています。しかし,廃仏毀釈で飯隈山の寺院は破壊され,現在は,飯福寺照信院本社跡に熊野神社が残るだけです。

これまでの調査の結果,懸仏(かけほとけ)の一部と思われる青銅製の仏具,13世紀ぐらいの青磁(せいじ)や,近世の薩摩焼などが出土しています。また,写真のような小石が詰まったピット(穴)や,かまどと推定される痕,回廊(かいろう)のあったと考えられる付近に溝状の掘り込みが確認されています。

期間は残り少ないですが,発掘調査を進めさらなる実態解明を進めていきます。

 

※廃仏毀釈とは

江戸時代には,幕府の仏教保護政策の影響もあって,仏像をもって神体とする神社があるなど神仏混淆(しんぶつこんこう)の傾向がありました。幕末から明治時代はじめ,王政復古(天皇中心の政治へ戻すこと)によって祭政一致をめざす新政府は,明治元(1868)年神仏分離令を出し,神社からの仏教的色彩の払拭に努めました。鹿児島藩は神仏分離に止まらず,寺院・仏像の破壊,経典・仏具の焼却などの廃仏を断行し,鹿児島では,すべての寺院が破壊され,鹿児島の仏教文化は大きなダメージを受けました。

図1 照信院絵図(『三国名勝図会』国立国会図書館デジタルコレクションから転載 改変)

図2 小石が詰まったピット

図3 かまど状の遺構

研究紀要第14号

後期旧石器時代前半期における種子島地域出土石器の残存デンプン分析
寒川朋枝

深浦式土器に見る文様割付の時期的変化について -細山田段遺跡を中心に-
相良典隆,森えりこ

鹿児島県における弥生時代~古墳時代初頭の墓の基礎的な研究 -覆石墓・葺石墳・配石墓,壺棺墓・甕棺墓,石棺墓,木棺墓,支石墓の集成と考察-
湯場﨑辰巳

近世鹿児島城下町についての考察
阿比留士朗


令和2年度年報 

 

令和4年度 会計年度任用職員(文化財発掘調査補助員)募集

令和4年度会計年度任用職員(文化財発掘調査補助員)を募集します。

職務内容

埋蔵文化財の発掘に関わる業務
山鍬・ジョレン・移植ゴテなどを使用した掘り下げ
発掘作業で出る排土の処理,運搬(「てみ」を使用)
調査記録(測量・写真等)の補助
遺跡周辺の安全対策・環境整備 等

募集人員

20人程度

勤務地

(勤務地)名主原遺跡 鹿児島県鹿屋市吾平町下名
(本 部)鹿児島県立埋蔵文化財センター 鹿児島県霧島市国分上野原縄文の森2番1号

任用期間

令和4年7月1日(金)から令和4年9月30日(金)まで
※ 発掘調査の状況により短くなることがあります。

募集期間

令和4年5月27日(金)~令和4年6月10日(金)

そのほか詳しい内容は,下記の募集要項(PDF)をご覧ください。

令和4年度会計年度任用職員(文化財発掘調査補助員)募集要項

避難訓練

5月18日に,避難訓練を実施しました。

勤務中に地震が起き,その後,センター内で火災が発生。職員は速やかに,屋外の安全な場所に避難するという訓練でした。

毎年行っている訓練ですが,職員の異動や係の変更もあるので,毎回役割分担や避難経路などを確認をしながら実施しています。

今回の訓練も,計画通りにスムーズに実施することができ,避難場所に速やかに集合・避難することができました。

火元への初期消火

逃げ遅れた人がいないか確認

避難人数の報告

速やかに避難できました

令和4年度県内遺跡事前調査事業(野首遺跡ほか) 会計年度任用職員(文化財発掘調査補助員)募集

令和4年度県内遺跡事前調査事業(野首遺跡ほか)会計年度任用職員(文化財発掘調査補助員)を募集します。

職務内容

埋蔵文化財の発掘に関わる業務
掘削,排土処理,運搬等

募集人員

3人程度

勤務地

(本 部)鹿児島県立埋蔵文化財センター 鹿児島県霧島市国分上野原縄文の森2番1号
(勤務地)野首遺跡 (志布志市志布志町帖6246付近)

任 用 期 間

令和4年6月13日(月)から令和4年6月28日(火)まで(左記期間で8日程度)

 

詳しくは,下記の募集要項(PDF)をご覧ください。

令和4年度県内遺跡事前調査事業(野首遺跡ほか)会計年度任用職員(文化財発掘調査補助員)募集要項

 

かごしま遺跡フォーラムを開催します ~中津野遺跡と掘り出された南さつまの歴史~

延期となっていた「かごしま遺跡フォーラム~中津野遺跡と掘り出された南さつまの歴史~」の日程が,決定しました。
平成18 〜29 年度まで,国道270 号(宮崎バイパス)改築⼯事に伴い発掘調査を⾏った中津野遺跡(南さつま市)周辺をテーマに,掘り出された歴史から地域の特性を明らかにします。

■日時

令和4年7月9日(土)
13:00~16:30(受付12:30~)

■会場

金峰文化センター
南さつま市金峰町尾下1655番地

■講演・発表

「縄⽂時代・弥⽣時代の中津野遺跡周辺」
本⽥道輝⽒(前⿅児島県考古学会会⻑)
「古墳時代から中世の中津野遺跡周辺」
新屋敷久美⼦⽒・橋⼝亘⽒(南さつま市教育委員会)
「中津野遺跡の発掘調査成果〜最古級の舷側板など〜」
鮫島えりな⽒(⿅児島県⽴埋蔵⽂化財センター)

■パネルディスカッション

「発掘調査から⾒えてきた中津野遺跡周辺」

■展⽰

発掘調査概要報告・中津野遺跡出⼟遺物

■参加

事前申込不要・入場無料
定員300名(当日受付)

■主催

⿅児島県⽴埋蔵⽂化財センター

■共催

公益財団法⼈⿅児島県⽂化振興財団埋蔵⽂化財調査センター

南さつま市教育委員会

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令和4年度 「河口コレクション」展示~上加世田遺跡(南さつま市)~

5月13日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。

今回は,「上加世田遺跡(南さつま市)」を紹介します。

上加世田遺跡は,縄文時代後期後葉から晩期前半期の南九州を代表する遺跡で,「上加世田式土器」の標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)にもなっています。

過去12回にわたって発掘調査が実施されており,故河口貞徳氏は,1次から6次までの発掘調査に調査統括として参加され,その後も調査指導者として関わってこられました。遺跡では,縄文時代後期の建物跡や大量の土器や石器,岩偶などが見つかっています。

その貴重な調査成果を,上野原縄文の森にてご覧ください。

展示期間
令和4年5月14日(土)~令和4年8月26日(金)

また,埋蔵文化財センターのエントランスでは,同じ「河口コレクション」の標式遺跡である「高橋貝塚(南さつま市)」・「入来遺跡(日置市)」・「山ノ口遺跡(錦江町)」の展示を行っています。こちらもぜひ,ご覧ください。

 

上加世田遺跡の展示

上加世田遺跡の展示

高橋貝塚・入来遺跡・山ノ口遺跡の展示