鹿児島県上野原縄文の森 (公財) 鹿児島県文化振興財団上野原縄文の森 埋蔵文化財情報データベース 鹿児島県立埋蔵文化財センター (公財) 鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター
MENU

鹿児島県立埋蔵文化財センター

鹿児島県上野原縄文の森 HOME 公財 鹿児島県文化振興財団鹿児島県上野原縄文の森 埋蔵文化財情報データベース 鹿児島県立埋蔵文化財センター 公財 鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター

カテゴリー: 南の縄文調査室から

このページは、発掘調査・整理作業・報告書作成の様子や、埋蔵文化財センタ内ーのできごとを紹介します。

南の縄文調査室から平成25年6月

  • 平成25年6月3日(月)

     サテライト展示(てんじ)でお会いしましょう  ~県民交流(けんみんこうりゅう)センターで展示中~


  •   今回は,かごしま県民交流センターで開催中(かいさいちゅう)の「サテライト展示」について紹介(しょうかい)します。
     県民交流センター2階ロビーにて,県立埋蔵文化財センター,上野原縄文の森,そして本年度から新たに設立(せつりつ)された埋蔵文化財調査(まいぞうぶんかざいちょうさ)センターの3つの団体を10枚のパネルで紹介しています。それぞれの団体の主な仕事内容や,最新の発掘成果(はっくつせいか),そしてお楽しみイベント案内など情報満載(じょうほうまんさい)です。
     興味(きょうみ)はあるけど,縄文の森まで行くのは,ちょっと・・・。そんな方も,このサテライト展示で上野原縄文の森の雰囲気(ふんいき)を感じてみてはいかがでしょうか?きっと縄文の森に()()りたくなるはず・・・。
     このサテライト展示,かごしま県民交流センター2階で6月6日(木)まで開催中(かいさいちゅう)です。ぜひ,お立ち寄りください。
       
    サテライト展示の模様

南の縄文調査室から平成25年5月

  • 平成25年5月16日(木)

    9,500年前を未来に伝えるために… ~南の縄文調査室の仕事1「環境調査(かんきょうちょうさ)」~

   上野原縄文の森には,「地層観察館(ちそうかんさつかん)」と「遺跡保存館(いせきほぞんかん)」の2つの特別な施設があります。なにが特別かといいますと,これらの施設は,上野原遺跡が発掘された当時の遺構や地層がそのままの状態(じょうたい)で保存されているのです。つまり,ここでは,9,500年前の地面を()の当たりにすることができます。
 しかし,地面の土はそのままにしていると,乾燥(かんそう)してひび割れてしまいます。せっかくの縄文時代の住居跡もひび割れてしまっては元も子もありません。また,乾燥を(おそ)れるあまり,湿度(しつど)を高くしすぎるとカビが発生(はっせい)してしまいます。
 そこで,この2つの施設では,毎日,温度と湿度の環境調査を行い,その日の環境に合わせて空調(くうちょう)が行われています。施設内を,何度ぐらいの温度で,どの程度(ていど)の湿度に(たも)っておけば,カビが発生しないのか,また,乾燥を防ぐことができるのか。それは,開園以来10年に渡る環境調査の中で(つちか)われた温度管理(おんどかんり)にかかっています。9,500年前の姿を,未来に伝えるために,今日も温度計・乾湿計(かんしつけい)とのにらめっこが(つづ)きます。
     
 環境調査記録ノート  地層観察館  遺跡保存館
環境データの一例(遺跡保存館,4月)    
   

平成25年5月24日(金)

 メッセージありがとうございます  ~まいぶんキット貸出(かしだし)事業~

  埋蔵文化財センターでは,普段(ふだん)の授業や郷土(きょうど)教育への取り組みをお手伝いするため,「まいぶんキット貸出事業」を行っています。この事業は,多くの子どもたちに,いつもの教室の中で,本物の土器や石器に()れてもらおうという目的で行われています。センターの収蔵品(しゅうぞうひん)の中から,学校からの要望(ようぼう)に合わせ,学習に活用できる遺物(いぶつ)を教材として貸出しています。
 先日,まいぶんキットをご活用いただいた霧島市立日当山(ひなたやま)小学校から写真のようなメッセージをいただきました。メッセージの中には,「生まれて初めて土器にさわって,歴史に興味(きょうみ)を持ちました」,「実際にさわるという経験(けいけん)はそんなにないと思うので,よい経験になりました」,「ぼくもこんな仕事をするのもいいなと思いました」など,たくさんのうれしいメッセージが()かれていました。
 日当山小学校のみなさん!本当にありがとうございました。またの活用(かつよう)をお()ちしています。
     
日当山小学校の6年生のみなさんからのメッセージ 

南の縄文調査室から平成25年4月

  • 平成25年4月18日(木)
  •   企画展潜入リポート 〜まもなく第36回の企画展が始まります〜 
  •   みなさんこんにちは,リポーターのタマリです。ここは,上野原縄文の森展示館の企画展示室です。ただいま,縄文の森の職員が(あわ)ただしく企画展の準備を行っています。わたしは,この準備作業に関係者を(よそお)って潜入(せんにゅう)中です。今回は,19日から始まる企画展「巨大噴火と共に生きた人々」の直前情報をお届けしたいと思います。
     まず,展示室に入ると,いきなり大きな日本地図が飛び込んできます。近くに3D眼鏡(めがね)が置いてありますので,どうやら立体地図のようです。いったい何が浮き上がってくるのでしょうか。左側の壁には,桜島大正噴火の模様を写した写真が展示されています。刻一刻(こくいっこく)と姿を変える100年前の桜島の姿がカメラにおさめられています。正面には大正噴火で埋まった古道の(はぎ)ぎ取り資料がどーんと展示されています。幅3mはあろうかと思われる道跡が大正噴火の火山灰で埋まっています。
     奥の方に進んでみましょう。ウォールケース内にはおびただしい数の土器が展示されています。巨大噴火によって埋められた土器が年代順に並べられています。約38,000年前の種Ⅲ(たね さん)火山灰噴出から大正噴火までの火山活動とそれらの時代を生きた人々の(いとな)みを,石器や土器の変遷(へんせん)で紹介しようという意欲的な展示です。「巨大噴火」のタイトルに()じないスケールの大きさです。
     室内をぐるっと見回してみましょう。壁には高さが優に3mを超える大きな地層剥ぎ取り資料が2つ。滅多(めった)にみることのできない実際の地中の様子を間近にみることができます。河口コレクションの火山関係資料も同時開催される模様です。2つの大きな軽石製の陰陽石(いんようせき)がひときわ目を引きます。
     おっと,学芸員が近づいてきました。見つかってしまったようです。今回の潜入リポートはここまです。すべてをお伝えできなかったのがで残念ですが,今回の企画展も見どころ満載(まんさい)のようです。
     以上,現場から,リポーターのタマリがお伝えしました。
     それでは,スタジオにお返します。
         
     立体写真です。3D眼鏡でどうぞ。 さしずめ現代の週刊誌でしょうか。   下原遺跡(志布志市)の資料です。
         
     鹿児島の火山史が一望できます。  巨大な地層の剥ぎ取り資料です。  河口コレクションも同時公開です。
     
  • 平成25年4月23日(火)
  • 奄美復帰(あまみふっき)60年に思いをよせて… ~初出土から75年の市来式土器(いちきしきどき)を展示中~
  •   写真の土器は,いちき串木野市の市来貝塚(かいづか)から初めて出土したので,「市来式土器」と命名(めいめい)されました。今からちょうど75年前のことです。この市来式土器は縄文時代後期(約3,500年前)に九州南部で作られた土器ですが,奄美群島(ぐんとう)沖縄県(おきなわけん)でも数多く出土しています。このことは,縄文時代から本土(ほんど)南西諸島(なんせいしょとう)の人々の間に交流があった(あかし)です。
     土器の赤い地肌が,南西諸島のサトウキビ畑の土の色を(おも)わせるのは,私だけでしょうか?縄文の(はる)か昔から人々の結びつきは現代まで脈々(みゃくみゃく)と受け継がれてきています。奄美群島本土復帰60年の今年,一時期とはいえ占領下(せんりょうか)に置かれた奄美の人々に思いをはせながら,この赤い市来式土器を選んでみました。
       

南の縄文調査室から平成25年3月

  • 平成25年3月6日(水)
  •   これで()されたら(いた)いかも…剥片尖頭器(はくへんせんとうき)ほか~ 
     レモン形土器にかわって,2階展示ケースに登場したのは,旧石器時代(およそ25,000年前)の剥片尖頭器(はくへんせんとうき)などの石器です。当時の人々はこれらの石器を(ぼう)の先につけて,オオツノジカなどの獲物(えもの)をしとめていたのではないかと考えられています。石器の刃はかなり(するど)くとがっていて,これで刺されたオオツノジカはさぞかし痛かったことでしょう。
     鋭く加工された刃先には,「オオツノジカよ,待ってろよ」という執念(しゅうねん)さえ感じられます。ぜひ,旧石器時代の人々の生きる(すべ)を感じていただきたいと思います。
  •     
  • 平成25年3月8日(金)
  •  思わず食べてしまいそう ~明恵の接合日記~ 
  •  ずいぶん日にちがたってしまいましたが,みなさんあの茶釜のこと覚えていらっしゃいますか?あの茶釜,あのあとずいぶんと大きくなって,写真のように立派に成長しました。どうです,この丸い底!まるで「ベビーカステラ」のようです。思わずナデナデしてしまいました。
     ふたの部分もぴったりとくっつきます。内側もしっかり(ゆう)がかけてあって,丁寧(ていねい)に焼かれたことがわかります。さすが殿様御用達(ごようたし)の窯だけのことはあります。う~ん,実にいい仕事してます。
     さて,食べ物つながりでなんですが,冷水窯(ひやみずがま)の遺物の中から,月日貝(つきひがい)にそっくりな鉢の破片が見つかりました。つりの大好きな(オー)係長は,破片片手に「月日貝は,刺身(さしみ)でも,焼いて醤油(しょうゆ)をたらしてもおいしいんだ。ひもの部分からいいダシが出るんだよ。」と熱弁(ねつべん)をふるっていました。それくらい精巧(せいこう)に貝を()して作っています。
     さて,次はどんな食べ物,いや,どんな破片が見つかるのか,まだまだ私の接合日記は続きます。
  •      
  •     
  • 平成25年3月18日(月)
  • 「あわび」か「とこぶし」か,それが問題だ!~明恵の接合日記~

  •  冷水窯の破片の中から,写真のような皿の破片を見つけました。「あわび」か「とこぶし」をモデルにしていると思うのですが,いったいどちらなのでしょう。
     ところで, 「カツオブシ」は「勝男武士(かつおぶし)」と漢字をあてて,戦国時代の武士の間で縁起物(えんぎもの)として重用(ちょうよう)されていました。調べてみると,「あわび」も,「のしあわび」を「打ちあわび(あわびの肉を打って薄くのばしたことから)」とよんで,お祝いに贈っていたそうです。
      「とこぶし」にも「武士」がつくからいいかな,でも「床武士(とこぶし)」って縁起悪いよね,なんて考えながら,破片を接合していくと,皿の表面に4つの突起(とっき)があることがわかりました。これで皿のモデルが「あわび」であることがはっきりしました。「あわび」の(から)の表面には4~5個の突起があるのです。
     この「あわび」の皿も,「カツオブシ」と同じように,武運長久(ぶうんちょうきゅう)の縁起物だったのかもしれませんね。
     さて,わたしの謎解きはまだまだ続きます。
  •    
             皿の外側               皿の内側          突起が4つ(長いのは(きゃく)です)   

南の縄文調査室から平成25年2月

  • 平成25年2月14日(木)
  •   これでチョコを送ったのかな?!~明恵の接合日記~ 
     今日2月14日は,バレンタインデーですね。先日,いつものように接合作業をしていたら,バレンタインデーにぴったりなものを見つけました。なんと,逆ハート形の透かし彫りの入った冷水窯の陶片です。
     おそらく鉢(向付(むこうづけ))と思われますが,当時の陶工たちは,この透かし彫りの形がハートだとはわかっていなかったでしょう。でも,現代の私たちが見ても,「かわいい」と思えるようなデザインの鉢です。
     島津のお姫様たちも,この鉢の上にチョコをのせて,殿方に送っていたのかな…,なんて考えながら,ぴったり合う陶片を探しています。さて,運命の陶片はいずこに?!
  •              
  • 平成25年2月6日(水)
  •  どんな形になるのやら… ~「明恵の接合日記」始めます~

  •  埋蔵文化財センターでは、縄文時代から近世までのさまざまな種類の土器,陶磁器の接合(せつごう)作業を行っています。その一つに竪野冷水窯跡(たてのひやみずかまあと)から出土した大量の薩摩焼の接合作業があります。
     竪野冷水窯跡は,江戸時代の薩摩焼古窯の一つで,藩主やその一族などの上級武士が使用する茶道具や日常品を製作し,一般的に「白薩摩」と呼ばれる陶器を多く焼いた窯として知られています。
     写真の薩摩焼の破片は,接合作業が始まるまでは「壺」の破片と考えられていましたが,いざ作業を始めてみると,つまみの部分のある破片とぴったりくっついたのです。今まで「壺」の一部だとばかり思っていた破片が,なんと「茶釜」の破片だったのです。
     土器の破片を接合をしていると,思ってもみなかった形になることがあります。それは,まるでパズルを解いているようです。「へぇ,こんな形だったんだ」「よくくっついたな」など,新たな感動や発見を得られることが,接合作業のおもしろいところです。
     「明恵の接合日記」では竪野冷水窯跡の接合作業の様子を随時紹介します。この茶釜,いったいどんな形になるのか,わたくし「明恵」と一緒に接合のおもしろさを味わっていただけるとありがたいです。
  •   
       接合前「壺」の一部と思われていた破片                接合作業の様子
      (カーソルを置くと,別の破片がくっつきます)

南の縄文調査室から平成25年1月

  • 平成25年1月28日(月)
  • ただ今,レモン形土器展示中!   ~遺物の展示ケースを新設しました~

  •  センター2階の南の縄文調査室前に,遺物の展示ケースを設置(せっち)しました。今月は,上野原遺跡で出土した縄文時代早期(約9,500年前)のレモン形土器を展示中です。
     この土器は,貝殻(かいがら)(ふち)を押し当てた文様(もんよう)とくさび形の粘土を貼り付けた装飾(そうしょく)特徴(とくちょう)で,上から見るとレモンのような形をしています。
     ただ今開催中の第35回企画展では,前原(まえばる)遺跡出土のレモン形土器(国指定重要文化財)を展示中です。ショーケースの展示遺物と合わせて,レモン形土器の不思議な形をお楽しみください。ショーケースの展示遺物は毎月入れ替えます。こちらもお楽しみに!
  •     
              展示中のレモン形土器                    上から見たところ
  • 平成25年1月24日(木)
    センターのロビーに「礫群(れきぐん)」の実物を展示(てんじ)中です
     

     センターの入り口を入ると,縄文時代の「落し穴」のあとを地層ごとはぎとったものや,奄美大島で使われていた丸木舟の実物を展示しています。
     ここに,旧石器時代の礫群の実物を展示中です。これらの礫群は,榎崎(えのきざき)B遺跡(いせき)(約15,000年前,鹿屋市),前原和田遺跡(約24,000年前,霧島市),桐木耳取(きりきみみとり)遺跡(約24,000年前,曽於市)で発見された遺構(いこう)をそのまま切りとってセンターに移設(いせつ)したものです。
     礫群は,旧石器時代の人々が石()し料理や土器のない時代の煮炊(にた)きをしたあとではないかと考えられています。
     (あさ)い穴の中で石を焼き,その焼けた石の中に葉でつつんだ魚や肉,イモなどを入れ,上から土をかぶせて,しばらくおくと,おいしい蒸し焼き料理のできあがりです。
     また,動物の皮を()いた穴の中に水を入れ,その中に焼いた石を投げ込んで煮炊きをしたりお湯をわかしたりしたのではないかとも考えられています。
     さて,旧石器時代の人々はどんな(おも)いでこの礫群を囲んでいたのでしょうか。
  •  
              落し穴と丸木舟                       展示中の礫群