霧島市文化財少年団
霧島市文化財少年団は,霧島市が行っている事業です。霧島市内在住の小学生を対象に「見る・聞く・触れる体験活動」をとおし,ふるさとの歴史や衣住食の文化に対する理解を深めることを目的に結成されています。
今回その活動の一環として,8月4日に埋蔵文化財センターと上野原縄文の森を見学しました。
エントランスで埋蔵文化財センターの役割と発掘調査についての説明を聞いた後,センター内で行っている整理作業の様子を見学しました。
子どもたちは,学校の教科書でならった土器や石器の本物を見たり,昔の人々の暮らし方を聞いたりして,驚いていました。
これからもこのような活動を通して,地域の歴史や文化を大切にする気持ちを育んでくれることを期待しています。
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かごしま遺跡フォーラム2022報告
令和4年7月9日(土)に,「かごしま遺跡フォーラム2022~中津野遺跡と掘り出された南さつまの歴史と文化~」を,南さつま市の金峰文化センターで開催しました。
第9回目となる今回のフォーラムは,令和3年3月に開通した国道270号宮崎バイパス工事に伴って,平成18年度から平成29年度まで発掘調査を行った「中津野遺跡」とその周辺をテーマに,国内最古級の弥生時代前期後半(約2,500年前)の船の一部(舷側板)など,地域で掘り出された遺跡・遺物から南さつまの歴史的特性を紹介しました。
当日は,前鹿児島県考古学会会長の本田道輝氏による講演,南さつま市教育委員会の新屋敷久美子氏・橋口亘氏,当センター職員の鮫島えりな文化財研究員が発表を行いました。
本田道輝氏の講演では,中津野遺跡周辺が県内でも有数の遺跡の密集地であることが説明され,縄文時代・弥生時代の代表的な遺跡が紹介されました。
新屋敷氏の発表では,古墳時代から古代の遺跡の紹介があり,「阿多」と刻書された土器が見つかっていることなどが報告されました。
橋口氏の発表では,南さつま市の万之瀬川流域において,中世から近世の海外産の希少な遺物が多数発見されており,対外交流の歴史について報告がありました。
鮫島文化財研究員の発表では,中津野遺跡の調査の経過や主な成果,そして今回重要な発見となった弥生時代の船の部材の発見の様子とその特徴について報告がありました。
その後のパネルディスカッションでは,当センター寺原徹調査課長が司会を務め,南さつま市の遺跡や歴史について意見交換が行われました。また,会場からも質問があり,発表者たちが真摯に答えていました。
今回のフォーラムを通して,南さつま市には多くの遺跡があり,歴史・文化面でも重要な発見が多くあったことを紹介できました。
今後も,郷土の文化財についての普及啓発を続け,地域の歴史を紐解く一助となればと思います。
※ 中津野遺跡の出土遺物や船の部材は,南さつま市の「歴史交流館金峰」で展示中です。ぜひ,現地でご覧ください。
※ 当日の講演・発表の様子は,鹿児島県立埋蔵文化財センターのYouTubeチャンネルで公開予定です。準備ができましたら改め紹介いたします。
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照信院跡(曽於郡大崎町)の発掘調査現地公開
令和4年6月24日(金)に照信院跡の発掘調査成果について,現地公開を行いました。
平日の午後の開催にも関わらず,自治会長さんをはじめ約20名の来跡がありました。
最初に,大崎町の史跡ガイドブック「おおさきの歴史を旅してみませんか」の執筆に協力している鳥越氏から,照信院跡の古代から明治における概説紹介が行われました。28か所の坊(僧の住居や宿舎)があり,県内最大規模の修験道の寺院があったことが説明されました。
発掘調査については,『三国名勝図会』の配置を参考に行い,東西に各1条の溝を発見し,この溝の内側(現熊野神社を中心)には,玉砂利状の小礫(3㎝大の石)が多く敷き詰められ,遺物(薩摩焼や土師器)が出土したこと,また,その溝を挟んだ内側は,聖域として区画された場所の可能性があり,『三国名勝図会』にある回廊付近にあたると考えられることなど,絵図と発掘調査の成果が一致したことなどを報告しました。
また,出土遺物についても,懸仏(かけほとけ:銅などの円板に仏像を鋳たものを付けたり浮き彫りにしたりしたもの。寺社の堂内に懸けて礼拝したもの)の一部と考えられる華甁(けびょう:仏前に花を供えるのに用いる壺)や,13世紀の青磁などを紹介し,参加者からはいろいろと質問がありました。
地元の方々からは,小さいときの現地の記憶や,祖父母や親から伝承された貴重な情報をいただきました。
15時頃からは,大崎コミュニティラジオに急遽出演し,照信院跡の調査成果をより多くの方に広報することができました。
今回の現地公開は,地元の方々の関心の高さをヒシヒシと感じるものとなりました。
※ 現地公開の当日資料はこちらからダウンロードできます(PDF)
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第2整理作業所
今年度から当センターでは,霧島市の旧福山中学校でも整理作業を行っています。
教室ごとに,実測やデータ処理などを行っています。作業場所が教室なので,黒板が利用できたり,棚を利用したりと,便利なこともあります。窓からは桜島も見えて,開放的です。
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【国の史跡に答申~立切遺跡】

立塚遺跡の発掘調査
立塚遺跡(鹿屋市吾平町)は令和2年度から調査を開始し,今年度で3年目の最終年度となります。
過去2年間の調査成果から,縄文時代晩期から弥生時代前期,古代の複合遺跡であることがわかりました。これまでの調査で,古代の畝間(うねま)状遺構を多数検出しています。畝間とは,字のごとく畑の畝と畝の間ことで,畑作を行っていたことが分かる遺構です。他にも,貞観16(874)年に噴火した,開聞岳由来の火山灰「紫コラ」が堆積しているピット(穴)も多数検出しています。
また,9世紀後半のものではないかと思われる土師甕(はじがめ)も完形に近い状態で見つかりました。底は,削平の影響で損失しています。
現在,調査が始まったばかりなので,撹乱(イモ穴)の除去などを作業員さんたちに頑張ってもらっています。
また,昨年度6層上面(池田軽石層上面)で検出した弥生時代初頭のものと思われる土坑(やや大きめの穴)の調査を再開しました。土坑は列状の配置で切り合いをもって検出され,土坑内からは,土器片や打製石斧の欠損品などが出土しています。県内には類例がなく,現在,調査中です。近々大学などの先生方にも指導を仰ぐ予定です。
今後の調査成果をご期待ください。
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照信院跡(曽於郡大崎町神領)の発掘調査
当センターでは,「廃寺は語る!よみがえる鹿児島の仏教文化」事業を実施しています。本事業では,廃仏毀釈で失われた寺院の発掘調査を実施することで寺院の状況を解明し,歴史的価値をよみがえらせ,調査成果を報告書にまとめる計画です。また,調査成果は学校での出前授業で活用して,児童生徒の郷土を誇り愛する心の醸成などに役立てることを目的としています。
本年度は,曽於郡大崎町に所在する「照信院(しょうしんいん)跡」 の発掘調査を行っています(調査期間:令和4年6月1日~28日)。 照信院は,和銅元(708 )年に修験道開祖役小角(えんのおづの)の弟子である義覚(ぎかく)がこの地にやってきて,飯隈山(いいくまやま)を開山し,新熊野三社権現を勧請し,本地阿弥・薬師・観音の三尊を安置したことが由来とされています。また,天平15 (743)年に聖武天皇の勅願所(ちょくがんじょ)の宣旨を受けたとも伝えられています。中世以降も京都天台宗聖護院(しょうごいん)や近衛家などの中央勢力や,島津各代の藩主と深く関わり南九州最大の修験道場として君臨したとされています。しかし,廃仏毀釈で飯隈山の寺院は破壊され,現在は,飯福寺照信院本社跡に熊野神社が残るだけです。
これまでの調査の結果,懸仏(かけほとけ)の一部と思われる青銅製の仏具,13世紀ぐらいの青磁(せいじ)や,近世の薩摩焼などが出土しています。また,写真のような小石が詰まったピット(穴)や,かまどと推定される痕,回廊(かいろう)のあったと考えられる付近に溝状の掘り込みが確認されています。
期間は残り少ないですが,発掘調査を進めさらなる実態解明を進めていきます。
※廃仏毀釈とは
江戸時代には,幕府の仏教保護政策の影響もあって,仏像をもって神体とする神社があるなど神仏混淆(しんぶつこんこう)の傾向がありました。幕末から明治時代はじめ,王政復古(天皇中心の政治へ戻すこと)によって祭政一致をめざす新政府は,明治元(1868)年神仏分離令を出し,神社からの仏教的色彩の払拭に努めました。鹿児島藩は神仏分離に止まらず,寺院・仏像の破壊,経典・仏具の焼却などの廃仏を断行し,鹿児島では,すべての寺院が破壊され,鹿児島の仏教文化は大きなダメージを受けました。
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避難訓練
5月18日に,避難訓練を実施しました。
勤務中に地震が起き,その後,センター内で火災が発生。職員は速やかに,屋外の安全な場所に避難するという訓練でした。
毎年行っている訓練ですが,職員の異動や係の変更もあるので,毎回役割分担や避難経路などを確認をしながら実施しています。
今回の訓練も,計画通りにスムーズに実施することができ,避難場所に速やかに集合・避難することができました。
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企画展内覧会を実施しました
4月21日,第63回縄文の森企画展の内覧会がありました。
今回の企画展は「きりしまの文化財~郷土の歴史を学ぼう」というテーマで,霧島市内の遺跡にスポットをあて,出土した遺物などを紹介します。
地域の歴史や文化を見聞きすることで,ふるさとに誇りを持てるよう郷土教育の推進の一助とします。
小中学生のみなさんは,夏休みの自由研究のアイデアが見つかるかもしれませんよ。
期間は,4月23日(土)~8月31日(水)です。ぜひ,上野原縄文の森にお越しください。
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