「蛇紋岩製石斧」(中津野遺跡:南さつま市)
「蛇紋岩」とは,暗緑色から黄緑色の光沢のある岩石で,蛇の皮の模様に似ていることから名付けられました。地学的には蛇紋石を主成分とする岩石を蛇紋岩といいます。硬さはモース硬度で表すと「3」で,10円玉硬貨と同じくらいです。
下の2点は,蛇紋岩で作られた縄文時代の磨製石斧です。蛇紋岩製磨製石斧は,縄文時代早期から晩期まで継続的に出土し,特に後期から晩期にかけて出土量・遺跡数が増えます。分布は鹿児島湾周辺を中心として北薩・南薩に集中する傾向があります。
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「蛇行剣」(南摺ヶ浜遺跡:指宿市)
下城跡発掘調査現地説明会
令和6年12月22日,今年度,発掘調査を実施している下城跡(しもじょうあと・姶良市北山)で,現地説明会を行いました。
下城跡は,戦国時代の山城跡で,これまでの調査において,多くの曲輪(建物が建っていたと思われる平坦面)や,曲輪と曲輪の間に設けられた空堀が見つかっています。
今回の説明会で,その特徴を紹介しました。
曲輪では,建物の柱跡と思われる穴や炉と思われる土が焼けた跡が見つかっていること,また,空堀では埋まった土の様子等を紹介しました。
当日は約160人の参加をいただき,みなさん,曲輪や城跡の説明を聞きながら,当時の様子に思いを馳せていらっしゃいました。
また,「南の縄文文化展」を北山伝承館で開催しました。こちらもたくさんの方々がお見えになり,発掘調査で見つかった遺物等を興味深くご覧になっていました。
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研究紀要第17号
鹿児島県出土の縄文時代該当の人骨について―出土遺跡や人骨の集成と概要―
湯場﨑 辰巳
姶良市加治木町干迫遺跡の出土資料紹介(1)
鹿児島県立埋蔵文化財センター
鹿児島県出土中世須恵器の若干の検討~特に貯蔵具に着目して~
上床 真
イスノキの特長と出土資料および民俗資料例
東 和幸
ワクワク考古楽IN徳之島(面縄中・喜念小・面縄小)
令和6年12月5・6日,ワクワク考古楽出前授業を,徳之島の伊仙町立面縄中学校,喜念小学校,面縄小学校で実施しました。
面縄中学校はトマチン遺跡,喜念小は喜念貝塚にそれぞれ隣接しており,面縄小学校は史跡面縄貝塚内に立地しています。
面縄中,面縄小では,南島沖縄諸島の歴史について,教科書で取り扱う日本史年表を押さえながら,貝塚時代,グスク時代,琉球王国時代,薩摩藩統治時代を学びました。
喜念小では1~6年生までの全学年を対象に,埋文センターの仕事を紹介し,日本史年表と貝塚時代について学びました。
また,学校周辺の遺跡として,面縄貝塚や喜念貝塚,カンナテ遺跡,カムィヤキ陶器窯跡群を紹介したり,実際に出土した遺物として,トマチン遺跡,前当り遺跡の土器や石器,貝製品を紹介しました。
面縄中や喜念小では火起こし体験も行いました。楽しみながらも,昔の人びとが火を起こすことの大変さを実感できたようです。
児童・生徒をはじめ,先生方や参加された保護者の方々は,身近なところにたくさんの遺跡があること,徳之島には非常に古い時代から人が住んでいたことに,驚かれていました。
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ワクワク考古楽出前授業IN鹿児島県立鹿児島南特別支援学校
令和6年11月27日(水),鹿児島県立鹿児島南特別支援学校の中学部で,「ワクワク考古楽」(出前授業)を実施しました。
今回は,旧石器時代から近世までの時代の大まかな流れと特徴,道具(土器や石器など)について学習しました。
まず,これまでの学習を思い出しながら,どんな時代があったかやそれぞれの時代の特徴などを確認しました。
次に,実際に遺跡から出土した土器や石器などに触れながら,道具の使い方や変化等について学習しました。土器は時代によって形状や文様が異なることや,縄文時代には弓矢が使われ始めること,道具が時代によって変化していくことや,つるつるしている磨石やするどく尖っている石鏃など,それぞれの道具の特徴を学ぶことができました。
今回の授業を通して,歴史の学習に興味をもち,今後の学習に意欲的に取り組んでいくためのきっかけになったらと思います。
また,今回は,縄文の森の「お出かけ体験隊」と合同での実施で,「勾玉づくり」に挑戦しました。細部までこだわり丁寧に仕上げ,個性あふれるきれいな勾玉ができました。
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本日開催!「解明進む 志布志の縄文文化展」(令和7年2月2日まで)
下城跡現地説明会(姶良市北山・12月22日)
県単道路整備(改良)事業に伴い,発掘調査を実施している下城跡(しもじょうあと・姶良市北山)で,現地公開を行います。
山城跡の調査成果を紹介します。ぜひ,お越しください。
【場所】
下城跡(姶良市北山)
地図はこちらのリンクから(GoogleMap)
【日時】
令和6年12月22日(日) 10:30~12:00 (受付10:00~)
小雨決行・事前申込不要
【同日開催】
「南の縄文文化展」(10:00~14:30)
「解明進む 志布志の縄文文化展」
石造りの排水溝(鹿児島城二之丸跡:鹿児島市)
令和5年度に行った鹿児島城二之丸跡の発掘調査で,排水溝と思われる遺構が見つかりました。直方体に切り出された凝灰岩を平行に並べて組み合わせ,底部には敷石となる石も検出されました。切り石の長さは約2m,高さ約25cmで,溝の幅は約90cmです。
調査区内では他にも水が溜まっていたと思われる溝状遺構が見つかっており,当時の排水技術の手がかりになればと思います。

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