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鹿児島県上野原縄文の森

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投稿者: 管理人

縄文の森にドングリの季節がやってきました!

ただいま上野原縄文の森ではたくさんのドングリが落ちているよ!
秋から冬にかけて,上野原縄文の森ではたくさんのドングリを見ることができるんだ
今の時期は,見学エリアでクヌギやコナラが,もう少ししたら、体験エリアでスダジイやウラジロガシといったドングリが採れるよ。
集めたドングリは,展示館受付か体験学習館に持って行くと縄文の森オリジナルえんぴつ2本と交換出来るよ。(土日祝日限定)

ぜひドングリを拾いに遊びにきてね!

※ドングリを集めるときは、夢中になりすぎて迷子になったりしないよう気をつけてね!!


 

曽於市立笠木小学校での出前授業

 10月8日,曽於市立笠木小学校の5・6年生(8名)と3・4年生(11名)に,ワクワク考古楽(出前授業)を実施しました。

 笠木小学校は,笠木遺跡の中にあり,校舎の建設に伴って2005年に調査が行われました。児童たちは自分たちの校舎が遺跡の上に建っていることを知ると,とても驚いていました。その時に出土した土器や石器を直接手に取って触れることで,より関心が深まった様でした。

 また,5月に調査を行った岩川官軍墓地(曽於市大隅町)の調査成果を紹介しました。大隅町や笠木周辺で,西南戦争の戦いが行われていたことや,岩川に政府軍の墓地があることに興味津々でした。

 その後,地層観察を行い,桜島や鬼界カルデラの火山灰が厚く積もっていることを調べたり,地層から土器を見つけたりと,理科や社会の学習に対しても理解が深まっていたようでした。

 さらに,火起こし体験も楽しく行うことができました。

学校周辺の遺跡を紹介

学校から出てきた土器や石器を触ってみる

地層の観察

みんなで火おこしに挑戦
指導案はこちらからダウンロードできます

第58回企画展講演会 第2回が開催されます

現在開催中の第58回企画展「新発見!かごしまの遺跡2020~発掘調査速報展~」から特に注目される遺跡について紹介・解説します。

【内容】
「春日堀遺跡」(志布志市)
 鹿児島県立埋蔵文化財センター 文化財主事 馬籠 亮道 氏
「永吉天神段遺跡」(大崎町)
 鹿児島県立埋蔵文化財センター 調査課 第二係長 横手 浩二郎 氏
【日時】令和2年10月24日(土)10:00~11:30
【場所】上野原縄文の森展示館 多目的ルーム
【定員】50人程度(要事前申込)
【資料代】100円

〇問い合わせ・申込先
〒899-4318
鹿児島県霧島市国分上野原縄文の森1番1号
上野原縄文の森 事業課
電話  0995-48-5701
FAX  0995-48-5704
メール uenohara@jomon-no-mori.jp
申込フォームはこちら
チラシ

新城跡・北山遺跡・諏訪ノ前遺跡の確認調査

 新城跡・北山遺跡・諏訪ノ前遺跡は,阿久根市山下にある遺跡です。令和2年9月1日から同月28日まで,南九州西回り自動車道建設に伴い,事前調査を行いました。

 トレンチ(確認用の穴)を設定して調査を行ったところ,いくつかのトレンチ内でピット(柱穴跡)が確認できました。また,陶磁器や土師器などの遺物も出土しました。

 今後行われる本調査に向けて,重要な情報を得ることができました。

トレンチ内の堆積状況を確認

トレンチの位置を機械で記録

トレンチ内の遺物出土状況

 

第58回企画展講演会 第1回が開催されました!

 

9月26日(土)に現在開催中の第58回企画展「新発見!かごしまの遺跡2020~発掘調査速報展~」の講演会が行われました!

令和元年度に発掘調査や報告書作成が行われた遺跡の中から,今回は「木佐木原遺跡(姶良市)」と「小牧遺跡(鹿屋市)」の特に注目される成果について紹介されました。

発掘調査や整理作業を進める中でわかった事だけでなく,展示の見どころなど,盛りだくさんの内容で,受講者の皆さんも熱心に耳を傾けていました。

次回の講演会は10月24日(土)に開催されます
詳しくは,こちらをご覧ください
皆さんの参加をお待ちしております。

 

大学生のインターンシップ

 9月14日から18日までの5日間,鹿児島大学理学部の学生2人が当センターでインターンシップを行いました。

 今回は理系の学生ということで,主に鉄器処理や木器処理などの保存・分析業務を体験してもらいました。2人とも,業務に熱心に取り組んでいました。最終日には,このインターンシップで学んだことをプレゼンにまとめ,発表を行いました。

 また,業務を通して,仕事に関する姿勢や自分の進路について改めて考えることができたようです。

 この経験が,2人の進路選択や就職,これからの生き方について役立てば,大変ありがたいことです。

埋蔵文化財センターの業務について説明

遺構の保存処理方法を見学

木製品の保存処理を体験

蛍光X線による元素分析

最終日にインターンシップで学んだことを発表

第6回 「重要文化財~鹿児島県三角山遺跡出土品」

はじめに

 鹿児島県種子島の西之表市と中種子町の接する丘陵地帯に,三角山遺跡群があります。新種子島空港の建設に先立って,平成7年度から平成14年度まで発掘調査が行われました。調査の結果,縄文時代草創期から古代まで各時代の遺構や遺物が出土しました。特に,桜島の大噴火による薩摩火山灰層(約12,800年前)の下から,縄文時代草創期の遺構,遺物が多数発見され,多く方々の関心を集めました。
 これらの出土遺物のうち,全形が復元できる多数の隆帯文土器や,文様の構成がよくわかる大型土器片に加えて,それらに伴う石器など,「土器・土器片」160点,「石器」144点,「附石核・剥片」60点の計364点が,「縄文時代草創期の南九州における生活・文化の様相を知る上で,学術的価値が高いものである」として,令和元年7月23日,国の重要文化財に指定されました。

重要文化財に指定された土器・石器

空からみた三角山遺跡(平成13年度撮影)

発掘当時の作業の様子

貴重な遺構と遺物

 縄文時代草創期では,竪穴住居跡2基やたくさんの集石・土坑などの遺構,2万点を超える土器や石器などの遺物が発見されました。竪穴住居跡は直径2m程度で,2基が隣り合っていました。その一つの中央には火をたいた跡がありました。床面に接して出土した土器片や石鏃などもあり,当時のくらしを知る上で貴重な資料です。
 また,遺跡内では,バラバラになった土器片が集中して出土した場所が多数確認されています(図1)。それらを水洗いし,丁寧に接合していくと,それぞれが一つの土器として,いにしえの姿を現しました。ほぼ完全な形に復元できた土器は16点。この時期の遺跡としては驚くべき数です。

竪穴住居跡と発掘作業員さんたち

図1 縄文時代草創期遺物出土状況図

多彩な隆帯文土器

 発見された土器は,南九州の縄文時代草創期を代表する隆帯文土器です。隆帯文とは,口縁部周辺にぐるりと粘土の帯を1~6条まわし,指先や貝殻などを押して模様をつけたもので,中には横だけでなく縦の帯や沈線のある土器もあります。形も尖底からサラダボウルのような丸底,中には底部中央が内側にせり上がった茶碗のようなものまで,非常に多彩です。
 また,器の内外にススや炭化物が付着した例が多いことから,実際に煮炊きに使われたものと考えられています。放射性炭素年代測定の結果(補正)は,紀元前12,140~11,830年で,縄文時代草創期末にあたります。
 このように,当時の生活の様子を如実に示す貴重な資料であることから,国の重要文化財に指定されました。

多彩な隆帯文土器

指紋が残る隆帯文土器

手作りの「服」を着ていた? 縄文時代草創期の人々

 出土した土器の底に「もじり編み」と思われる圧痕のある隆帯文土器が1点あります。織物の痕跡としては,日本最古級の資料です。当時の人々が植物からとった繊維で織物を作り,土器を作る際の敷物にしていたことがわかります。植物の繊維を工夫して,”縄文服”も着用していたのかも知れません。
 

圧痕のある隆帯文土器

底部の圧痕

型取りでよみがえった「もじり編み」

断面の薄い大型土器

 三角山遺跡群の土器の中で最大級の大きさで,直径35cmを超えます。隆帯は6条。ヒダのある貝殻を押し当ててつけられた美しい文様で,指紋や爪の跡まで観察できます。
 サラダボウルに似た形で,大型にもかかわらず,厚みもできるだけ薄く作ろうと努力した様子がうかがえます。この薄さで長期間の使用に耐えられるのか心配してしまいますが,後から薄い断面を観察できるように,一部分を開けた状態で復元しました。

三角山最大の隆帯文土器

磨製石鏃

 三角山遺跡群では,特徴的な石器も出土しています。写真の磨製石鏃は,ホルンフェルスや頁岩を磨いて形作っていますが,一般的な石鏃より厚みが薄いようです。穴が開けられたものもあり,どのように使用されたか注目されます。

おわりに

 種子島空港ロビーの一角に三角山遺跡群のコーナーがあり,遺跡の紹介をしています。実物こそ県立埋蔵文化財センターにあるものの,これらのパネルを見て,地域の方々だけでなく,種子島を訪れた人にも,悠久の歴史に触れる機会になってくれればと思います。

貝殻模様の美しい隆帯文土器

文責 藤﨑光洋

令和2年度 第2回「河口コレクション」展示 ~霧島市内の遺跡~

 9月18日に,上野原縄文の森で展示している「河口コレクション」コーナーの入れ替えを行いました。

 今回は「河口貞徳氏の軌跡Ⅲ(霧島市内の調査遺跡)」と題して,口輪野遺跡(霧島市国分川内),平栫遺跡(同市国分上井),石峰遺跡(同市溝辺町麓),廻城跡(同市福山町福山)の4つの遺跡を紹介しています。

 特に平栫遺跡は,出土した縄文時代早期後半の土器を河口氏が「平栫(ひらがこい)式土器」と名付け,標式遺跡(特定の地域や時代・時期に流行した土器の特徴を示す契機となった遺跡)となっています。

 霧島市内には,上野原遺跡だけでなく,このように貴重な遺跡が数多くあります。今回の展示,上野原縄文の森でご覧ください。

展示期間
令和2年9月19日(土)~令和3年1月15日(金)

口輪野遺跡・平栫遺跡

石峰遺跡・廻城跡

平栫遺跡の発掘調査風景