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カテゴリー: 南の縄文調査室から

このページは、発掘調査・整理作業・報告書作成の様子や、埋蔵文化財センタ内ーのできごとを紹介します。

企画展内覧会

11月18日,『上野原縄文の森第62回企画展「海と活きた古代人Ⅱ ~古墳時代から近世の鹿児島~」』の内覧会がありました。

今回の企画展は,海を越えて伝わった「モノ・情報・技術」というテーマで,輸入陶磁器や中国銭,仏教伝来に関する遺物など,古墳時代から近世の考古資料を紹介します。

また,水中考古学調査の事例として,元寇に関連する沈没船が発見された鷹島神崎遺跡(長崎県松浦市)の紹介や遺物展示も行います。

明日,11月20日からの公開になります。上野原縄文の森に,ぜひお越しください。

展示期間 令和3年11月20日(土)~令和4年3月6日(日)

公開に向けて準備中です

水中考古学の調査についても紹介

立塚遺跡現地説明会

令和3年11日6日,鹿屋市吾平町の立塚遺跡で現地説明会を実施しました。立塚遺跡は,鹿屋吾平佐多線(吾平道路)改築事業に伴い,発掘調査を行っている遺跡です。

これまでの調査で,縄文時代晩期から弥生時代前期(約3,000~2,500年前)の遺物が多く見つかっています。また,奈良時代から平安時代(約1,100年前)の畑跡や建物の柱跡などの遺構も見つかっています。

現地説明会では,これらの遺物や遺構を紹介するとともに,「紫コラ」と呼ばれる,貞観(じょうがん)16(874)年に指宿市の開聞岳が噴火したときの火山灰で埋まった遺構も説明しました。

また,弥生時代以降に作られたと思われる,長さが約6cmもある大型の管玉(くだたま)も見つかっています。こちらも展示して紹介しました。

当日の天気は雨でしたが,50人の参加がありました。参加者からは,「初めて遺跡の説明会に来たけれど,昔の様子を知ることができて楽しかった」などという感想をいただきました。

埋蔵文化財センターでは,今後もこのような現地説明会や遺跡の調査成果を紹介するフォーラムなどを開催予定です。詳しくは,ホームページ等で紹介しますので,ご期待ください。

当日の資料はこちらからダウンロードできます。

立塚遺跡の土層

紫コラの入った遺構を説明

古代の畑の畝(うね)跡を紹介

出土した遺物を展示して紹介

出土した大型の管玉(転載禁止)

 

光台寺跡(指宿市)現地公開

光台寺は,徳川家第13代将軍家定に嫁いだ天璋院篤姫(てんしょういんあつひめ)が生まれた今和泉島津家の菩提寺(ぼだいじ)です。

今回の調査は,明治2(1869)年の廃仏毀釈によって失われていった寺院跡の残存状況を調査し,寺の存在や歴史的な価値を発信することを目的として,令和3年10月1日から27日まで実施しました。

10月24日には,地域の住民方々に,その成果の現地公開を行いました。

当日は70人の参加があり,担当者から調査区に残る石垣の説明を聞いたり,発掘調査の様子を見学したりしました。また,出土した薩摩焼や,琉球製の陶器,青磁や白磁の展示に見入っていました。

今泉島津家墓所にて概要説明

調査区に残る石垣について説明

発掘調査で見つかった遺物を紹介

これまでの調査で見つかった遺物を展示して説明

 

試掘調査

10月18日,志布志市の道悦(どうえつ)遺跡において「試掘調査」を行いました。

「試掘調査」とは,開発などの工事前に,埋蔵文化財の有無を確認するために行う部分的な発掘調査のことをいいます。

今回は,重機(バックホー)を使い,4本のトレンチ(試し掘りの穴)を掘って調査を行いました。

重機で掘るといっても一度に掘ってしまうのではなく,幅2mほどの長方形の範囲を,地面と水平に少しずつていねいに掘り下げていきます。その際,地層の色や質(粘土質・砂質・火山灰層)の違いなどを観察しながら,途中で土器などが出てこないか,住居の跡などが見つからないか,確認しながら掘り進めました。

試掘調査で埋蔵文化財が確認された場合,遺跡の範囲や時代をより正確に把握する「確認調査」,全面的に発掘を行う「本調査」へと進みます。

遺跡の発掘調査は,このように様々な段階を経て行われているのです。

トレンチの場所を設定します

重機で少しずつ掘り下げていきます
地層の色や質,遺構や遺物の有無を確認します

トレンチ内の地層の色や質を記録します

トレンチは,試掘後に埋め戻します

 

 

第61回企画展「新発見! かごしまの遺跡2021~発掘調査速報展~」が始まりました

 7月17日(土),上野原縄文の森第61回企画展「新発見! かごしまの遺跡2021~発掘調査速報展~」が始まりました。

 今回の企画展は, 令和2年度に鹿児島県立埋蔵文化財センター及び(公財)埋蔵文化財調査センターが,発掘調査を実施・報告書刊行した遺跡の成果を紹介します。

 江戸時代の犬追物馬場跡が確認された鹿児島城跡(鹿児島市)や,縄文時代前期から中期の土器が多く出土した細山田段遺跡(大崎町),国内最古級となる弥生時代前期後半の準構造船の舷側板(げんそくばん)が出土した中津野遺跡(南さつま市)など,最新の鹿児島の歴史をご覧ください。

〇 今回紹介する遺跡
■ 近代
 遺跡西南戦争関連遺跡【滝ノ上火薬製造所跡】(鹿児島)・【高熊山激戦地跡】(伊佐市)・【チシャガ迫堡塁跡群】(霧島市)・【岩川官軍墓地】(曽於市)
■ 近世
 鹿児島城跡【犬追物馬場・火除地】(鹿児島市)
■ 中世
 北山遺跡(阿久根市),川久保遺跡(鹿屋市)
■ 古代
 立塚遺跡(鹿屋市),久保田牧遺跡(鹿屋市),原村遺跡(曽於市)
■ 古墳時代
 六反ヶ丸遺跡(出水市)
■ 弥生時代
 立塚遺跡(鹿屋市),中津野遺跡(南さつま市)
■ 縄文時代
 牧B遺跡(曽於市),原村遺跡(曽於市),細山田段遺跡(大崎町),山ノ段遺跡(出水市),小牧遺跡(鹿屋市)
■ 旧石器時代
 小牧遺跡(鹿屋市),川久保遺跡(鹿屋市)
■ 新指定文化財
 出水貝塚出土品(出水市・河口コレクション)

〇 開催期間
 令和3年7月17日(土)~11月7日(日)

第61回企画展ポスター

細山田段遺跡(大崎町)出土遺物

中津野遺跡(南さつま市)出土の舷側板を展示中

出土遺物展示の様子

ただ今発掘中! ~久保田牧遺跡(鹿屋市吾平)~

久保田牧遺跡は,鹿屋市吾平町にある遺跡です。大隅縦貫道の建設工事に伴い,令和元年度から発掘調査を行っています。令和3年度も,6月から調査を開始しました。

現在は,表土(現代の地面)を重機で剥ぎ取り,その下の古代から中世の地層を少しずつ掘り進めています。

昨年度までの調査で,古墳時代の竪穴建物跡や古代・中世の溝跡・掘立柱建物跡,文字の書かれた墨書土器などが見つかっており,さらなる成果が期待されています。

また,発掘現場は民家に近いということもあり,騒音対策や振動に気を付けながら調査を行っています。

調査期間は,令和4年1月までを予定しており,発掘調査の様子は見学もできます。詳しくは,埋蔵文化財センターまでご連絡ください。

遺跡の発掘調査の様子

人力で少しずつ掘り進めていきます

遺物が見つかったときは,目印として地面に竹串を刺します

騒音・振動計を設置しています

遺跡の周りに民家があるので,防音シートで騒音対策をしています

 

全国公立埋文協第1回役員会

 当センターの所長が会長を務める,全国公立埋蔵文化財センター連絡協議会の第1回役員会を6月10日に実施しました。

 今回の役員会は,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,インターネットによるオンライン開催でした。

 役員組織の10か所をオンラインでつなぎ,昨年度の事業報告や来年度以降の総会・研修会,文化庁への要望等を話し合いました。

 当センターではこれまでもオンライン会議は実施してきてはいるものの,10人以上の参加者は初めてだったため,うまく話し合いが進むか心配なところもありましたが,無事に終えることができました。

オンライン会議の様子

各役員と画面上で話し合いました

事務局である当センターから所長と課長が参加しました

 

報告書の発送

 6月5日,令和2年度に刊行された発掘調査報告書を,全国の埋蔵文化財の調査・研究機関や大学,県内の市町村教育委員会などに発送しました。

 17冊の報告書を詰めた段ボール一つひとつに宛名シールを張り,トラックに載せていきました。

 こうして送り出された報告書が,それぞれの場所で活用されることを期待しています。

 今回発送した発掘調査報告書は,埋蔵文化財センターのホームページでも公開しています。興味・関心がある方は,ぜひご覧ください。

 発掘調査報告書一覧はこちらからダウンロードできます

 

昨年度刊行した報告書を段ボールに入れます

段ボールに貼る宛名を確認しています

運送会社のトラックに載せていきます

 

発掘機材の荷出し

 5月24日,発掘調査の始まった井手原遺跡(さつま町)と鹿児島(鶴丸)城跡(鹿児島市)の荷出しがありました。

 先日の荷造りで集めた道具を,発掘現場行きのトラックに次々と載せました。

 また,出土した遺物を収納するパンケースも載せました。

 どちらの遺跡も,多くの成果があがることを期待しています。

発掘調査の道具を収蔵庫から運び出します

職員で協力してトラックに載せていきます

遺物を収納するパンケースも積みます

 

 

沖永良部島とのオンライン

 埋蔵文化財センターの業務に,市町村が行っている発掘調査の支援があります。埋蔵文化財センター職員と市町村の埋蔵文化財担当職員が連携し,発掘調査や報告書作成を行うための情報交換や技術支援を行っています。今年度は,14市町村・25遺跡の支援を計画しています。

 その中の一つに,沖永良部島の古墓群(トゥール墓)の調査があります。5月17日,今後の調査に関する担当者打ち合わせを,鹿児島県教育庁文化財課,和泊町教育委員会,知名町教育委員会,埋蔵文化財センターをオンラインでつないで実施しました。事前に配布された資料を手に,パソコンの画面を通して,有意義な話し合いができました。

オンラインで4か所をつなぎました

それぞれの担当者から意見が出されました

資料を手元に話し合いを進めました