埋蔵文化財技術研修講座
埋蔵文化財センターでは,市町村の担当職員向けに,発掘調査の技術向上・支援・情報交換のために研修講座を実施しています。今回は,「近世・近代遺跡の取り扱い」をテーマとして,1月18日・19日に開催しました。
18日は,「埋蔵文化財保護行政の現状と課題」について,文化庁の桑波田武志調査官に講演していただきました。昨今の文化財保護をめぐる社会動向をはじめ,近世・近代遺跡の特性や,今後取り組むべき事項などについて,説明していただきました。
19日は,講座および事例発表を実施しました。講座は,「石造物の取り扱いについて」と題して黎明館の西野元勝さんと,「戦跡の公開と活用について」と題して知覧特攻平和会館の八巻聡さんに,説明・紹介していただきました。
事例発表では,鹿屋市・瀬戸内町の担当職員,及び(公財)鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター職員に,近世や近代遺跡をどのように調査し,また,その成果を報告していただきました。
最後に,全体で質疑応答・意見交換を行い,研修の内容を深めることができました。
2日間の研修で得られた内容を,今後の調査で活かしていただけることを期待しています。
参加者の感想から
・ 近世・近代の文化財について考えるきっかけとなりました。
・ 3DCGデータなど,新しい技術の紹介がありよかったです。
・ 各市町村の取り組みを知るよい機会になりました。
諏訪ノ前遺跡の現地説明会を実施しました
令和6年1月20日(土),阿久根市山下・波留地区で発掘調査を行っている,諏訪ノ前遺跡の現地説明会を行いました。
天候が心配されましたが,快晴となり,春のような陽気の中,100名を超す方々が訪れてくださいました。遠くは,福岡県筑紫野市や熊本県天草市からも来られ,熱心にご覧いただきました。
諏訪ノ前遺跡の位置する山下・波留地区は,13世紀~16世紀後半にかけて,この地を治めていた阿久根(莫禰・あくね)氏の拠点だったと考えられています。北から,防御的な新城跡,館に近い北山遺跡,寺社に関係する諏訪ノ前遺跡と,それぞれの地点の様相が発掘調査や整理作業から分かりつつあります。
見学者のみなさんは,当時の道跡や建物跡,さらに県内で表土から比較的浅い箇所で直接目にすることがない,約300万年前の地層(阿久根火砕流)にも関心を寄せていました。また,出土した懸仏(かけぼとけ)の本体や中国産の青磁などを熱心に観察し,阿久根(莫禰)氏の繁栄ぶりに想いを馳せていました。
当日の資料(PDF)は以下のリンクからダウンロードできます。
諏訪前遺跡現地説明会資料(PDF)
土坑墓に埋まっているのは・・・(立塚遺跡:鹿屋市)
1/26は文化財防火デー!
エントランスの展示が新しくなりました
常設展示室リニューアル、始動。
発掘調査を開始しました「柳迫遺跡(曽於市末吉町)」
縄文時代のドーナツ!?環状石斧(かんじょうせきふ)(宮ヶ原遺跡:曽於市大隅町)
中組遺跡(天城町)の発掘調査
西南戦争はここから始まった? (滝ノ上火薬製造所跡:鹿児島市)
薩摩藩は,火薬製造の本局として文政年間(1818~1830)に滝ノ上火薬製造所を設立しました。稲荷川の水流を利用した直径四mほどの水車を使って火薬を製造していました。
その存在を危険視した明治政府は,明治10(1877)年1月に機械や弾薬などを密かに運び出そうとしました。機械や弾薬類が自分たちのものという考えが強かった鹿児島の士族たちは激怒し,草牟田の政府の火薬庫を襲撃しました。その後,西南戦争に突き進んでいきます。
このような経緯から,滝ノ上火薬製造所は,国内最後で最大の内戦である西南戦争の勃発の契機となった場所ともいえるかもしれません。