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鹿児島県上野原縄文の森

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投稿者: 管理人

つくってドキどき体験 第4回「縄文リースを作ろう」が開催されました。

つくってドキどき体験 第4回「縄文リースを作ろう」が12月4日(日)に開催されたよ。
ご参加いただき,ありがとうございました!

縄文の森のリース作りは,カズラを巻いて土台から作るんだ。
長いカズラを巻いていくのは,なかなか大変そうだね。
 

飾り付けは,縄文の森で採れた木の実などの自然素材を使うよ。
みんな夢中で飾りつけをしていたね。
 
 

とーっても素敵なリースが完成したよ!
手作りのリースで楽しいクリスマスを迎えよう♪
 

 

第12回「西南戦争関連遺跡の調査成果について」

1 はじめに

 鹿児島県における西南戦争関連遺跡については,西郷隆盛終焉の地となった城山や南洲墓地などは有名ですが,その他の遺跡はあまり知られていません。そこで,鹿児島県教育委員会では, 「西南戦争を掘り,学ぶ」と題して,平成30年度~令和2年度に西南戦争関連遺跡の考古学的調査を実施し,その調査成果を報告書にまとめました。
 調査によって,鹿児島県内には,西南戦争関連遺跡が16市町に100件あることが判明しました。内訳は記念碑69件,陣地13件,戦場跡5件,墓地5件,建造物4件,休憩地2件,街道1件,その他1件です。
 ここでは,発掘調査を行った4つの遺跡について,その調査成果を発表します。

2 調査成果

(1) 滝ノ上火薬製造所跡(たきのかみかやくせいぞうしょあと)【鹿児島市稲荷町】
 薩摩藩は,火薬製造の本局として文政年間(1818~1830)に滝ノ上火薬製造所を設立しました。稲荷川の水流を利用した直径四mほどの水車を設置し,火薬を製造していました。当時,日本有数の製造量であったため,その存在を危険視した明治政府は,明治10(1877)年1月に機械や弾薬などを密かに運び出そうとしました。機械や弾薬類が自分たちのものという考えが強かった鹿児島の士族たちは激怒し,草牟田の政府の火薬庫を襲撃しました。その後,西南戦争に突き進んでいきます。このような経緯から,滝ノ上火薬製造所は,国内最後で最大の内戦である西南戦争の勃発の契機となった場所ともいえるかもしれません。
 平成5(1993)年の8・6水害等により,残っていた水路等が流失・消滅したと考えられていましたが,調査により,石垣や導水路等が広く残存していることが判明しました。

第1図 滝ノ上火薬製造所跡石垣

(2) 高熊山激戦地跡(たかくまやまげきせんちあと)【伊佐市】
 明治10(1877)年の西南戦争の大口攻防では,辺見十郎太(へんみじゅうろうた)が指揮する雷撃隊(らいげきたい)が坊主石山(ぼうずいしやま)に,池辺吉十郎(いけべきつじゅうろう)が指揮する熊本隊が高熊山に陣を構えて,堡塁(ほうるい)を築いていました。6月13日から20日まで,髙熊山や周辺の坊主石山で政府軍と激しい戦闘が行われました。
 調査では,9基の堡塁跡と銃弾や薬莢,砲弾の可能性のある鉄製品などが出土しています。堡塁の配置や銃弾の出土状況・文献調査から,当時の戦闘状況が分かってきました。また,踏査の結果,坊主石山にも少なくとも5基の堡塁跡があることが判明しました。

第2図 出土した銃弾や薬莢

(3) チシャ迫堡塁跡群(ちしゃがさこほうるいあとぐん)【霧島市】
 政府軍と西郷軍は,霧島市牧園で2度の戦闘を行っています。1度目は,明治10(1877)年7月1日~7日に西郷軍が牧園一帯に陣を築き,政府軍と対峙しました。2度目は宮崎県延岡の可愛岳(えのだけ)を突破した西郷軍が鹿児島に突入する直前の8月30日に,笠取峠(かさとりとうげ)で激しい銃撃戦を展開しました。
 当時地元では,西郷軍の7月の敗退を「踊の1度敗れ」,8月を「踊の2度敗れ」と呼んで残念がったと言われています。
 調査では,この時の戦闘で構築された三百基以上ある堡塁跡のうち,チシャ迫堡塁跡群に残る7基の堡塁跡を調査しました。地形に合わせた堡塁の配置や,西郷軍が牧園町全域を防御陣としたことが分かってきました。

第3図 霧島市牧園町堡塁位置図 手嶋正次 2018『堡塁群が語る西南戦争~霧島の山々に眠る「十年の戦の跡」~』から引用・一部改変

 

(4) 岩川官軍墓地(いわがわかんぐんぼち)【曽於市岩川】
 岩川の政府軍墓地は,西南戦争で亡くなった政府軍の戦死者を埋葬した墓地で,79基の墓石が存在しています。墓石はすべて天草下浦石(砂岩)製です。
 調査では,現在の姿は造営当初から改変(整備)をうけていることが判明しました。さらに,墓坑の可能性がある2基の掘り込みプランを確認しました。
 また,菱田川を挟み,東に1.5 ㎞ほどの曽於市末吉町岩崎の台地先端部に,ひっそりと1 基だけ薩軍の墓が所在しています。マウンド状の塚の上に自然石が建ててあるだけで,刻字は残されていません。7月下旬の岩崎周辺の戦闘で戦死した西郷軍の兵士が葬られたと伝わっていますが,史料もなく, 実際に誰が葬られたのかは不明です。

第4図 岩川官軍墓地

第5図 薩軍の墓

 

3 まとめ

 このように西南戦争では鹿児島の地も戦場となり,今も多くの遺跡が地中に眠っています。埋蔵文化財センターでは,調査成果などを多くの方々に知っていただくため,「学ぶ」事業として県内各地の小中高等学校の授業や地域での講演活動で紹介しています。これからも,多くの調査成果を公開し,文化財を大切にする心を培っていきたいと考えています。

第6図 西南戦争関連戦闘図

文責 湯場﨑 辰巳

報告書は以下のリンクからダウンロードできます。
『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(210)「滝ノ上火薬製造所跡・高熊山激戦地跡・チシャケ迫堡塁跡群・岩川官軍墓地」

【参考文献】
 玉東町教育委員会 2012『玉東町西南戦争遺跡調査総合報告書』玉東町文化財調査報告 第8集
 学習研究社 1990『西南戦争【最強薩摩軍団崩壊の軌跡】歴史群像シリーズ21
 原口泉 2018 『戦況図解西南戦争』サンエイ新書

東桜島中学校での出前授業

令和3年11月17日,鹿児島市立東桜島中学校の1年生に,ワクワク考古楽授業支援(出前授業)を行いました。

まず,「地域の歴史や史跡,文化財を知ろう」というめあてで学習を進めていきました。埋蔵文化財センターの役割や仕事について紹介した後,鹿児島には多くの火山やカルデラがあり,桜島の火山灰も年代の決め手となる鍵層であることや,上野原遺跡,桜島の武貝塚や下梶山遺跡について紹介しながら,発掘調査から分かった鹿児島の縄文時代について説明しました。生徒たちは,武貝塚から多くの獣骨が出土していて,骨角器として使われていることに驚いていました。

次に,体験活動を行いました。前半は土器の文様作りで,自分なりの方法で文様を作ったり,センターから持参した施文具で文様を作ったりすることができました。後半は,土器の文様を複写する「拓本」を体験しました。紙を土器に巻いていく作業が特に難しかったようですが,丁寧に巻いて墨で文様を写すことができました。

最後は,火起こし体験を行いました。舞錐をバランスよく下ろして回すのが難しかったようですが,自分の火が点いたらなかなか点かない友達の手伝いに向かい,力を合わせて活動する様子がとても素敵でした。縄文時代の人々も大切な火を協力して点けていたのかもしれないと想像しながら活動することができました。

土器の文様を作ってみよう

整理作業の拓本を体験

みんなで火起こしに挑戦

考古学講座第4回「御楼門散策~鹿児島(鶴丸)城を歩く~」が開催されました!

11月27日(土)に考古学講座第4回「御楼門散策~鹿児島(鶴丸)城を歩く~」が開催されました!
当日は雲一つ無いお天気に恵まれ,秋晴れの空の下,黎明館をはじめとする鹿児島(鶴丸)城について,講師である県立埋蔵文化財センター 文化財主事 西野元勝氏による解説のもと歩きました。

黎明館だけでなく,近隣の県立図書館や照國神社など各地に残る痕跡から当時の鹿児島(鶴丸)城の姿に思いはせたり,途中,城の城主である島津家についてのエピソードや発掘当時のこぼれ話など盛りだくさんの内容で参加者の皆さんも大変満足され、あっという間の3時間でした。


 

第62回企画展が開催になりました!!

11/20(土)より,第62回企画展

「海と活きた古代人Ⅱ ~古墳時代から近世の鹿児島~」を開催しています。

今回は,海を越えてきた「モノ」,「技術」,「情報」に注目して展示を行っています。

最後のコーナーでは,水中考古学の世界と題して,長崎県松浦市の鷹島神崎遺跡より元寇(蒙古襲来)にまつわる資料もお借りして展示しています。是非,この機会に上野原縄文の森にお越し下さい。紅葉もきれいです。

 

新しい企画展が始まりました!(R3.11.20~)

11月20日(土)より新しい企画展が始まりました。
昨年度に開催した企画展の第2弾として海を越えて伝わったモノ・技術・情報の交流について,古墳時代から近世の鹿児島に焦点を当て関連する考古資料を展示します。

また,令和4年2月5日(土)には霧島市国分シビックセンターにて,國學院大學教授池田榮史(よしふみ)氏を講師に招き,企画展講演会「鷹島(たかしま)神崎(かんざき)遺跡と水中考古学」を開催します。

詳しくは↓のチラシからご覧下さい。(クリックすると拡大されます)